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<東京湾・アオリイカ>シャクって「ズドン」がたまらない!神奈川県金沢八景『野毛屋釣船店』

2025年11月20日公開

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その味覚と釣り味から「イカの王様」と呼ばれるアオリイカ。今季はベテランだけでなく初心者でも安定して釣果を挙げているとの情報をキャッチし、アオリイカ長竿釣法の発祥として知られる金沢八景『野毛屋釣船店』に足を運んだ。

出船は7時15分、受付を早めに済ませるとスムーズ

『野毛屋釣船店』は京急・金沢八景駅から徒歩約10分。取材日は平日ながら開店前からスタッフが駐車場への案内に奔走する盛況ぶり。

店舗は5時半にオープン。入店したらまず船形から席札を取り、釣り座を確保する(釣り物と船名の確認は忘れずに)。続いて乗船カードを記入し、受け付けで乗船料と駐車場代を支払う。氷もここで購入できる。

荷物は店前の軽トラックに預けると、船着き場まで運んでくれるので、釣り竿だけ持って港へ向かえばよい。徒歩2分ほどで船着き場へ到着すると、預けた荷物が並んでいるので、それを受け取り乗船する。船は複数あるため、席札を取った船をお忘れなく。

やがてフグ船でレクチャーが始まる頃、大船長が到着。この釣りに必須の「中オモリ」などが必要な人は、このタイミングで船長に声を掛け、購入しておくとよい。

乗船者の段取りの良さもあって出船準備は早々に整い、『第二忠丸』定刻より早めの出船となった。

長竿をシャクって“ズドン”がたまらない

解纜から30分ほどで海堡周りに到着。海面から中オモリまでの指示ダナがアナウンスされ、一同3~5秒間隔でシャクリを入れるタイム釣りを展開。いくつかのポイントを廻り、しばらく根気の試される時間があったが、左舷ミヨシよりの東さんに待望のヒット!

ズッシリとした手応えで取り込まれたのは“スミイカ”ことコウイカ。東さんは苦笑いだったが、これも食べて美味しい東京湾のブランドフィッシュだ。

ほどなくして右舷胴の間の光森さんに力強いアタリ。竿を引き絞るファイトに本命と見て慎重なやりとりの末、海面に現れたのは良型のアオリイカ。船縁で脚を下にして水や墨を吐かせてから計量したところ900g。正確なタナ取りと弛まぬシャクリが結実し、快心の笑みが零れた。

この後も派手さこそ無いものの、隣席とのダブルヒットに湧く一幕も。船長は「もっと釣れて良いはずなんだけど…」と大貫沖から竹岡沖、久里浜沖の水深25m前後の釣り場をテンポ良く次々と巡った。取材日は水色や潮の流れに難があり、決して釣り易い日並みとはならなかったが、手の合う釣り師から一杯、また一杯と本命を確保して行った。

 

船長に訊くアオリイカ長竿釣法のコツ

『野毛屋釣船店』の名物船長・黒川勇治船長に、手バネシャクリでもティップランでもない、長竿釣法によるアオリイカ釣りについて訊いた。

──例年と比べて今季のアオリイカの状況はいかがですか?
勇治船長「あのね、やっぱり温暖化のせいか、去年なら10月で800g近いのが出てたの。今年は10月だと500~600gですよ、育ちが悪い。でも次の潮の時は800~900g、3回目の潮の時はもう1kgクラス。まだ始まったばっかりだから、これからだね」

とは言え、船中50杯と釣果情報を賑わせ、10月半ばに竿頭15杯・船中80杯を挙げた実績のある今季。数型共に今後の展開に期待したい。

──これから長竿釣法を始めるビギナーにアドバイスやヒントは?
勇治船長「タナを言われたら、水面で(道糸のメーターマークを)決めて、(糸を巻いてメーターマークのある)海面に竿先を持って行く。竿先と指示ダナを海面で合わせて、そこから竿が水平になるまでシャクる。シャクった時に負荷が掛からないとダメです。水圧が掛かったら海中でエギが動いてますよってこと。それでシャクった瞬間に止める。竿先が下がると必ず(ガイドに道糸が)絡まるから。シャクった時に負荷が掛からなかったら強くシャクる。かと言って大きくシャクるとダメなんだ、絡んだりするから。シャクリは強くして、ピタッと止める」

──多彩なエギのカラー、選ぶ基準は?
勇治船長「あれは潮によって。潮が明るいときには明るい色、潮が暗いときには暗い方を使った方が良い。今日みたいな日は(ヤマシタの)『軍艦グリーン』とか暗めの色にした方が良い」

──明るい・暗いというのは日光の射し方の明暗では無くて…
勇治船長「水色。あくまでもエギってのは“シルエット”。シルエットでイカは乗ってくる。濃い所と薄い所があるじゃないですか、色によって。そのシルエットでイカの方はエサなのかが解るわけ。アジ釣りの赤タンなんてのは水に入ると水より黒く見える。ケイムラなんてのは透き通ってるんだけど、夜も平気なんです。だから深くなってもケイムラは効果がある。あくまでシルエット」

アオリイカ釣りにおいて、最終的にはエギのカラーよりシャクリが重要と語る勇治船長。エギを確実に動かすために、道糸はPE3号、ハリスは6号と、キツめのシャクリに対して伸びの出ない太さにするのが得策とのこと。

「何しろね、エギってのはバランスの良いのには叶わねぇよ」と言い切る勇治船長。エギに関してはとりわけ造詣が深い船長だけに、迷ったときは無理に粘らず、素直に相談するのが釣果への近道だ。

最高級のアオリイカがこんなにお手軽♪

かくして、この日の竿頭は3杯を手にした櫻井さん。今季6回目の釣行で、最高は1日7杯。「例年より数は多い気がします」と今季の釣況を振り返った。

長竿釣法はもともと釣り座による釣果差を軽減するために考案された野毛屋発祥のスタイル。この日も胴の間の櫻井さんが竿頭だったことが、その効果を裏付けている。

取材日は船中14杯と釣果の谷間だったものの、翌日は船中23杯・釣果1~5杯オデコなしとしっかり復調。今後も賑わいが期待できる。

野毛屋のアオリイカ乗合は例年5月まで楽しめる。釣り場が比較的浅場で仕掛けの上げ下げやエギ操作がしやすい今の時期は、まさに入門に絶好のタイミング。

貸し竿は長竿よりやや短めで、初心者でも扱いやすい仕様。まずはこれで感覚を掴み、慣れてきたら長竿へ移行するのもいいだろう。

“シャクってズドン”の高揚感と、イカ界最高級と折り紙付きの味覚──アオリイカの中毒性は、実際にやってみないことには伝え切れない。ぜひ、この好機にチャレンジしてほしい東京湾が誇る魅惑のターゲットだ。

今回利用した釣り船

神奈川県金沢八景 『野毛屋釣船店』
〒236-0026 神奈川県横浜市金沢区柳町7-5
TEL:045-781-5964
定休日:毎週木曜日 釣果・施設情報 野毛屋釣船店ホームページ

出船データ

アオリイカ乗合
乗船料金:11,000円(氷別300円)
※女性・高校生10,500円/小中学生6,000円
駐車料金:700円
貸し竿:500円
出船時間:午前7:15
     
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この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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