釣りビジョン

2013.1.15号

かめだや・東京都羽田
東京湾・中ノ瀬の“落ちギス”本格化!

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潮温低下の遅れで中途半端な状況が続いていた東京湾の“落ちギス”だが、年末からの厳しい寒さで潮温も下がり、越冬のためシロギス釣りの“メーンスタジアム”とも言える中ノ瀬の深場へ集まって来た。そこで、本年の初釣りタ-ゲットに選び1月4日、多摩川下流に架かる大師橋脇にある『かめだや』から船に乗った。

「早起きは三文の徳!」

午前6時過ぎ、『かめだや』駐車場に着くと何と一番乗り。正月早々気分がいい。荷物を降ろしていると東の空が白み始め、六郷川(多摩川下流部の別名)の水面が朱に染まり輝きを増して来た。眼前の土手から神奈川県側に架かる大師橋のシルエット、その後方に真っ白い富士山、こんな絶景を拝められるのもまさに「早起きは三文の徳!」。これだけで満足してしまいそうだ。気が付くと駐車場は一杯。この日『かめだや』はシロギス船とLT(ライトタックル)アジ船の2隻出し、多くの釣り人が店先に忙しく出入りする。
LTアジ船が先に出船、シロギス船は総勢10人を乗せて舫い綱を解いた。六郷川を下り、左手には羽田空港の滑走路や誘導灯、飛行機の機体が手に取れそうに見える。北寄りの風が結構吹いており、遠目には木更津コンビナートの建物がミニチュアのように見えた。舵を握るのは佃 兼松船長。中ノ瀬を目指して舵を切った。

釣れないかなぁ
“ウサギ”の跳ぶ白波の中
仕掛けの点検

“ウサギ”跳ぶ白波の中、船中第1号は紅一点の女性に!

仕掛け図
北風に押されて中ノ瀬・小柴沖に到着。スパンカーが張られ舳先が風上に向けられた。船長から「やって下さい。水深は26mです」のアナウンス。
仕掛けは、胴付き仕掛けの2本バリか、定番の片テン仕掛け2本バリか迷うところだが、皆さんの様子を見ているとほぼ半々と言う感じ。ほとんどの方が2本竿で1本を置き竿にするスタイルだ。オモリは15号、ハリスは1号70cm。海上は“ウサギ”が跳ぶ様な白波で竿先も風に煽られる。そんな中、仕掛けが海中に沈んで行く。落ちてゆくオモリが相当深くまで確認出来るのは潮が澄んでいる証拠。波と風の影響もありアタリは遠かったが、間もなくこの日の紅一点、左舷ミヨシ(船首)から2番目に座った居酒屋をやっていると言う木村洋子さんが、20cm程の良型シロギスを釣り上げた。船中第1号である。木村さんは、年明け後この日で千葉県・外房地区を含み3日連続釣行との事。どうりで竿捌きに隙がなく取り込みも手早い。船中第2号は栃木県から来たと言う左舷ミヨシの富樫 肇さんが少々小振りをゲット。その後、船中全体でもポツポツとアタリが出始めたが、それも束の間、更に北風が強くなり“ウサギ”が“ヒツジ”に変わり大きな白波に変わってしまった。そこで、船長は少し灘(岸)寄りに船を移動した。水深は少し深くなり30m前後。だが、ここはアタリはあるがハリ掛かりが良くない。「小型が多いのかも知れない」と思っていると、案の定“ピンギス”がボツボツと釣れ出した。暫くすると、少し風が多少収まり、船長は再び小柴沖に船を戻した。

スパンカーを張って
船中2番だ
初獲物

風も収まって絶好の釣り日和に…状況好転!

正午近くなると、風も収まって来て遠くに見える煙突からの煙も斜めに昇り始めた。それと同時にシロギスの喰いも活性化、あちらこちらで良型の一荷釣り(2尾)が続いた。木村さんが富樫さんが、そして右舷トモ(船尾)の舘英雄さんも。更に「俺は、地元の羽田だよ」と言っていた和泉さん、トモ2番目で竿を出していた“上乗り”さんも2本竿で一荷を連発、バケツの中はシロギスで埋まって行った。取材もひと段落した我々も我慢しきれず竿を出した。私は7:3調子の穂先がグラスの竹竿の1本竿、同行のスタッフは1.8mの胴にかかる軟調子のカーボンロッドの2本竿。2人とも片テン仕掛けでハリスは私が1号、ハリは競技用7号、同行者は0.8号でハリはキス専用の7号。
餌の青イソメをハリに真っ直ぐ刺し、タラシを3cm程にしてキャスト。道糸がピンと張って底立ちが取れると、間もなく竿先にピクピクッとアタリ。竿を軽く煽って合わせると、小気味よい手応えでハリ掛かりした。パ-ルホワイトの魚体が海面に浮いた。今年初めての獲物はやはり嬉しい。右隣の連れも右の竿をリ-リング。すると「左にも来てるよ」と操舵室から船長。

良型ゲット
刺し身サイズか天ぷらか
こいつも良型だ

23cm級の大型交じりで入れ掛かり!!

水深が30m近くあるので取り込みに少し時間は掛かるが完全な入れ喰い状態になった。たまに「この時期に…」と思うような“ピンギス”も交じるが、これは魚影の濃い証拠でもある。風と波、そして潮流の関係でポイントを外れるのも早いが底潮が流れているので胴付きの置き竿に頻繁に良型が喰ってくる。
アタリに間が空くと、船長はすぐに竿を上げさせ移動を繰り返した。カケ上がりやカケ下がりのポイントに船を戻す。その甲斐あってか連れのスタッフは2本竿で一荷を含め入れ掛かりに大忙し。木村さんは餌の青イソメを1匹掛けで良型狙い。その狙い通り良型を連発、右舷の舘さんは23cmをゲット、ミヨシの富樫さんも同型を釣り上げた。午後からは“落ちギス”釣りの醍醐味を満喫して午後3時に納竿した。

おおー、ダブルだ
良型の一荷よ
こちらもダブルで来たよ

前半シケにも関わらずトップ75尾

佃 兼松船長
トップは左舷ミヨシの富樫さんが75尾、木村さんが良型狙いに徹して51尾、“上乗り”さんが途中セーブして69尾(「頑張れば束釣りも可能ですよ」と言っていた)。連れは2時間余りで42尾、私は1本竿で31尾と十分に“落ちギス”釣りを堪能した。「やっと魚が固まって来たので、当分は良型中心に数釣りが楽しめると思いますよ」と、船長も明るい見通しを立てていた。

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
東京都羽田『かめだや』
〒144-0043 東京都大田区羽田2-31-13
TEL:03-3741-1258(定休日:毎週火曜日)
六郷土手大師橋際・首都高羽田出口5分
JR蒲田駅東口からバス送迎あり
詳細情報(釣りビジョン)
かめだやホームページ
出船データ
料金8500円(餌)・氷付き
出船午前7時40分、沖上がり午後3時
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