地元釣具店で情報収集!夕マヅメには“青物”も…
まだまだ気温が不安定な3月中旬。関東でも季節外れの雪予報が出る中、出張で愛媛県松山と宇和島を訪れた。四国といえば“釣りの聖地”、普段から関東で船釣りを中心に楽しんでいる私も、「空いた時間を利用して釣りが楽しめるのではないか」-と、期待に胸を膨らませ、邪魔にならない4本継ぎのトラウト用パックロッドとコンパクト振り出し竿、小型スピニングリールとアジングセット、チョイ投げ、サビキ、ブラクリ等々の道具をもって“上陸”。とはいえ、四国地方もまだまだ朝晩冷えるこの時期は、海水温も上がりきっておらず中々難しいとの事前情報も…。
初日、宿泊地は松山市内ということで、最初の目的地は空港からも車で近く、初めてでも安心して釣りが楽しめる『大可賀海釣り公園』へ。その前に近くの釣具店を検索し、三津浜港内にある『武士末釣具店』に実際の釣果や状況を確認するため立ち寄った。
この日は天気も良く、風も穏やか。群れが入れば小さなサヨリが釣れているとのこと。コマセのカゴ釣りで小魚が釣れたり、夕マヅメには“青物”も回ってきたりしているという。「お手洗いもちゃんとあるから海釣り公園がいいと思うわよ」と、勧められるまま海釣り公園へナビをセットした。釣具店から車で10分程。工業地帯のような細い道を進んでいくと、とても開けた公園が見えてきた。駐車場には整備されたトイレにベンチ、手洗いなどが完備。公園内では親子連れが弁当を食べたり、楽器の練習をしている学生等、たくさんの地元住民が休日を楽しんでいた。
サビキで良型アイナメ!
岸壁側には胸の丈ほどの柵と整備された遊歩道、清掃も行き届いているとても開放的な海釣り公園だった。取り敢えず釣りを楽しんでいる方のバケツを覗きかせてもらいつつ、状況をリサーチ。端から常連らしい方々がウキ釣り。真ん中辺りには長めのジギングロッドでルアーを投げているお兄さん。
「何か釣れていますか?」、「今日はまだ何も当たらないけど、いい時は“青物”も回っているんですよ!」と、期待は膨らむばかり。少し離れたところでは、親子連れの歓声が上がる。「ワ~!この魚なにー!?」とサビキ仕掛けの下に黒っぽい魚が見え、私も駆け寄って写真撮影。「たぶんアイナメですね。美味しい魚ですよ」。こんな魚がサビキに掛かってくるなんて-と心の中で小躍りしてしまった。
早速隣に竿を出させてもらい、買ったイソメをつけてチョイ投げから。根がかりすると聞いていたので、あまり底を狙わずと思っていても、何か魚が見たい気持ちが勝り、ついつい永めにステイしてしまう。何度か根掛かりしてしまい“餌盗り”の反応もないまま時間だけが過ぎていく。周りも先程のアイナメ歓声を最後に静まり返っていた。それにしても、気持ちのいい天気で、思いっきり投げ釣りが出来るので、本当に気持ちよく楽しい。魚が釣れてくれたらもっと楽しいのだろうな…。そろそろ私のフリータイムも終わりが近づいて、サクっと片づけと周りへ挨拶を済ませてホテルへ。明日は朝からフェリーが往来する港、八幡浜に移動する。明日に期待だ。
八幡浜市での釣りに期待!
