釣りビジョン

2012.12.1号

佐衛美丸・千葉県洲崎港
知る人ぞ知る“カイワリ五目”千葉県・南房、洲崎沖で開幕!

04_main.jpg

アジの仲間では、“最上級”とされるあの高級魚シマアジにも匹敵する美味を誇るカイワリ。市場に出回る事も稀で「釣らないと食べられない」魚でもあるが、意外にも専門に狙っている船宿は関東でも極めて少ない。千葉県・洲崎港『佐衛美丸』では11月から乗合船がスタート、連日トップが10~15尾と安定した釣果が続いている。注目はそのサイズ。アベレージで25~30cm、35cmや40cm級の大型もよく交じる。11月21日に出掛けてみたところ、「1年に1、2度しかない」という程の“入れ喰い”を体験した。

魅惑の“カイワリ五目”

仕掛け図
カイワリと言えば何かの“ゲスト”として登場する程度で、掌大~20cm級がよく見かけるサイズだ。しかし、「“本命”よりも美味い」と大事に持ち帰る釣り人も少なくない。体高のある魚体は正に平アジ系のソレで、引きの強さも抜群だ。2号の細ハリスでのやり取りはスリリングで3本バリにパーフェクトともなれば“底を切る”のに一苦労する程だ。さらにマダイ、アマダイ、オニカサゴなどが“ゲスト”と言う高級魚の“五目釣り”でもある。

『佐衛美丸』オリジナル仕掛け。余程慣れていない限りこれがお勧め
コマセを詰めないでも問題なく釣れた
付け餌は生のオキアミ

航程10分の至近距離でスタート!

この日は北寄りの強風が吹き荒れ、風裏となるはずの洲崎沖も大きなウネリが入っていた。しかし、真沖ポイントまでは12、13分と近く、水深84mで投入合図が出た。「下から2、3mでやってみて下さい」と早川忠信船長。この日は両舷に1人ずつの釣り人が乗船。先ずアタリが出たのは左舷の上野冨次雄さん。軟調だが粘りのあるショートロッドを心地よく叩いて上がって来たのは40cm近い良型のキントキ。続いて右舷でも30cm級のキントキ。いきなり美味しい魚が顔を出した。「キントキはカイワリよりも少し浮いているのかもね」とは上野さん。次の投入では一際強い引きがショートロッドを絞り込む。「何だ?サメか?」。そう言って竿を支える上野さんだが、中々魚が底を離れ様としない。道糸を巻き取っては引き出され、一進一退の攻防が続く。だが、少しずつ道糸を巻き取るペースが上がり始めた。竿は相変わらずの重量感を伝え、大きなウネリが押し寄せる度に緊張感が増して行く。海底から10m、20m程手巻きで対応してから電動リールの低速に切り替える。時折見せる大きな突っ込みをドラグと竿全体でかわして行くのだが、まるでイカダやカセのクロダイ釣りの様だ。それにしても凄いパワー、さすがは平アジ系の魚だ。やり取りの末に姿を見せたのは何とカイワリの3点掛け。それも25~35cm級の良・大型である。程なくして右舷でも30cm級のアベレージサイズ?が上がった。話には聞いていたが、本当に大型ばかりである。

洲崎沖の夜明け
脂の乗ったキントキは刺身で最高!
良・大型カイワリの3点掛け!

1流し目は2時間の壮絶な入れ喰いタイム!

