2025年07月09日公開

夏の気配が近づきトラウトも活性化する6月中旬、北海道・十勝川水系へ。テーマは〝ビッグミノー〟、狙うはモンスターレインボー。広い大地を踏みしめながら、ひたすら竿を振るった。
ビッグフィッシュの可能性を求めて投入するビッグミノー
北海道でも、6月中旬を過ぎると緑も深まり、虫も増え、トラウトたちは活気づく。とくに20cm未満の小さいサイズが良く釣れる。これはこれでうれしいことではあるが、当然ながら、メインターゲットは大型の魚だ。
北海道では、小規模な流れであっても大型の可能性はある。小さいサイズを避けながら、大型と出会う確率を高めるにはどうすればよいだろうか?ヘビーシンキングで深場をピンポイントで攻めるか…?ルアーのサイズを上げるか…?悩ましいところではあるが、前者だと筆者の実力ではルアーを大量にロストさせる未来しか見えなかったので、〝ルアーサイズを上げる〟戦法に打って出ることにした。そう、今回の釣行のテーマは〝ビッグミノー〟である。ベーシックな50mmのミノーに加えて、分け入る支流の規模にしてはやや大きめの90mm(グリーン系)と110mm(シルバー系)も用意した。
モンスターレインボーや大型のアメマスで有名な十勝川。今回はその支流に入渓する。支流といえど、中~下流域にかけては水量も豊富で40~50cm級のニジマスが棲んでおり、パワーのないタックルを持ち込んで苦戦を強いられる可能性もあるが、取り回しを考慮してロッドはULの6ftをチョイス。リールは2500番のスピニングを組み合わせた。
まずは魚の顔を早めに拝んでおきたいと、肩慣らしに50mmのミノーをボサ付近にアップクロスにキャスト。すると、幸先よく15cm位のニジマスをキャッチすることができた。魚の活性はすこぶるよい。ビッグミノーの出番はないのでは?と思いつつ、今度は例年20cm以上が高確率で釣れるポイントへ移動してみたものの、ここではノーフィッシュ。いい区切りと考え、90mmのミノーにチェンジし、上流へと向かった。
満を持して110mmのミノーを投入!
90mmのミノーで30分くらい投げ続けてみる。シルエットが大きくアピール力があるためか、数センチの小魚は好反応。無数の魚影がルアーを追うが、ヒット迄は至らない。ルアーのことをボス魚とでも思われているのだろうか?時刻は午前9時。陽はある程度昇っていたので、なるべく木陰に、深めに沈めることを意識して竿を振り続けたが「ゴツン!」というアタリが1度あったくらいで、それ以外は何もなし。まあ、大物狙いだから仕方のないことか。
それでは、と、いよいよ110mmのミノーを投入してみることにした。渓流でこのサイズを扱うのは初めてのこと。サーフでサクラマスを狙った以来だろうか。ちょうど強い流れ込みの脇にブレイクがあったので、そこを狙う。できるだけルアーを流れに馴染ませて、とにかく深めを流すよう意識する。すると、3投目くらいだっただろうか、ちょうどブレイクのあたりで「グン!」という重たいアタリがあったのだ!これは絶対に逃がせないと、慎重に、慎重にランディング。30cmオーバーのパンパンに太ったニジマスだった。諦めかけていたところに、非常にうれしい釣果である。
ランディング後、ニジマスが何かを吐き出した。じっくり見てみると、消化途中の体表が白くなっている魚のようだ。恐らくフクドジョウと思われる。大きさは5cmジャストであった。やはり5cm前後というのは、パクッと食べやすいサイズなのだろうか?でもその倍以上の110mmのミノーにアタックしてくるということは、よほど空腹だったのか、それとも大きさゆえに排除の目的で攻撃してきたのか…色々なことが頭をよぎり、謎は深まるばかりだが、今後もビッグミノーを頻繁に使用して、ミノーのサイズについては考察してみたいところである。
小は大を兼ねるのか?
今回、ビッグミノーを使用して改めて気づいた点が2つある。
ひとつはULの6ftという柔らかいロッドでも難なく投げられたことだ。釣行最後に使用した110mmのミノーは13g。渓流釣りでいうと異例の重さで、ロッドの推奨重量も倍近くオーバーしているが、案外イケる。近年の渓流ロッドの硬さの志向もあるのかもしれない。ミノーはもちろん、スプーン、スピナー、虫ルアーなど大小色々な物を投げる渓流ルアーフィッシングにおいては、長く硬いロッドだと、小さめのルアーは投げにくく、硬さと共に長くなると取り回しがしにくい。持ち込む本数も基本は1本なので、当日持って行く小さめのルアーに合わせてロッドをチョイスしてもよさそうだ。小に大を兼ねさせてもアリだろう。
もうひとつはルアーのサイズだ。至極当たり前だが、魚との出会いを増やしたいのなら、小さいルアーが最適なのだろうと改めて思う。ルアーが小さければ、魚体が数cmでも魚は喰ってくる。数cmの超ミニヤマメ~50cmのアメマスまで経験上、射程圏内。とにかく許容範囲が広い。一方でビッグミノーは釣れれば、ある程度のサイズが望める。ただある程度のサイズが来るまでは釣れない我慢の釣りとなる。さらにビッグミノーを喰えるサイズがそのエリアにいなければ、永遠と釣れないことにも…こちらは許容範囲は狭いものの、貴重な大型のターゲットを緊張感持って狙える。
と考えると、ビッグミノーを使っておいて何なんだか、ルアーサイズも小は大を兼ねるのかもしれない。ただこれに関しては、アングラーの好みやターゲットがあるので、「その時々で」としか言えないかもしれないが…いずれにしても今回の釣行では渓流においては、意外と小は大を兼ねるという可能性が見えた。
時期によっては??
最後に釣行の帰りにふと考えたのが、時期によってビッグミノーに対する反応が違うのだろうか?ということ。魚だけに限らず、生き物は繁殖期を迎えると、より外部に対して威嚇的になるはず。大型の個体が空腹を満たす目的でビッグミノーを喰うのなら通年ある話だろうが、繁殖期は小さいサイズでも喰ってきたり、釣れる数も多くなったりするのだろうか…?気になるところである。
さて、これから夏本番を迎え、北海道のネイティブトラウトたちはさらに体力を付け、成長する。そんな彼らとあえてビッグミノーを使い、絶対にバラせない緊張感と闘いながら、釣りを楽しむのも良いかもしれない。
この記事を書いたライター
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