埼玉県・名栗川、ヤマメに山菜!恵みあふれる山里の渓流!!

春の渓流は恵みにあふれていた!4月3日、山里の天然ヤマメを求めて埼玉県・名栗川を遡った。生憎の雨天、花冷えの釣行となったが、春の到来を告げる山菜のコゴミも摘めて大満足。

淡水
  • 埼玉県 名栗川

天然ヤマメと山菜を求めて

名栗川は埼玉県南西部の飯能市を流れる清流。正式名称は入間川といい、入間市、狭山市、川越市を流下する。上流域の飯能市では、古くから名栗川と呼ばれているが、下流域のどこまでをそう称するのかについての明確な境界はない。飯能市分の名栗川、特に飯能市と合併前の山間の旧名栗村(名栗地区)では、ひっそりと民家が肩を寄せ合う軒下を流れ、鄙びた山里の小渓流の風情が漂う。

今回、狙ったのは、その里の小渓流に潜む天然ヤマメ。そして、可能であれば山里に春の到来を告げる山菜、コゴミの採取だ。ヤマメは、型を見られればそれで十分。コゴミも少しばかりの採取で良い。

山と川に挟まれた名栗地区の家々
シーズンには都会からの川遊び客がやってくる河原

遡行だけでも癒される山里の釣り場

天気予報が外れることを願ったが、川に着いても朝からの雨は収まらなかった。午後1時半。遊漁券を購入し、合羽を着て釣り場へ。サクラが一気に開花した前日の天候が嘘のように肌寒い。入渓ポイントは、2021年3月に閉校した『旧名栗中学校』の下流。光量が乏しい雨天時のテンカラ釣りでは、普段使用している蛍光イエローのライン(3.5号フロロカーボン3.6m)は見づらい。そんな条件下でも対応できるようにと、携行しているラインの中からひとつをチョイスする。2.4mの蛍光イエローラインに、同素材同番手のオレンジライン1.2mを接続した。水面近くをオレンジラインとすることで、視認性の問題は改善される。遡行中、渓畔を彩る花々が目に飛び込んでくる。緑が色濃くなる前は、「ああ、こんなところにも咲いていた」と新たな発見があるから面白い。そして、癒される。

雨に煙る山々と渓畔に咲く白梅
遠くに見える紫の花はミツバツツジ

ヤマメ1匹で十分満足!

ヤマメが毛バリに躍り出たのは、遡行を始めて1時間程経過してから。主流が右岸の護岸脇を直線状に下り、流れ込みとなって岩盤にぶつかり、向きを変えるところ。たるみに14番の茶系毛バリをキャストすると、飛沫が上がってヒット。身をくねらせ、抵抗しつつ寄ってきたのは16、17cmの美しいヤマメ。尾ヒレがピンと張っていて、プロポーションも整っている。観察して、リリースした。これで所期の目的のひとつは達成だ。

さあ、次はコゴミの採取である。過去に実績のある群生地へと向かった。

名栗川の天然ヤマメ。数に拘らず出来ればリリースしたい

コゴミ採取で春実感

春の代表的山菜と言えば、真っ先にイメージするのはタラの芽だろう。しかし、筆者一押しの山菜は、コゴミ(クサソテツ)だ。アクが無いコゴミは食べやすく、採取するにしても特徴的で分かりやすい。採取地は、ヤマメを釣り上げた場所から車で数分足らずの日当たりが良好で、砂地のような河川敷。時期的にやや早い感じがしたが、探すと5、6cmの新芽が数か所の株から出ていた。有難く、ひと握りほどの新芽を摘ませて貰った。コゴミはクセがないので、万人受けする山菜。食べると、シャキッとしていて、若干のぬめりがある。軽く茹でて鰹節を振り、醤油をかけてマヨネーズで食べるのが私好みの食べ方。コゴミを食べると、春の訪れを実感する。山菜摘みの注意点としては、その日のうちに食べられる分だけに留め、私有地での無断採取は絶対にしないこと。渓流釣りもしかり(筆者はリリースオンリー)。名栗の里のコゴミは釣行を振り返りながら、この日の晩酌で美味しく頂いた。春の渓流釣りは楽しさがいっぱいだ!

なお、名栗川河川敷での山菜採取について、河川管理をしている埼玉県飯能県土整備事務所に確認したところ、河川は公共物であることから、個人や家族が食べる分の採取については問題ないとのこと。ただし、大量採取、立ち入り禁止区域での採取は厳禁だ。

名栗川沿いに自生しているコゴミ
目印は地面に立つコゴミの枯れ葉。この根本から新芽が顔を出す
鰹節を振って醤油をかけ、マヨネーズを付けて食べるのが好み

現地へのアクセス方法、注意点

今回紹介した『旧名栗中学校』付近での釣行におけるアクセス方法を紹介する。公共交通機関を利用する場合、西武池袋線・飯能駅で下車し、北口の国際興業バス3番乗り場から「湯の沢」「名栗車庫」方面行きに乗車する。『旧名栗中学校』の最寄りのバス停は、飯能駅側から「名栗車庫」「小出橋」「森河原」の3ヵ所となり、今回の釣行区間にある『旧名栗中学校』は、「名栗車庫」と「小出橋」バス停のほぼ中間に位置する。これら3ヵ所のバス停のうち、入漁券販売所の「ほてい屋商店」に近接するのは「森河原」バス停となる。『旧名栗中学校』付近を探釣するなら、「森河原」で下車し、バス路線の県道を飯能駅方面へ進み、通りに面した「ほてい屋商店」で入漁券を求め、「名栗車庫」付近まで歩いて下った後、釣り上がる方法がよいだろう。また、『旧名栗中学校』まで下らず、「森河原」から入渓してもポイントは点在する。なお、同路線は運行本数が少ないので、バスの時刻表は忘れずにチェックしておきたい。

次に、車を利用する場合、圏央道・狭山日高ICから飯能市街地方面へ進み、県道飯能下名栗線を経由することになる。下名栗地区「開運橋」下手に入間漁協開設の無料駐車場がある以外、他に釣り人専用の駐車場はない。駐車スペースがないかを釣りに来ている旨説明し、地元の人に尋ねてみるのもひとつの方法。飯能市街地方面からの車利用なら、原市場地区の原市場小学校前の県道に面したコンビニで入漁券が購入できる。

春の里川は遡るだけでも気分がいい

施設等情報

■入漁券に関する問い合わせ先
入間漁業協同組合
〒357-0046 埼玉県飯能市阿須343-1(飯能市林業センター内) 
TEL:042-973-2389
※入間漁協では郵送でも入漁券を販売。要問い合わせ

■現地入漁券販売所
ほていや商店
〒357-0111 飯能市上名栗513-1
TEL:042-979-0064
※不定休。釣行日が決定したら事前に連絡し、入漁券を予約しておいた方が安心 入間漁業協同組合ホームページ

施設等関連情報

入漁料:年券(全魚種)7,500円、日釣券(ヤマメ・マス類)1,200円(現地売り2,000円)
公共交通機関:西武池袋線・飯能駅下車、北口の国際興業バス3番乗り場から「湯の沢」「名栗車庫」方面行きに乗車。「名栗車庫」「小出橋」「森河原」バス停のいずれかで下車。
車:圏央道・狭山日高ICから飯能市街地方面へ進み、県道飯能下名栗線を名栗地区方面へ。

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

小島 満也 雑誌「北の釣り」東京支局を経て、埼玉県西部地方の地域紙「日刊文化新聞」の記者。文化新聞定年退職後は同紙及び釣具の業界紙「釣具新聞」に記事執筆。還暦過ぎても釣欲が衰える気配なし。テンカラを愛好。

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