大型カイワリの入れ喰いは暫く続いた。左舷では上野さんが大型の2点掛けを披露し、右舷では1kg級のマダイも顔を出し、さらに40cm級の特大カイワリも釣り上げられた。2人とも足元の桶には沢山の魚が泳いでいる。「潮は殆ど流れていないんですけどね」と船長。「今やればすぐ釣れるから早くやりなよ」と上野さんに促され、私も置き竿で道具を出した。席を離れてすぐ「もう来てますよ!」と船長。竿を手に持ちゆっくりとリールを巻き始めると鋭角的と表現すればいいのか、ギュンギュンと竿が絞り込まれる。「2号の細ハリスでこれは面白い!」。船長に教わった通り10m以上を手動で巻き上げ、電動リールの力を借りた。荒れた海でヤリイカを巻き上げるスピード、その位だろうか。十分に魚のパワーを堪能してキャッチしたのは35cm級の大型サイズである。しかもその後も置き竿に連発し凡そ1時間で6尾のカイワリが足元の桶に収まった。「こんな状況は1年に1、2度しかないですよ」と船長の笑顔が弾ける。どうやら波ッ気があるせいで魚の活性が上がり、置き竿にも程よい誘いが掛かっていたのかも知れない。しかし、通常は常に誘いを掛けた方がアタリは多く、釣果に繋がると言う。決して私が置き竿を得意としているから釣れたわけではなかった。

1kg級のマダイも“本命”ではなかった
シマアジに見間違える?
船中最大は40cm級

コマセは詰めてもコマセ釣りではない?

出船前、早川船長から釣り方のレクチャーを受けた。それによるとコマセカゴは窓を閉め、開けても上を1.5mm程度に調節し少しずつ漏れ出す程度が理想だと言う。コマセを出すと餌取りを寄せてしまう事が多く、付け餌が持たない。慣れた釣り人はコマセを入れないで釣る事も少なくないのだとか。釣り方は極シンプルで底ダチを取ったら糸フケを取り、静かに2、3m誘い上げる。ここで止めて10秒待ってアタリがなければ底ダチを取り直す。これの繰り返しだ。決して強く竿をシャクリ、コマセを振り出すわけではない。しかし、コマセが活躍する場面もある。カイワリの喰いが良くトップで15尾も釣れると資源保護の為に沖メバル(トゴットメバル)に切り替える事もあるという。その際にはコマセで寄せた方が良く釣れるとの事だ。それにしても『佐衛美丸』の“カイワリ五目”。コマセを詰めていてもコマセを撒かないと言うのは不思議なコマセ釣りである。

カイワリのパワーは凄かった!
3点掛けの次は2点掛けだ!
私の置き竿にも3連発だった!

トップは15尾!最後の流しで1.5kgマダイも登場

さて、さすがに朝一から2時間も流すと状況が変化してきた。アタリが遠のくと船長は少しずつポイントをずらして行った。その度にアタリが出てトップの上野さんは15尾のカイワリをキャッチしていた。私も2尾を追加し8尾、小型のレンコダイ(キダイ)が数尾にウマヅラと十分なオカズになった。「この流しで上がって行きましょうか?」と1時間早めの沖上がりが提案された所で私に大きなアタリが来た。「またいいサイズのカイワリかな?」。そう思わせる程力強い引きを楽しんだ。しかし、海面に姿を現したのは50cm、1.5kgのマダイだった。このサイズのマダイと同じ引きをするとは・・・カイワリに対する改めての実感である。日によっては40cm級のアマダイやオニカサゴなどが交じり、クーラーBOXは超の付く高級魚で賑わう。『佐衛美丸』では“カイワリ五目”を年明けの2月一杯から3月中旬頃まで続けるとの事。また、午後船は今期絶好調のアオリイカにも出船中。今年の冬は洲崎通いになりそうだ。

同行のカメラマンにも大型がヒット
1.5kgのマダイが最後を締めくくった

(津端 雄大)
(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県洲崎港『佐衛美丸』
〒294‐0316 千葉県館山市洲崎1‐228
TEL:0470-20-8003
詳細情報(釣りビジョン)
佐衛美丸ホームページ
佐衛美丸釣果ブログ
出船データ
(料金)カイワリ五目予約乗合 アミコマセ・生沖アミ(付け餌)・氷付き10,000円
集合=午前5時30分
出船=午前6時、沖上がり=12時30分
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー