【琵琶湖】難しい釣り場で、初心者に50アップを釣らせてみた!

ニッポンでかバス釣りの総本山、琵琶湖。近年は釣りづらいとされるが、それでも他の湖よりは50アップが釣りやすいと思われる。しかし…ボート釣り初めての初心者だとどうだろうか? 50アップを釣らせることができるのか? 考えながら釣ってみました。(執筆:望月俊典 滋賀県遊漁船主任者 第180号)

バス
  • 滋賀県 琵琶湖

敏腕若手経営者が琵琶湖の50アップバスに挑む!

今回一緒に釣りをするのは、青砥慶さん。デザイン会社の敏腕経営者。東京出身だが、大学時代以降を京都で過ごし、最近滋賀に引っ越してきた。湖西でコアユ釣りをしていたところに…語り部(の愛犬)と出会ったのである。ちなみに、語り部の親友と同じ中学出身だったりして、微妙に縁がある気もする。

語り部が今年飼い始めたフレンチブルドッグを青砥さんも2匹飼っていて、犬道では先輩。しかし、釣りでは語り部が先輩。今年はすでにビワマスも釣らせているのである。

青砥「望月さん、今度バス釣りも始めたんですよ! もしよかったらぜひご一緒に!」

聞けば、岸釣りでは何度かトライしていて、小バスは釣ったことがあるものの…30cm以上のバスはまだ…とのこと。今どきバス釣りをやりたいという、奇特な初心者さんは大事にしなければなるまい。ということで、いつものレンタルボート「ひさの屋」で待ち合わせた。

ゆっくり朝7時半ごろに到着すると、スピニングロッド1本を持って待っていた青砥さん。しかし、そのロッドの先に付いてるルアーは、マスバリちょん掛けされたRV-バグ(ノーシンカーリグ)。これは…琵琶湖では飛ばなすぎるし…ていうか、よくこれで小バス釣ったな…と逆に感心した。しかも、巻かれたラインは8ポンドと太め。

青砥「おはようございます! 僕が50アップを釣るって正直不安なんですが…」

では、どうやって釣らせるのか?次の章から本題に入ろう

子供の頃に何度か海釣りをした経験はあるものの、本格的に釣りを始めたのは今年から。なお、名門高校野球部の元投手で、集中力と身体能力はかなり高そう。やる気も満タンである。 ©望月俊典
6月に語り部と一緒に釣ったビワマス。これは青砥さんの奥様が釣った57cmの大物。 ©望月俊典

初心者に50アップを釣らせるふたつのプランとは?

青砥さんはほぼ釣りの初心者で、ルアー釣りもつい最近始めたばかり。ということは、込み入ったカバーを狙うようなキャスティング技術はまだ期待できない。また、琵琶湖の巻きモノの釣りで必須である遠投も難しいだろう。というか、ベイトタックルは持っていないし、投げたこともないのである。

また、今の琵琶湖はいろいろな釣りを試すよりも、ある程度目星をつけた場所で釣れる確率の高いことをやり続ける方が50アップへの近道だと語り部は考えている。

というわけで、今回は2種類の釣りに絞り込んだ。

●サイコロラバーのダウンショットリグ

望月「まず、今一番安定して釣れているのがサイコロラバーというルアーで、ダウンショットリグという仕掛けで使います。大丈夫、やり方は教えますよ。難しくはないですが、ある程度の集中力が必要です」

●クランクベイトのドラッギング

望月「未知数なところもありますが…キャストもルアー操作もうまくできない人でさえ、バックシートでロッドを握っていれば何匹か釣れる可能性があります。操船は任せてください」

これでなんとか…なるのかはやってみないとわからない。いろいろと準備をして、朝8時半すぎ、ようやく出船となった。果たして釣れるのだろうか…?

今回使用した主なルアーたち。サイコロラバーはおなじみのダウンショット ©望月俊典
ドラッギング用のクランクベイトボックス。シャローからディープまで揃えた。ちょっとゴミが引っかかっても動きが破綻しないものがおすすめ ©望月俊典

今、一番簡単に釣れる釣り方をまずは伝授する

まず、琵琶湖・北湖東岸の有望なスポットを回っていくことにした。釣り初心者の独学ではなかなか到達できない、水深3~10mくらいにあるオダなど。そこに集まるモロコ、ハス、それを狙って回遊してくるバスを釣ろうという作戦だ。

