東京湾・春のシロギス!キャストして探る楽しさを満喫!!

東京湾のシロギスが浅瀬に入って来た感じ。ここ数年、高水温の影響か深場の「落ちギス」釣りが無くなってしまったのは、「シロギス釣りファン」としては残念。
「型より数重視!」で語られる釣り物だが、釣り味は四季によって変わり攻略のレパートリーは多い。春のシロギス釣りは、日替わりで海況が変わり経験値が物を言う。横浜・本牧港『長崎屋』に出掛けた。

船釣り
  • 長崎屋・神奈川県横浜本牧港

アクセスは幾つかあり、ルートによって変わる

●ベイブリッジなどを通って本牧ふ頭で降りる場合(首都高速湾岸線)=本牧ふ頭ICを降りて(出口にすぐ信号)直進、磯子・八景島方面へ(2個目の信号も直進)、次の信号(3個目・漁業組合入口)を右折してすぐに左折する(高速を降りてから約5分)。
●第3京浜などを利用して新山下で降りる場合(第3京浜からの場合、本牧ふ頭出口では降りられないので新山下で降りる)=新山下を降りて3分程で鷗橋信号を右折、病院を左に見ながら直進、次の信号(みなと赤十字病院入口)を左へ。磯子・根岸方面へしばらく直進、高速道路(高速湾岸線)の下に入り、1つ目の信号(漁業組合入口)を右折してすぐに左折(高速を降りてから約10分)。
船宿で受付をして港への向かう時に注意が必要で、昔の港入り口からは現在工事中で入れないので手前の入り口から港に入る。旧入り口の護岸迄行ってしまうとUターン時に大型車が多いエリアなので注意が必要だ。

お店で受け付け。仕掛け等も購入できる
店内には和竿も展示
以前は写真の奥の方まで進み右折だったが、現在、手前の関係者以外立ち入り禁止の門から入る
この門が目印
港に入り、奥まで進む
船の前に駐車場がある

タックル

タックルは、1.8mクラスのシロギス竿とスピニングタックルの組み合わせ。調子は好みだが、東京湾では7対3が基準で、夏の浅場では6対4調子が好まれる場合もある。
スピニングは小型を専用竿と組み合わせ、操作性重視。道糸はPE0.8号前後。オモリは15号。キャストして探り、細かい操作も行うので選ぶ場合は、釣り具店で竿のグリップ廻りとリールの大きさを組み合わせて操作し易い自分に合った物を選ぶと良いだろう。
仕掛けは、片テンビンなら全長0.8~1mの2本バリ。胴突きならハリス30~40cmの物。ハリスはフロロカーボン0.8~1号。ハリはキスバリ7、8号。餌は青イソメを3、4cmというのが基本。

片テンビン仕掛け、胴突き仕掛けとレパートリーが多く楽しい
餌は青イソメが配られる。滑り止めで手返しアップ
釣り座のセットは手返しアップのポイント
仕掛け図

春ならではの海況

午前7時半に集合、準備をしていると自分と同じく「和竿」の釣り人が2人。自分好みの調子が作れる「拘り」も釣りの楽しみの一つ。
8人が乗船して8時に出船。長崎功船長に話を伺うと「小型のシロギスが交じる場合に中々掛けられないんですよね。そこが難しいです」との事。喰いが乱高下、状況によって厳しい時もあるようだ。航程20分程で“中ノ瀬”の水深25m付近に到着。乗船者全員が「長崎屋オリジナル」の胴突き仕掛けだったので、私は片テンビン仕掛けをセット。幸い和竿の人が2人いたので合間を見て、仕掛けでの違いを比較をしてみる事にした。
船長の合図でスタート。この日は、風が強くて寒い一日だった。問題は海水温。10.7度との事。数日前よりも2度以上も下がり活性は下がっていると考えられるが果たして…。

