津軽半島北部・今別町の大泊漁港周辺
初冬を迎え、強い北西風が吹き付け、メインフィールドとなる青森県内の日本海側に面した各磯場。それでも、毎年この時期、波や風にも負けず磯釣り師達が竿を振る。今回の釣行日の天気予報は南東風。比較的穏やかでどのポイントにも立てそうだが、前日までのウネリのため波高2.5m予報。磯場と堤防どっちにも釣り座を構えることができる津軽半島北部・今別町の大泊漁港周辺に釣り場を決めた。
現地に着くと直ぐに聞こえる波濤の響き。その瞬間に堤防での釣りを決意し歩を速めた。このポイント、小荒れ時には濁りやサラシといった好条件が重なり、良い釣りが期待できることが多い。ただ、フグさえ居なければの話だが…。フカセスタイルではコマセを投入するため“餌取り”が邪魔をする。その中でこの季節最も厄介な輩、それが「ジェットフグ」と呼ばれるフグの群れ。仕掛けの構成パーツであるウキ止め、クッションゴム、ガン玉等、目に付く物はたとえ餌でなくとも何でも群れで口を使う。結果、毎投ごとにハリが無いばかりか、ラインやハリスを傷つけウキのロストやバラシにもつながる。それが頻繁に起きるとフカセ釣り師には頭の痛いのを通り越して、やる気が音を立てて折れるのを感じる。クロダイがコマセ周辺を回遊し出すと、少しは奴らも大人しくなるが、それまでが何かの修行の様に辛く厳しい釣りが続く。今日はそうならないことを願いつつコマセと仕掛けの準備を整えた。
海況はまずまず、でもハリが無い!?
午前7時過ぎ、堤防先端部から第1投。水深5m程の海底がハッキリとは目視できない位の適度な濁り。加えて消波ブロックからのサラシが潮に引かれながら前に出る。状況としては悪くない。コマセも効いていないため、さすがに餌は取られても仕掛けは無事だろうと仕掛けを回収。しかし、ハリが無い。幸いウキをロストするようなラインの傷はないものの、ガン玉周辺はダメージがあった。その後暫くの間、投入点や付け餌を変更しようが毎投、毎投、毎投ハリが無く結び直し等でハリとハリスの消耗が加速。気が付けば海面付近には多くのフグが、早く餌をくれと言っているように思えた。ここは根気強く“本命”用にダンゴでピンポイントに沖目に少量、フグ用に潮の動きがゆっくりな港内側へたっぷりと切るようにコマセを打ち分け続けた。何とか潮下からクロダイがコマセに寄って来てくれることを信じて。
遂にヒット会心の一撃!!練り餌でアピール成功!
釣り始めて1時間半、相変わらずオキアミ、エビ系の付け餌は取られ続けるが、何とかハリだけは残るようになった。これで付け餌が残り始めればクロダイの接近を確信できるのだけれど…そこでふと気が付いた。ハリが残るのは沖目側、逆に港内側は相変わらずハリすら残らない。これはと思い、見えない海中をイメージしつつウキを一回り大きなサイズに変更、更なる遠投力を追加。付け餌にはアピール力の強い練り餌をチョイス。先程まではまだ解凍しきっておらず使えなかったが、マルキユーの「くわせ練りエサ喰いしぶりイエロー」をチヌバリ2号がギリギリ隠れる位に小さく丸めた。大きく付けるとアピール力は大きいがフグへのそれも大きい。もしクロダイが接近しているのであれば、この大きさで充分アピール出来る。小さくすることで沈下スピードも遅くでき、フォールでのアピール時間も長くとれる。「きっといける!」と期待を込めて仕掛けを遠投、ウキからロッドの穂先までラインを直線になるように修正。糸フケはあまり出さずになじませて行くと、練り餌の比重でウキがゆっくり沈み始めた。次の瞬間、ウキが急加速で海中に没した、同時にラインが走りロッドの穂先にも強烈なアタリ。直線的な走りにドラグが鳴りラインが出ていく。ゴンゴンと“本命”独特な感触に直ぐにそれと分かった。途中足下の消波ブロックに突っ込まれそうになりながらも45cmの良型クロダイを無事ネットインした。
その後も地合、地合に1匹ずつ“本命”を追加し合計3匹。途中何度となくオキアミも送り出したが、全て練り餌による釣果だった。居ても中々口を使わない“本命”に対してアピール度の高い練り餌は今後、海水温が低下していく北東北のフィールドでも効果が期待できるアイテムだ。
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