スピナベサイト発祥の地・高滝湖で湖上レクチャー!
「スピナベサイトが流行して、見えバスに対しスピナーベイトが投げられすぎたからか、一時期は効果が鈍った感もありました。でもそんな状態も落ち着いてきて、今年はまたこの釣りが効果を発揮してますね」
と語った川村さん。その姿は高滝湖(千葉県)のレンタルボートの上にあった。
「スピナベサイトは高滝湖で生まれた釣り方なんです。最初は完全にリアクションでバスが反応していると考えていたのです。でも、突発喰いというより追って喰う反応を見るほどに、反射喰いの要素はあるにしても、バスはスピナーベイトを小魚として認識しているとしか思えなくなりました。その反応を、ボクはナチュラルリアクションと呼んでいます」。
川村さんはこの釣りを駆使して、これまで映像や雑誌などで数々のバスをキャッチしてきた。その威力の凄さに日本中のバスアングラーがマスターしようとしたが、正直なところ「よく分からない」「釣れない」と挫折する人も少なくない。
ヒントその1「着水と同時にブレードを回すコツ」
スピナベサイトのテクニックはこれまで様々なメディアで解説されているが、あらためてその要点をおさらいしよう。
【1】見えバスを発見したらすぐにスピナーベイトをキャストする。
【2】その着水点は、バスの目の前まで徐々にレンジを下げながら泳がせてくるイメージで逆算する。
【3】可能な限りソフトに着水させ、同時にリトリーブを始めてブレードを回転させる。
【4】ブレードが回転するギリギリのスピードでゆっくり巻いてレンジを下げていき、バスの口元へスピナーベイトを引き込んでいく(カーブスローロール)。
【5】バスはスピナーベイトが口元に来た瞬間、または通り過ぎてから追いかけてバイト。
となるわけだが、実際に筆者も川村さんに教えてもらって、一連の流れを試してみるとこれが難しい。とくに【3】の着水と同時にブレードをしっかり回すことが上手くいかない。
「たしかにココが大事なポイントですね。巻き始めにロスが生じると、着水直後からスムーズにブレードが回せず、バスにルアーが生きていない状態を見せてしまう。サミングワークによりソフトな着水と、着水直後からのスムーズな巻き始めを同時に行わなければならないので、頭で考えてやっているウチはスムーズにいきません。体で覚える必要があります」
と川村さん。その動作を身につけるために注意する点はありますかと尋ねると
「着水した瞬間からスムーズにブレードを回すためには、右投げなら左巻きのリールが圧倒的に有利ですね。キャスト後に持ち替えなしでリーリングに入れますから。右巻きだと着水時に持ち替える必要があり、どうしてもタイムラグによってブレードが回らない瞬間が生まれてしまう。また飛行中に持ち替えるのも、サミングがしづらく微妙な距離感の調整やソフトに着水させるのが難しくなる。あとはパーミングも自分はワンフィンガーで投げて、そのまま巻きますね」。
たしかに川村さんは、スピナベサイトではトリガーに人差し指をかけた状態でキャストし、そのままリーリングをしている。
「自分はワンフィンガーで投げた方が精度の高いキャストが決まるので、そのまま巻いています。とにかく着水から自然に泳がせるのが優先。そのために持ち替えもしないで通しますね」。
ヒント2「状況によっては軽いスピナーベイトが効く」
着水後に即座にブレードを回すことも慣れを要するが、そもそもバスのレンジから逆算した着水点を見極め、高い精度でそこに落とすことも簡単ではない。
「たしかにレンジによって落とす場所は変わります。バスが水面から浅いレンジにいれば近くなり、深いレンジなら遠くに落とす必要があります。狙いやすいのはバスが水面直下にいて、その下に水深があること。バスは口元まで来たスピナーベイトをさらに追いかけてバイトする余裕があるわけですから。その状況ならキャストが多少はルーズでもいいです」。
ということは、バスの下に深さがないと難しくなる?