北上し始めて3つ目のスポット、ここはまずまず有望な映り方をしている。

望月「この火柱のように縦に伸びたのがモロコの群れで、その周りで粒状にキラキラしているのがハス、モロコの下にいる大きい影がバスです」

青砥「うへー、すごいですね。こんなにいるんですか…」

とりあえず、スピニングタックルでサイコロダウンショットリグを投げる練習からスタート。有望スポットの真逆にキャストしてもらう。

望月「ルアーではなく、シンカーを投げる意識でキャストしてくださいね」

青砥「こうですか?」

ピシュッ…。

あまり飛んではいないが、悪くない。ただ、着水した方角がまあまあ横にズレているので、そのあたりも練習してもらった。

望月「ルアーが着水したら糸フケを取って、リールから糸を出しすぎないように出して、沈めていってください」

フォール時にラインをリールからダルダルに引き出しすぎてしまうと、風や湖流でラインがフケてしまってルアーアクションに支障が出てしまうのだ。

望月「糸が止まったら、こんな感じでロッドを2回鋭く振って、何秒か止めてください。それの繰り返しです。簡単でしょ?」

こんな感じで説明をされても普通はなかなか難しいものだが、青砥さんは筋がよく、それほど口酸っぱく言わずとも悪くない動きができていた。しかし、この日はなぜか食わない。サイコロといえど、バスにイカサマがバレてきたのだろうか…。

最初に釣りを開始したスポット。魚探を見る限り、かなり有望なのだが…。 ©望月俊典
サイコロダウンショットをキャストする青砥さん。初心者にしてはなかなかうまい! ©望月俊典
釣れるけどハスばかり…。狙って釣ればハスも楽しいのだが、この日は招かれざる客である。 ©望月俊典
サイコロでも簡単に釣れる。 ©望月俊典
青砥さんも小さなハスをスレでキャッチ。 ©望月俊典

なんと、まさか…本当に50アップが釣れてしまった!

青砥「なんか釣れました! バスですか? え、これがハス?」
望月「50アップのバスは少なくともその12倍は引きますよ」

そんな適当な会話をしつつ、いくつかのポイントを回っていく。
昼を過ぎた頃、ついに青砥さんのロッドが満月のように曲がっている!よっしゃ!

青砥「めっちゃ重いです。これ魚なんですか?」

望月「それがバスです!巻いて、巻いて!いや、強引に巻き過ぎ!」

グリグリとやや一気巻きしすぎな感はあったが、ドラグが利いているので大して問題なし。そのうちにバスが姿を表し…まあまあデカいぞ…語り部が構えたネットに収まった。測ってみると…これがなんとジャスト50cm!やった!

青砥「チョンチョンってやった直後にアタリが来ましたね。サイコーです!」

初めて小バスじゃないサイズをキャッチした青砥さん。口に指を入れて…と持ち方を教えて、バス持ち成功! サイズは…ジャスト50cmだ!! ©望月俊典
50cmのバスを釣ったときにサイコロラバーをロストしてしまい…「そのへんに転がってるのを使ってください」と青砥さんに言った語り部。そのあと青砥さんにさらにもう1匹ヒットしたが…バレてしまう。ルアーを確認すると…こんなふうにフックを刺していた。 ©望月俊典

ほとんど技術もいらない、秘密の釣り方とは?

さて、初心者に50アップを釣ってもらうことに見事成功したこの哀れな語り部。趣向を変えて、残り時間は最も技術が必要とされない釣り方で再び50アップを目指してもらおうと思う。

望月「ディープホールという琵琶湖に開いたバカでかい四角い穴があるんですが、そのエッジラインをドラッギングします」

青砥「ドラッギング…?」

望月「ビワマス釣りでやったトローリングと同じです。青砥さんはロッドを持ってるだけでいいので、アタったら合わせてください」

青砥さんはまだベイトタックルを扱ったことがないので、とりあえず、語り部がキャストし、ロッドを持っててもらった。流すのはディープホールのエッジライン。ほぼ正方形なので、流すのも楽だろう。

…と、思ったのだが、ディープホールが人気ポイントだということをすっかり忘れていたこの哀れな語り部。エッジにはポツポツだがボートが浮いていて、思ったように流すことができず。さらに、抜けて浮遊しているウィードがたまにフックに引っ掛かるのだが、それに気づいてもらうのはさすがに荷が重い。

結局、ドラッギングではなんのアタリもなく、終了した。

青砥「でも、琵琶湖はホンマに最高ですね。僕もボートが欲しくなりました。本当に滋賀に引っ越してよかったです!」

ドラッギングの際は、語り部がキャストして青砥さんにロッドを手渡していた。 ©望月俊典
ディープホールにて。ロッドを握っているだけで50アップが釣れる…かもしれない。 ©望月俊典
初心者に50アップを釣らせるというミッションを成功させ、得意げな語り部。 ©望月俊典

施設等情報

『レンタルボートひさの屋』
〒520-0525 滋賀県大津市小野306-89 
Tel.077-594-3288
『レンタルボートひさの屋』のホームページ

施設等関連情報

営業時間 日の出~17:00(夏季)、日の出~16:00(冬季)
レンタルボート代金:1人乗り7000円(9.8馬力)、8500円(20馬力)。2人乗り8800円(9.8馬力)、11000円(20馬力)、3人乗り13200円(20馬力)
公共交通機関:JR湖西線 小野駅下車 徒歩約17分
車:湖西道路 真野IC下車 約6分

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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