体長3m、体重300kg超! 世界最大のコイの名は?【世界怪魚図鑑14】

アジアの淡水巨大魚の主役はコイ科の魚たちだろう。中国の五大家魚(コイ、アオウオ、ソウギョ、ハクレン、コクレン。のちに不可解な理由で四大家魚になる)やインド・ネパールのゴールデンマハシール、中東のマンガルなど…アジアはコイ王国なのだ。では、王様は誰か? 満場一致でパーカーホではないだろうか?(執筆:望月俊典)

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この哀れな語り部(←筆者のことです)が初めてこの魚に触れたのは、開高健の『フィッシュ・オン』だった。

「チャオ・ピヤ河の怪物。1メートル20センチ、体重70キロのコイ。そこらによくいますよ、といわれ、声が出なくなる」

…という一文が添えられた写真の魚は、日本にいるコイとはまるで違う(日本のコイは120cmなら25㎏くらいだろう)。ヘラブナを相撲部屋に入門させたような体型で、潜水艦のようにデカかった。これがコイ?…という衝撃。それがパーカーホだったのだ。

パーカーホは東南アジアのタイ、カンボジア、ベトナムなどの河川に生息する。コイにくらべると…

・頭が大きい
・体高がある
・太い
・やや受け口気味である
・ヒゲがない
・色が黒い
・ウロコが大きい
・尾ビレの付け根が太い
・とにかくデカい

という、見た目の特徴がある。最大で全長3m、体重300kgになるといわれるが…現在は乱獲などの影響で個体数は激減し、100kgを超す大型個体は非常に珍しくなってしまったそうだ。おそらく、タイ語の発音ではパーカーホよりもプラーカーホが近い(タイ語では魚をプラー【Pla】という)。

さて、コロナ前の2019年。元上司で釣り友達の小林孝延さん、その釣友の池尻幸造さんとタイへ釣りにいった。釣りをしたのは2~3日間ほどだったが、ほとんど寝ずに釣りと移動をしていたような気がする。初日、まずはチャチューンサオ郊外の池や川で小型のライギョを狙い、午後はバラマンディ釣り堀へ。その晩はアマゾンBKKという怪魚釣り堀に泊まり、2日目は世界の怪魚釣り。また夜に移動して…巨大な釣り堀へ。そのまま夜通し釣り…という弾丸スケジュールだった。

最後の釣り堀では何種類かの大きな魚が釣れたのだが、その1種がパーカーホ。

そこではグループごとに釣り桟橋付きのバンガローが割り当てられ、24時間釣りをしてもいいし、疲れたらベッドで寝たり、出前を取ることもできる。これもいずれ詳しく書こうと思う。

哀れ、語り部は昼間にピラルクの頭突きを喰らって半死半生状態だった(これも後日書きます)ので…ベッドで寝ていると、小林さんの「よっしゃ!」という声が聞こえた気がした。行かねばなるまい。レンタルの大型スピニングタックルを脇に構えてファイトする小林さん。この時はアマチュアキックボクサーでもあったせいか(?)、やり取りに余裕がある。

小林「そんなに大きくないんだよ…。あ、パーカーホ! やった!」

バンガローのLEDライトに照らされて、ヌボーっと大きな頭が水面に現れた。まもなく、ドデンと桟橋に転がった。それがタイトル写真の1匹。パーカーホとしてはまだまだ若い魚だが、太くて迫力は十分だ。

小林さんの撮影を終え…語り部はまたベッドに戻った。ふう…。と思ったら、また小林さんが「よっしゃ!」と叫んだような…? 蒸し暑い、長い夜だった。

NoomFish456はノンタブリー県にある釣り堀。怪獣のようなパーカーホのオブジェがお出迎え
右が桟橋付きバンガロー。巨大な池の周りに点々とある
エサを投入したら、置きザオにしてアタリを待つ。瓶が倒れたらアタリという仕掛け。ちなみに、レッドブルは元々タイがルーツである
桟橋で食事やドリンクも注文できる。釣り天国か、釣り地獄か…
桟橋に横たわるパーカーホ。釣り上げられて観念したのか、おとなしいのである
小林さんの2匹目。結局、語り部に釣れることはなかった…

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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