「深いほうがいいってことはないですが、バスが小魚をボトムに追い込む格好を演出できるという意味でも、バスからボトムまでは30cmくらい~1mくらいまでがやりやすい範疇かな。バスがボトムべったりだと、カーブスローロールで引き込んでもバスが反応したと思ったらルアーがボトムに着いてしまう。そこから巻いても喰うことはありません。そんなときは即座に回収して、また入れなおすと喰わせることもあります。こういったバスの下に水深がない状況で有効なのがコンパクトスピナーベイトのチビーブルです」。
川村さんがスピナベサイトでメインとするビーブル3/8ozに対して、チビーブルは1/4oz。その違いは?
「チビーブルは、沈下速度がやや遅く、着水音も抑えられます。バスがスピナーベイトを追いかけるストライクゾーンが狭いときに、軽いタイプなら滞空時間が稼げるイメージですね。バイトミスが減らすことができます。とは言えスピナベサイトの基本はビーブル3/8ozです。スムーズにバスのレンジに届けられたり、キャスト精度も高く遠目に見つけたバスでも射貫きやすい。1/4ozだと、足場が高かったり、深めの水深に見つけたバスまで自然なカーブスローロールで届けにくい。よって、浅い場所が使いドコロになります」。
ヒント3「スピナベサイトをブラインドで活用する」
今回の取材ではスピナベサイトの基本だけでなく、応用テクニックも紹介してもらった。「ボクはスピナーベイトを遠くに投げてスピーディに巻いてくる使い方はあまりしておらず、岸ギワやカバーへタイトにキャストして、そこからの巻き始めで喰わせることを意識して使うことが多いですね。バスは見えていなくとも、スピナベサイトと同じイメージです。着水してからカーブスローロールで引き込みます。スピナーベイトが持つ、瞬間的にバスにスイッチいれる能力はブラインドでも有効なので、狭いスポットでバスに反応させることができるのです」。たしかにこの今回も、川村さんは見えバスを発見できない状況では、バスが居そうなカバーや岸ギワをタイトに狙いながら流していた。実際にその釣り方で、今回最大となる46センチをオーバーハング奥の流れ込みから引き出すことに成功!
カーブスローロールはスピナベサイトの練習になる!
「このカバーや岸にバスが着いていると想定して、スピナーベイトをタイトに入れてブレードを回しながらカーブスローロールで引き込んでいく使い方を続けると、それ自体がスピナベサイトの動作の練習にもなります。いざ、見えバスを見つけたときにも、スムーズにできるようになるはずです」。
たしかに筆者も見えバスは見えなくても、カバーを狙ってキャストやピッチングを繰り返していくうちに、キャスト~着水と同時にブレード回転~カーブスローロールの感覚が少しずつだがつかめてきた。これは確実にスピナベサイト習得の練習になると確信できた!
スピナベサイトはマスターできれば間違いなく、見えバス攻略で大きなアドバンテージなるテクニック。今回の川村さんが解説してくれたヒントを頭に入れて、ぜひとも習得を目指して欲しい。今回の取材では動画撮影も行い、「キャスト~リトリーブのコツ」「見えバス発見からヒットまでの実践」「カバーや岸ギワをカーブスローロールで攻略法」などを解説している。【後編】ではその動画に加えて、さらにスピナベサイトでの釣果UPに役立つハウツーやアイテムを紹介するので、合わせて読んでいただきたい!
【今回使用したタックル】
<ビーブル>
ロッド:スティーズSC C69M+ -ST ファイヤーウルフ(DAIWA)
リール:スティーズリミテッドSV TW 1000HL(DAIWA)+カーボンハンドル/コルクノブ(SLPワークス)
ライン:スティーズフロロ クロスリンク13ポンド(DAIWA)
<チビーブル>
ロッド:BLX LG661ML+RB(DAIWA)
リール:スティーズCT SV TW 700XHL(DAIWA)
ライン:スティーズフロロ クロスリンク10ポンド(DAIWA)
(写真・文、安倍康浩)
施設等情報
施設等関連情報
※ブラックバス・ワカサギ釣り。釣り船、ワカサギドーム船、釣り桟橋など。バッテリー、エレキなどレンタルあり。要遊漁券
車:圏央道・市原鶴舞ICから約5分
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。