2025年04月30日公開

例年、1月末から3月にかけて千葉県外房の勝浦沖では寒サバ漁が盛んになる。本命のマサバはもちろん、交じりのゴマサバにも脂の乗りは凄まじく、塩焼きにすればグリルが火事になりそうな程。当然それ目当ての釣り人のニーズに応える形で専門船までが出船する。2025年2月19日、北西の風が吹き抜ける外房の荒海で真骨頂を披露した沖釣り番組「なるほど!沖釣りマスター」の撮影隊。その時の釣りの模様を、彼らのなるほどネタと共に振り返ってみる。
作業性にこだわったフラッシャーサビキ仕掛け
かつて外房の若大将と呼ばれた鈴木新太郎マスター。房総半島の釣りモノで彼の右に出る者はほぼ見当たらないだろう。特に仕掛け作りにはこだわりがあり、今回のフラッシャーサビキ仕掛けも細部まで計算され尽くした設計となっていた。この日は二人のマスター共に8本バリを使用していたが、全くといってもいい程の〝別物〟である。特筆すべきは間の長さ。金澤マスターは120cmに対し、新太郎マスターは50cm。前長は金澤マスターの仕掛けの半分以下となる。私はこの長さの意味の説明を聞いて大きく頷いた。「サバが掛かって巻き上げる時に上から俯瞰して見ると、サビキ仕掛けは泳ぎ回るサバでスパイラルして上がって来る。これは全長の長いサビキ仕掛けの場合、スパイラルの円の直径がより大きくなる。それが原因でオマツリが多発する」と言う理論である。オマツリの時間ロスで、投入回数が減る分、釣果にも影響するのは明白だ。
さらに幹糸にナイロンの20号、ハリスはフロロカーボンの10号で長さは5cmと、こんな太い仕掛けは市販品では作られていない。元々は勝浦のマグロ漁師がエサのサバを釣る際に作った仕掛けだという。「とにかく作業性を重視した仕掛け。幹糸が細いと手繰る時に滑る事と、絡んでも解き辛いから」。という説明には「なるほど!」と納得してしまった。
水深200mの勝浦沖でスタート
「150mから下だな。上がゴマサバ」という船長のアナウンスで投入。
こういうアナウンスの場合、中層に浮く反応はゴマサバで、それよりも下のタナでマサバという状況が多い。もちろん今回の本命はマサバなので、出来れば海底付近まで仕掛けを送り込みたい。すると丁度150mラインで新太郎マスターの竿にアタリが出た。「違うか、ゴマかな?」と、多点掛けを狙ってさらに仕掛けを送り込んでみると少しずつ下に向かって道糸を引き出して行く。頃合いを見計らって巻き上げて来ると40cm前後の中型サイズの3点掛け。ここで早くもなるほどネタが飛び出す。
なるほどネタ1【ゴマサバは喰い上げ マサバは下に突っ込む】
このアタリ方の違いで重要なのが、喰い上げるか突っ込むか。喰い上げるアタリで多点掛けを狙うと仕掛けがグチャグチャにされ、オマツリの原因にも繋がるので速やかに巻き上げる事が重要である。下に突っ込むアタリはマサバと判断して、魚の動きに合わせて道糸を送り込むと多点掛けを狙う事が出来る。一見、単純な作業の様だが正確な判断が出来るかどうかでオマツリを回避出来たり本命のマサバを多く手にできたりするから面白い。ゴマサバにもかなりの脂が乗るが、時にマサバは50cm、1kgを超えるレアモノが釣れる事もあり、もし釣りあげる事が出来れば最高の食材となるだろう。
釣り道具以外に必要なアイテム
この日、釣れるサバはほとんどがマサバでアベレージは30~35cmとやや小ぶりのモノが目立つ。その状況で40cm以上のサイズを何匹入れられるかが勝負となる。これは手返しの重要性を意味しているが、それをカバーするアイテムとして、なるほどネタを披露したのが金澤マスターである。
なるほどネタ2【寒サバ釣りの必需品 ハリ外し、魚バサミ、血抜き用ハサミ】
貴重なサバを美味しく安全に持ち帰るために、釣ってすぐに血抜き処理をする事は欠かせない。「これらのアイテムがあると、魚に直接触れないでリリースや血抜きができるので、無駄に手や竿、リールも汚さず手返しが良くなります」と、金澤マスター。確かに、魚釣りと血抜き処理を同時に行うこの釣りにおいて、ハリ外しや魚バサミがないと必ず手を汚す事になる。このほかに手拭き用のタオルも必需品に追加したい。さらに金澤マスターから、この日MVN賞(最高のなるほどネタ)にも輝いたネタが飛び出す。
なるほどネタ3【血抜きが終わったサバは、すぐに氷水で冷やす】
「血抜きが終わったサバをバケツで長時間そのままにしておくとヒスタミンという物質が増えて食中毒の原因になるんです」。このヒスタミンは加熱処理しても成分が壊れない為に食中毒を引き起こすと言われている。魚が釣れている時ほど釣りに夢中になってしまい、長時間バケツの中で放置すると食中毒の危険がある事を覚えておきたい。
サバの取り込み方にも順番がある
次々と良型のマサバを釣りあげる新太郎マスターから「魚の取り込み方に注目してください」という声掛けがあった。
なるほどネタ4【掛かったサバは先に取り込み、オモリの方からハリを外す】
「魚を取り込む時は、仕掛けを全て船に取り込んでから、オモリ側のハリから順番に魚を外してオモリから海に戻して行きます」。これを反対に、仕掛けを取り込まずに上のハリから魚を取り込んで行くと、風で仕掛けが自分の竿や隣に絡んでしまう事がある。取り込み際に魚が見えるとつい慌ててしまいがちだが、ここは先ず仕掛けを全て船に取り込む事をオススメする。そして太い仕掛けを使う事で、糸絡みも解け易く手返しに繋がるのである。
【動画】「脂ノリノリ!千葉県・勝浦沖の寒サバ」
来シーズンが楽しみな勝浦沖の寒サバ
今年2025年の寒サバシーズンは終わってしまったが、また来シーズンを楽しみにしたい。番組内では喰い上げるゴマサバのアタリと、下に突っ込むマサバのアタリの見極め方や、実践的なテクニックが紹介されているので、来シーズンに備えて、ぜひチェックして欲しい。
特にMVN賞(最高のなるほどネタ)に輝いた金澤マスターのなるほどネタは必見!脂ノリノリで貴重な寒サバを一度味わってみては如何だろうか。
この記事を書いたライター
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