2025年11月10日公開
これまで「シロアマダイ」と言えば、幻ともいわれるほど“年に数本出れば大金星”だったが、ここ数年は各地で釣果をよく耳にするようになった。そんなシロアマダイが好調、なおかつ大型のアカアマダイも狙えるという情報を頼りに駿河湾へ。実績抜群の静岡県田子の浦港『鶴丸』より出船し、紅白アマダイ釣りをレポートする。
お客さんのリクエストでスタート直後にはアジも狙うことに!
今回お世話になる『鶴丸』が停泊するのは田子の浦港。港は、東名高速道路の富士ICから約6km、新東名高速道路の新富士ICから約9kmという場所に位置する。
集合時間は午前6時。港に到着して身支度を整えていると、同船するほかの釣り人たちも続々到着。船長の鶴蒔謙二さんも到着したので、まずはご挨拶。今回、同船する釣り人からのリクエストで、前半は少しマアジを狙いその後アマダイに向かうというプランになった。
なお、明るい時間帯であれば看板も見やすいが、これからの季節は日の出が遅いため、慌てず入り口を間違えないように安全運転で向かっていただきたい。
シロもアカもアマダイ専用タックルで!
基本的にはシロアマダイ、アカアマダイもタックルは同じで、竿は2.1~2.4m で、6対4調子のアマダイ専用のものがおすすめ。“細かい誘い”が有効なシーンもあり、その動きを取り入れたい場合は7対3調子も面白い。これに組み合わせるのは小型の電動リール。道糸はPEライン3号。
オモリは80号がメインに、潮の速さによっては100~120号も使うことがあるそうだ。
仕掛けは全長2mで、幹・ハリス共に3号前後を使用。針は主に「丸海津系」と「チヌ針系」の2種類のタイプが使われる。「丸海津系」は軸が長く、エサのオキアミを通し刺しやすいタイプだ。一方「チヌ針系」はフトコロが深く大物でも対応しやすい。基本仕掛けには親子サルカンが付いていて交換しやすいので、2種類用意して喰い込みに合わせて変更したい。またマダイと違い底付近を重点的に狙うので、同じ「チヌ針」系でも「ヒネリ」が入ったタイプが私は好みだ。片天秤はアーム長が40cm前後のものを使用する。
前半はマダイが高活性
午前6時30分、美しい富士山を眺めながらポイントへ。航程約20分と近距離からスタートする。まずはリクエストのあったアジ狙いから。なお、「タナは底から」ではなく「海面から」の指示になる。
アジを狙う場合、アマダイの付けエサにするオキアミが配られるので、付けエサの分を別にしておき、アジ釣りに使うコマセとしてカゴに入れる分を砕いて使い、仕掛けはアマダイの仕掛けで対応する。ハリにはオキアミを付け、天秤と仕掛けはそのまま。オモリを80号のビシに変えるスタイルだ。
「45mまで下げてコマセを出して42mで待ってください」と船長からの指示。仕掛けを投入し、指示ダナでコマセを振る。しばらくすると、「来た、アジかな?結構引きます」と一声。慎重に上げてくると「おおっ、マダイだ!引くと思ったんですよ」と嬉しそう。
潮回りして反応が定まり、再スタート。さっそく「来ました!」。引き味を楽しみながら上げて来ると「またマダイだ」と本命ではない釣果に苦笑い。アジ釣りのポイントなのだがなぜかマダイが連発。それでも、コマセが効いてくると、ようやくサバやアジがヒットし始めた。アジも体高があり美味しそうだ。その後アジの反応が今一つだったので、ポイントを移動してアマダイ釣りに変更することとなった。
早速出たぞ!シロマダイ
アマダイ狙いの水深は60m前後の場所。底に着いたら底立ちをしっかりと確認して、底を数回叩き、タナを仕掛け分(1~2m)浮かすイメージで待つ。アタリがなければいったん竿を立て、仕掛けを3m上げるイメージ。仕掛けが安定したら竿を下げ、底立ちを取り直して叩くという操作を繰り返す。エサが落ちて来るアピールと叩く動作で誘う。底にエサが付いたままだと、小魚に取られてしまうことも多いので注意が必要だ。アタリがなければ都度に回収してエサを点検・交換するのが良い。
すると、左舷でヒット。上がって来たのは小型だが「シロアマダイ」であった。直後にまたしても左舷でヒット。今度はビッグファイトだ。時折竿を絞り込むような強引な引きを見せながら上がって来たのは42cmの良型シロアマダイ。“幻”と呼ばれるなど、アカアマダイとは風格が異なる印象だ。「本当にシロアマダイを狙って釣れるんだ」と見ていても感動する展開となった。
船長曰く、アマダイ船として出してはいるものの「シロアマダイ」がメインとのこと。これは面白い。その後数匹のシロアマダイに加えて、アカアマダイも顔を出した。
良型が立て続けにヒット!
ポイントを変更して再スタート。すると同船していた知人の仕掛けに魚がヒットし、ビッグファイトを繰り広げている。引きが強くこれも良型だろうとカメラを用意。時折ラインが出されるほどで、丁寧に時間をかけてやりとりしている。アカアマダイの基本的なポイントよりも水深が浅いことも、この引きの強さに繋がっているのだろう。海面に青白い魚影が見えた。シロアマダイだ。またしても良型が姿を見せた。
このタイミングで記者も竿を出してみる。底は柔らかい砂地のフィーリング。着底から誘い上げるとすぐさまヒット。引きは強いが、どことなくアマダイとは異なる印象で、上がったのは「カイワリ」だった。ゲストとはいえ、美味なるターゲットである。右舷ではマハタがヒットし、ここに来てマアジの活性も高まってきた。
そして立て続けに竿が曲がる。これは間違いなくアマダイの引きだ。慎重に上げて来ると良型のシロアマダイだった。嬉しさに、笑みがこぼれる。この後、さらに再投入するとシロアマダイを追加することができた。水深がせわしなく変わるので、それに合わせたタナ取りを細かく行う必要があり、それが連続ヒットにつながってくる。この後、同船した釣り人にイトヨリダイもヒットし、船上は賑やかに。
最後の最後がすごかった。右舷でのヒットの合図と共に、時間を掛けて取り込まれたのはなんと45cmのシロアマダイ。最高のフィナーレである。後ろ髪を引かれる思いもあったが、ここで沖上がりの時間に。
終わってみれば、なんと釣りあげられた魚の大半がシロアマダイという結果であった。“幻”とされてきたシロアマダイ。こんなにも釣れるとは…驚きの釣果であった。
本命以外にも高級ゲストフィッシュも狙える上がる田子の浦沖のアマダイ釣り。『鶴丸』では3月までアマダイダービーも開催中。大型アカアマダイも可能性が高いので、この機会に是非チャレンジしていただきたい!
この記事を書いたライター
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