2025年11月28日公開
大型の雰囲気を感じる。その数分後、吉田昇平の竿は弓なりに曲がり、慎重に取り込まれたタチウオは130cm、指8本のスーパードラゴンと呼ぶに相応しい超大型サイズであった。今回は2025年10月21日、愛知県伊良湖水道を舞台に行われた沖釣り番組「なるほど!沖釣りマスター」の撮影模様を紹介する。“大型を選んで釣る”をテーマに、テンヤタチウオのエキスパート吉田はどんな釣りを見せたのか?その時の釣りを、なるほどネタと共に振り返ってみる。
数より型狙いの秘策
タチウオ釣りでよくある“小型の数釣り”。活性は高いが何本釣っても指2本サイズばかり、という状況に手を焼いた経験はないだろうか。数釣りトーナメントなら好都合だが、“数より型”が欲しい釣り人の方が多いだろう。今回の伊良湖水道は正にそんな状況であった。
吉田「数は釣れるけどアベレージが指2本なんですよ」。
普通に釣っていれば、100本以上は釣れるという。その中で少しでも大型に絞って釣るにはどうするのか?指5本でも中々貴重なサイズだが、稀に指8本というスーパードラゴンが上がることもあるという。「できればそんなサイズを狙いたいです」と吉田。2週間前に伊良湖で大型に挑んだ際は、完全に返り討ちにあったというが、「まだまだ秘策があります」という力強い言葉とともに出船となった。
“濃いタナを外す”
水深84m。船長の指示ダナは72mから上。「先ずは指示ダナをやってみます」とストップ&ゴーで探り始める。リールのハンドルを速巻きで5回転して止める。3回目の止めですぐにアタリが出た。アタリがあったら少しずつ上に誘導してフッキング。軽々と上がって来たのは指2本サイズだった。
吉田「“コレ”を釣りながら大型を交ぜて行くのもあるけど、今日は“コレ”を反応させない様な釣り方で行きます」
その一つが“濃いタナを外す”こと。探見丸には70m~64mまで濃い反応が写っているため、敢えてその上の63mで止めるとまたすぐにアタリが出た。「けっこう上で止めたつもりなんだけど」と言って上に追わせると、すぐに引き込むアタリでフッキング。「あれ?これ1ランクサイズが上がったぞ」。フォースマスター300DHで巻き上げると1本目より明らかに力強い引きが竿を絞り込んだ。「これデカイ。指2本じゃない」。海面に姿を現したのは、先ほどの2倍の太さはありそうなタチウオ。ハリ掛かりを確かめて一気に抜きあげると余裕の指5本サイズである。「タナを一気に10m上げて狙ってみたらサイズが変わりました」。“濃いタナを外した”2投目でいきなり結果に繋がった。「今日はドラゴンサイズが出るんじゃないか!」。上々の滑り出しを見せるドラゴンチャレンジに吉田の頬が緩む。ここで今回、最も重要となる〝なるほどネタ〟が飛び出す。
なるほどネタ1【ハリ掛かりしやすいポジションを作る】
竿先に出るアタリを即アワセして、ハリに掛かる時と掛からない時がある。それは、水平状態のテンヤに対して、タチウオが何処にアタックして来ているかによって変わるという。ハリからはみ出たエサの尻尾付近はアワセても絶対に掛からない。このようなアタリの種類や、ハリ掛かりの仕組みに関しては動画で詳しく説明しているので確認して欲しいが、「ハリ掛かりの精度を上げる為に、アタリのあった所から徐々に上に上にタチウオを連れて行くんです」。その過程でタチウオがエサに執着し、結果としてハリ掛かりしやすいポジションを作るのだという。このポジションまで持ち込む事で、どこからアタックして来たタチウオでも高確率でハリ掛かりできるというのだ。こう説明しながら52mでアタリを取りハリが掛かるように上に誘導してフッキング。同じく指5本サイズをキャッチした。吉田の近くでも同じサイズが上がり、聞けば指示ダナをスロー巻きで釣ったという。これを見て吉田が〝なるほどネタ〟を続ける。
なるほどネタ2【小型を刺激しないデッドスローの巻き上げはドラゴンメソッド】
反応の濃いタナで派手にアクションをすれば小型の猛アタックとなる。そこで小型を刺激しない極ゆっくりとした電動リールのスロー巻きで大型を狙うという釣り方である。アピールも弱く小型を刺激しない反面、アタリが少なくなる為、一日中やりきるにはそれ相応の忍耐力が必要となる。
「昔からスローで巻き続ける人がドラゴンを釣る。これをやり続けられる人はカッコイイと思う」。大阪湾キングバトルで数釣りを競う吉田にとっては中々ハードルの高い忍耐と言える。だが今回のドラゴンチャレンジでは、このデッドスローでスーパードラゴンを誘い出すのである。
二日目、大型の雰囲気を感じた直後に指6本
初日は朝の1時間が大型の時合いで、その後は指2本~3本が釣れ続いて終了となった。期待された2日目の朝イチに大型の時合はなく3時間が経過。この日は指3本サイズがポツポツと上がる状況であった。そして特に前触れもなく吉田がつぶやく。
吉田「(大型の)雰囲気を感じる、潮流も少し速くなった」
前日と同じように“濃いタナを外して”デッドスローで静かに狙っていると「お?これは重い(アタリだ)ぞ!」と吉田。そこから丁寧にハリ掛かりしやすいポジションを作ってフッキング。「でかいぞ!」と慎重に巻き上げて来ると指6本と大きくサイズアップ。実はこのヒットの前になるほどネタが2つあった。
なるほどネタ3【(小型らしき)初期アタリは見送り大型の個体に横取りさせる】
これは小型にエサの奪い合いをさせて、近くで見ているであろう大型のスイッチを入れるという作戦だ。
さらに、
なるほどネタ4【大型のアタリは大きく派手、これが出たらフッキング】
吉田が“重い”と表現したのがこれに当たるのだが、“初期アタリを見送って”から大きく派手なアタリをフッキングしていた。これはアベレージサイズが指2本という状況の中で導き出したドラゴンメソッドである。
【動画】狙って獲る!ドラゴンメソッド大公開!
130cm指8本のスーパードラゴン
驚くべきことに、次の投入で掛かって来たのが130cm指8本のスーパードラゴンである。流れも全く同じ、“デッドスロー巻きで出した初期アタリを見送り、重いアタリを掛けた”のだ。ただでさえ希少性の高い指8本サイズを、番組撮影中に狙って釣ったのだから貴重な映像と言って申し分ないだろう。是非この番組を参考にして、ドラゴンにチャレンジして欲しい。
この記事を書いたライター
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