福岡県北部・京築地区。“古希”のルーキー・フライマンにヤマメが微笑む!

福岡県の代表的な渓流といえば、県南部の矢部川やその支流・星野川になるが、北部の京築(けいちく)地区にもヤマメの釣れる川がある。いくつかの川には放流も行われており、地元の釣り人が楽しんでいる。しかし、何処も小さな川なのでアッという間に魚はいなくなってしまう。そのうえ藪に覆われていて、フライフィッシングにはちょっと辛いが、その京築の川にぶらりと出掛けてみた。福岡県の遊漁券は県内共通。思い立てばいつでも出掛けられる。

淡水

近場の瀬、どんなフライにヤマメが来てくれるのか?

川見をしながら上流へと向かう。一休みした駐車場から清浄の瀬を見ていると、パシャッ!と跳ねたような気がした。ウグイかヤマメか、幻か。これは確かめなければならない。そそくさと着替えて瀬に降り立った。
様々な羽虫が飛んでいる。取り敢えずこの時期のパイロットフライCDCダン16番を結んで放ってみた。ロッドは7ft6inの3番。それに5Xのリーダー、その先に6Xティペットを矢引き(約75cm)分。どんな小さな川でもロッドはこれ以上短くはしない。ラインがロッドに乗るグーンという感覚が味わえるのは、この長さがギリギリだと思っているからだ。
いずれにしろ初めての川なので、スタンダードなタックルで臨むことにした。案の定藪に仕掛けを取られて難儀する。「これも私の釣りの内」と仕掛けを結び直していると、目の前でパシャッ!が起きた。跳ねが鋭い。小さいがきっとヤマメだ。

福岡県、全県共通の年券、3,000円也
この日はまずCDCダン、軽快にドリフトするよう出来るだけ細身に巻く
空が開かれた瀬を見ていたら、何か跳ねたような…
途中休憩で瀬から上がったところで目にした「禁漁区」の看板。気づいてよかった
いくつかの河川には「禁漁区」あり記載通りの保全が行なわれている

ライズを発見、いざ!

すぐに跳ねた魚の少し上にそっとフライから落ちるように放る。流す筋が違うのか何も起きない。また放る。と、パシャッ!と来た。パシッと合わせた。「掛かった」と思ったらハリス切れをやらかしてしまった。いつものことだが、リーダーとティペットの結び目のティペット側から切れるのである。固唾を呑んでフライの行方を見守るので、つい肩が固まってしまうのだ。そうだ、杉坂研治氏の動画から、サージェンズノットのティペットを二重にして結ぶのを学んでいた(※1)ので、それで繋いでみた。するとそれ以後切れることはなかった。
※1)パワーノット動画:『釣りビジョンVOD』The Knot 杉坂研治~パワーノット~

魚が跳ねて釣れる雰囲気満載の瀬を見るとつい力が入る。そして瀬を潰す。技より精神が試されているのだ

待望の1匹!3匹目の後はコーヒーブレイク

魚はいくらか残っている。イソイソと放る。またパシャッ!があって今度は掛けることが出来た。ちょっと小さいけれど文句はない。
さて次、次と放る。時々パシャッ!でもやっぱり“古希ジイ”は、小さくて鋭いパシャッ!には合わせることが出来ない。なかには、フライの横を空喰いするのもいる。でも、面白い、楽しい。そして2匹目が来た、続いて3匹目も来た。久し振りの超絶経験に全身が熱を帯びてきたので一休み。コンロで湯を沸かしてコーヒーを淹れる
餌釣りでもせいぜい釣れて5、6匹だと聞いていたが、“古希ジイ”はもうフライで3匹も掛けている。「ダハハ、オレってすごくねえ」と、年甲斐もなく浮かれ始める。

1匹目、煌めく瀬の一滴。細い糸のようだった期待が質量を伴って現れたのである
久しぶりの、おやアマゴ君か?ともあれ小を超えた重くて大きい1匹
小さいけれど旺盛である
速やかにリリース、あばよ

同じ瀬にアプローチを変えて再度臨む!

他に行くあてもなし。同じ瀬をまた釣り上ることにした。恐らく魚は出ないだろうが、もう1度初めての瀬を楽しみたかった。
まず、ハリを替える。「胃袋のカゲロウに合わせて」というより、オールラウンドなエルクヘアカディス16番を結ぶ。CDCダンを喰って来ていたので、ダンにも見えそうな何でも来いのエルクヘアカディスなのである。そして、辿る岸辺を右岸から左岸に変える。これはアユ釣りで同じ瀬を2度釣る時のセオリーの応用だ。そんな工夫が効いたのか、もう1匹掛けることが出来た。ルーキー“古希ジイ”がフライで4匹。ウホウホ!!軽く弾んで止まらない。暫くヤマメの顔を見ていなかったし、初めての京築なので嬉しさは一入だ。その高揚した気分が失せぬうちにサッと竿をたたんで、川縁の温泉に浸かって帰ることにした。すっかりのぼせたまんまの凱旋。文句なしの“釣り日和”だった。

この日の主役、メイフライ
胃袋を探ってみるとやっぱりメイフライ
この日の二番手、なんでも来いのエルクヘアカディス。ボディはスレッドのみ
ようやく4匹。でも超絶の釣果
岸辺には藤が咲きはじめて、いよいよフライの季節である

施設等情報

京築地区管轄漁協
京二川漁協(今川、祓川)0930-25-6569
岩岳川漁協(岩岳川、佐井川)0979-88-2694
ヤマメ釣りの年券は福岡全県共通で3,000円だが、日券は京二川では500円、岩岳川では1,000円となる。
なお、漁協情報に管轄の河川名を載せているけれど小河川なので季節や天候によって釣況がかわるので、前もって漁協に問い合わせるのがよいだろう。その際、遊漁券(遊漁承認証)販売所や禁漁区の情報も得ることが出来る。

施設等関連情報

京二川漁協が管轄する今川、祓川へは東九州自動車道今川インターから約20分。
※祓川の伊良原ダム上流には手打ちそばや、みやこ町産ジビエ「みやこ肉」料理を楽しむことが出来る農家レストランがあるようだ。またウォ―キングやサイクリングをファミリーで楽しむことが出来る。
岩岳川漁協が管轄する岩岳川、佐井川へは豊前インターから約20分。
※岩岳川上流には温泉施設やキャンプ場もある。ここもファミリーで楽しむことが出来る河川である。

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

古希の釣人 春と秋は渓のフライフィッシング、夏は鮎の友釣り、ほかは海でキスを狙った投げ釣りなど、季節ごとの釣りを楽しんでいる。釣り場は九州が中心で、中国地方、四国へも遠征。それぞれの釣場から元気に釣り情報を発信。

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