絶滅危機だが、釣り堀ならスーパー巨ゴイゲームが楽しめる
この哀れな語り部(←筆者のことです)が初めてこの魚に触れたのは、開高健の『フィッシュ・オン』だった。
「チャオ・ピヤ河の怪物。1メートル20センチ、体重70キロのコイ。そこらによくいますよ、といわれ、声が出なくなる」
…という一文が添えられた写真の魚は、日本にいるコイとはまるで違う(日本のコイは120cmなら25㎏くらいだろう)。ヘラブナを相撲部屋に入門させたような体型で、潜水艦のようにデカかった。これがコイ?…という衝撃。それがパーカーホだったのだ。
パーカーホは東南アジアのタイ、カンボジア、ベトナムなどの河川に生息する。コイにくらべると…
・頭が大きい
・体高がある
・太い
・やや受け口気味である
・ヒゲがない
・色が黒い
・ウロコが大きい
・尾ビレの付け根が太い
・とにかくデカい
という、見た目の特徴がある。最大で全長3m、体重300kgになるといわれるが…現在は乱獲などの影響で個体数は激減し、100kgを超す大型個体は非常に珍しくなってしまったそうだ。おそらく、タイ語の発音ではパーカーホよりもプラーカーホが近い(タイ語では魚をプラー【Pla】という)。
さて、コロナ前の2019年。元上司で釣り友達の小林孝延さん、その釣友の池尻幸造さんとタイへ釣りにいった。釣りをしたのは2~3日間ほどだったが、ほとんど寝ずに釣りと移動をしていたような気がする。初日、まずはチャチューンサオ郊外の池や川で小型のライギョを狙い、午後はバラマンディ釣り堀へ。その晩はアマゾンBKKという怪魚釣り堀に泊まり、2日目は世界の怪魚釣り。また夜に移動して…巨大な釣り堀へ。そのまま夜通し釣り…という弾丸スケジュールだった。
最後の釣り堀では何種類かの大きな魚が釣れたのだが、その1種がパーカーホ。
そこではグループごとに釣り桟橋付きのバンガローが割り当てられ、24時間釣りをしてもいいし、疲れたらベッドで寝たり、出前を取ることもできる。これもいずれ詳しく書こうと思う。
哀れ、語り部は昼間にピラルクの頭突きを喰らって半死半生状態だった(これも後日書きます)ので…ベッドで寝ていると、小林さんの「よっしゃ!」という声が聞こえた気がした。行かねばなるまい。レンタルの大型スピニングタックルを脇に構えてファイトする小林さん。この時はアマチュアキックボクサーでもあったせいか(?)、やり取りに余裕がある。
小林「そんなに大きくないんだよ…。あ、パーカーホ! やった!」
バンガローのLEDライトに照らされて、ヌボーっと大きな頭が水面に現れた。まもなく、ドデンと桟橋に転がった。それがタイトル写真の1匹。パーカーホとしてはまだまだ若い魚だが、太くて迫力は十分だ。
小林さんの撮影を終え…語り部はまたベッドに戻った。ふう…。と思ったら、また小林さんが「よっしゃ!」と叫んだような…? 蒸し暑い、長い夜だった。
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