翌朝、松山市内から車で1時間程の八幡浜市内へ。ここでも午前中のオフで早朝から釣具店でリサーチ。朝7時半を回り、朝マヅメは終わってしまっていたので周辺の港をドライブしながら港近くの『きくち釣具店』さんへ。
「午前中に時間が出来たので釣りをしたいのですが、この近くで釣りが出来るところはありますか?」と店主の方へ質問したところ、「ジグ投げたらサゴシ(小型のサワラ)が出ているよ。持ってきている道具を見せて」と。取り敢えず10g前後の“格安ジグ”を購入し、「Googleマップ」を見ながらいくつかのポイントを教えてもらい、「この辺りならどうかな」と言われた港へ直行してみた。
8時半を超え、「やっぱり今日も難しそうかな」と思いつつ、道具を片付けている釣り人を見送った。一人ウキ釣りをしているおじいさんに声をかけてみた。「今日はどうですか?何か釣れていますか?」、「今日はなにも釣れてないよ。普段はタイも釣れるし、この前はブリも釣れたよ。今日は向こうでアジが釣れているから行ってみな」と親切に教えて下さり、ハマチの養殖場の隣でサビキ釣りをしているおじいさんの隣で釣りをやらせてももらうことに。
タナは8m程。ウキの下にコマセカゴをつけて、小さめのサビキ仕掛けをセット。少し投げてコマセを振り置いてみた。イワシの回遊やボラの大群がたまに顔を見せてくれるものの、私の仕掛けには何も掛かってこない。暫くすると地元の釣り仲間らしきおじいさん達が近寄ってきて、いろいろと指南してくれた。「俺のサビキ使ってみろ!」、「もっとウキ止めは上がいい!」等々、皆さん毎日の生活に釣りが馴染んでいるのか、マダイがたくさん釣れた話など聞かせてくれた。「それにしても、ねーさん釣れねえな、ワッハハハ!」と賑やかなおじいさん達と和やかな時間が過ぎていった。そんな中、朝からアジ釣りをしているおじいさんには、たまに良型アジが掛かっていた。
ほんの数メートルの違いでもこんなに何も当たらないものかと悶々としながら、そろそろお昼も近づきタイムリミットが迫る。その頃、隣の養殖場ではハマチの出荷準備が始まった。愛媛といえばマダイやハマチの養殖も盛んで、中々見る機会がない養殖魚の出荷風景は圧巻。5kg前後のハマチが目の前のタモ網にすくわれ、トラックに入っていく。箱詰めされ、積まれていく大きな魚を見ながら、目の前の小さなアジに翻弄されている釣り人という中々出来ない体験をさせてもらえ、それだけでもいい時間が過ごせたと納得して竿を収めた。「明日の朝が魚に出会う最後のチャンス!」。期待と不安を胸に周辺の港をドライブしながら最終目的地の宇和島方面へ移動した。
有力情報は地元釣り人と美味しい魚料理
仕事を終え、夕飯は宇和島市内の居酒屋へ。「釣りアジの刺し身」というメニューがあったので、帰りがけに周辺の情報を聞いてみた。お客さんに釣り人も多く、店主も釣りをされるということもあり、朝の短い時間で釣りが出来る堤防を教えてもらった。やはり、数日の低水温と限られた時間では中々難しいと言われたものの、「ここまで来たら、何かちゃんと釣って帰りたい!」と気持ちだけが先行してしまった。それにしても料理はどれも美味しく、釣りアジの刺し身に名物の“宇和島鯛めし”もしっかり食べることが出来て、充実した夕食時間となった。
翌朝5時に起床。5時半には目的の堤防に到着。周りは自動販売機が1台。ホットコーヒーをポケットに入れ、コンパクトロッドとアジングセットを用意。手前でキャスト練習。慣れない堤防釣りと兎に角寒い朝で、穏やかな海には日の出前の静けさ。少しずつ明るくなってきたところで突端まで行ってみた。
目の前にはマダイの養殖場であろう筏に、漁師の船が往来し始めた。“秘密兵器”とばかりにアミノ酸配合のワームをセット。2gのジグヘッドで底を取る。10秒ほど数えて糸フケをとると、ブルっとしたアタリにビックリ合わせすると、いきなり小さなカサゴが上がって来た。「やったー!釣れた!」と叫びたくなるほど嬉しい1匹。10cmにも満たない小さなカサゴの生体反応は涙が出るほど嬉しかった。一人ぽつんと知らない土地で、分からないながらも魚が釣れた喜びは何年ぶりだろう。
その後も落とせば掛かる可愛いカサゴたち。寒さに震える手で優しくリリースしながら、「本当にありがとう!また遊びに来ます」と感謝と感動の1時間。堤防にあるライフジャケット着用の文字や、落下注意など、たくさんの方が釣りに来る環境があるであろう港は、釣り人と町と魚が共存している地域ならでは。素晴らしい景色と夢のある魚たちが遊んでくれる地域が日本中にたくさん存在していることを体験出来た、貴重な愛媛での釣りだった。
施設等情報
施設等関連情報
※公衆便所、売店や自動販売機なし
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。