少しずつ陽が伸びて春本番
船に釣り物の札が出ているので分かり易い

その日のパターンを素早く掴む

皆さんキャストして誘いを入れているが潮が速い。回収時に仕掛けの上がる方向を見ていると、途中から道糸のアングルが変わって上がる。これは二枚潮の影響だろう。「アタリは有るんですけれど…」と若手アングラー。ベテラン達も「潮が良くないですね」と、喰わせの間が取り辛い様子。あちらこちらでイトヒキハゼが上がる。それに交じり中型のシロギスがポツリポツリと上がる展開。強い北風、大潮という状況を踏まえて考えると、表面の海水温が下がり、底の潮温は少し高い為に二枚潮が起きている可能性が高いのかも…。
こうなると思ったよりも誘いが効かず、仕掛けが動かない為にイトヒキハゼが多くなり、タイミングが良いとシロギスが反応して掛かるという感じに見えた。それでもシロギスは20~23、24cm級が多く、いわゆるピンギス(小型)は全く掛かって来ない。型が良いので竿を叩く様な小気味良いシロギスの引き。この引き味に嵌る人も多い。
船長はイトヒキハゼが多く掛かると直ぐにポイントを変更。徐々に水深を浅い所に移動して探っている感じだった。水深23m付近でも良型シロギスがヒット。25cm級も登場。潮が効き始めるとシロギスのアタリも出て来て良型があちらこちらで上がっていった。

和竿の釣り人も多い様だ
イトヒキハゼの釣れ方もヒントになる
良型シロギスが上がった
キャストして探る楽しさ
若い人も増えたシロギス釣り
ムシガレイも登場
良型中心だった
ご夫婦でダブルヒット

テンビン仕掛けで狙ってみる

撮影していて気付いたカンドコロは、「全員が胴付き仕掛け」、下のハリは「適正にシロギスに対してアピールしている」、「テンビン仕掛けより誘いが効き易いが、ハリスが短いので喰わせる間を多く作る」と言う所。この状況で想像すると「誘いが効かない」、「吸い込みは良いがイトヒキハゼが多くなる」、「アタリが少ない」と言うパターンになるはず。
そこで、テンビン仕掛けでキャストして糸フケを取り細かく誘いを入れてみた。「フィーリングが悪い」。オモリが着底する感覚は伝わるものの、次のアクションでオモリを動かすと鈍い感触。二枚潮独特のフィーリング。オモリは底に着くものの後から付いて来るハリスは吹き流され、誘いの方向とは違う位置になっているのだろう。
すると“モゾモゾ”というアタリが伝わって来た。少し待ってみてもその後のアタリは無く回収すると、予想通りイトヒキハゼ。次に、着底後にラインを敢えて2、3m巻き、そこから誘いを入れる。オモリがコツコツという感触は全く無いが、仕掛けの位置を想像して誘い続けると再び“モゾモゾ”という感触。イトヒキと全く変わらないが、その感触が続く。巻き合わせてみると引きがどんどん強くなり、シロギスの引きに変化。「これか!」とパターンを読み切って連続ヒットさせる事が出来た。
この時期、ポイントや日並によって喰いの感触が変わる季節。喰いはあるが、吸い込みが弱いという感じが分かりやすいと思う。テンビン仕様だとキャスト回数は胴突きの3倍位になってしまった。ただ、潮が張ると仕掛けも適正に動き、差は少なくなるのも頭に入れておきたい。
今回は胴突き仕掛けでタナボケせず誘うが正解。胴突き仕掛け仕様で、待ちの時間や誘い方を勉強するには最適だ。ビギナーやカップルの方々も私よりもアタリの率は多かったのが印象的。
最後に水深18mでシロギスが連続でヒット。「今期初めて18m付近、浅い所やりましたが良かったですね。魚が動いていました」と船長。
海の状況も“春本番”になって来た。やはりシロギス釣りは面白い。引き味最高の良型主体東京湾のシロギス釣り。是非楽しんでみては如何だろう。

「渋いね」と言っていたお客さんに24cm級
胴突き仕掛けで安心。アタリが取り易いコンディションだった
途中連続ヒット。お見事
「来ました」とビッグファイト。ムシガレイが上がった
テンビンで狙い続けた。やっぱりシロギス釣りは楽しい
船長の長崎 功さん

施設等情報

神奈川県横浜本牧港『長崎屋』
〒231-0822 神奈川県横浜市中区本牧元町33-4
TEL:045-622-8168
定休日:毎週木曜日 釣果・施設情報 長崎屋ホームページ

施設等関連情報

シロギス・ショート乗合
集合時間:午前6時から7時30分までに船宿へ
出船時間:午前8時過ぎ(沖上がり:14時)
乗合船料金:8,000円(氷・餌付き)
※船宿HPに割引券あり/女性&小・中・高校生:5,000円
駐車場:500円
貸し竿:500円

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

山口 充 プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。

その他オススメ記事