滋賀県・琵琶湖のど真ん中でビワマスを追え!

2022年シーズンから始めたビワマス釣り。「幻の魚」や「琵琶湖の宝石」など高嶺の花のイメージがあるが…その実態は!? 

淡水
  • 滋賀県 琵琶湖

個人でビワマス釣りをするには承認が必要なのだ

千葉県から滋賀県へと2020年7月に拠点を移したこの哀れな語り部(←筆者・望月のことです)。ビワマス釣りは気になりつつも、ガイド船はちょっと高いし、やっぱり自分で魚を探して釣りたいな…と躊躇していた。しかし、この釣りビジョンマガジンの編集長である横沢鉄平さんが去年あたりからレイクトラウトをトローリングで狙っているという話を聞き、そういやビワマスもトローリングだし、ちょっとやってみようかな?という気になってきた。ちなみに、トローリング自体は海外釣行では多少の経験がある。南米大陸の巨大な河川で「河の虎」の異名をとるドラードを狙って少し試したのだ。ただし、ドラードの場合はレッドコアラインなどを使わないシンプルなルアー仕掛けだったが。

さて、ビワマス釣りについて調べてみる。(※2021-2022年シーズンについて)
まず、個人所有のボートやレンタルボートを使用する「プレジャーボート使用者」と、乗客を乗せてガイド業を営む「遊漁船業者」でいろいろと規定が異なっている。いずれも琵琶湖海区漁業調整委員会の承認が必要になる。以下、プレジャーボート使用者のルールなど。

●プレジャーボート使用者
釣りができる期間:12月1日〜6月30日
釣法の限定:竿を使用しない引縄釣(トローリング)の禁止
使用できる釣り針の個数と種類:竿1本につき1個(シングルフックのみ)
同時に使用できる竿の本数:承認1件当たり2本以内
持ち帰ることができるビワマスの数:承認1件につき1日当たり5匹まで
その他:釣行中は必ず船舶に章旗を掲げる、全長30cm以下のビワマスは持ち帰らない、等

望月俊典(もちづき・としのり) 千葉県生まれ、滋賀県在住のフリーランス編集者。国内だけでなく、海外の秘境釣行も大好き。コロナ禍の現在は、琵琶湖の畔で仕事をしたり、釣りをしたりしている。2021年12月からビワマス釣りを始めた。
立田猛(たつた・たけし) 京都府生まれ、滋賀県在住。琵琶湖でバス釣りを対象にした貸船店ではおそらく一番古い、レンタルボートひさの屋の二代目。明るくやさしい人柄で、お客さんの信頼が非常に厚い。ご自身も大層な釣り好き。ちなみに、ミラクルバサーとして知られた立田博氏は実兄。
澤井昌之(さわい・まさゆき) 京都府生まれ、滋賀県在住。琵琶湖のパワースポット、Fish! tackle shopの店長。若い頃から琵琶湖の有名プロショップの店長を務め、量販店も経験し、自らオーナー店舗を開業した。木村建太氏、山田祐五氏などを世に出したキーマン。元々ひさの屋の常連だったりもする。
承認されると送られてくる章旗。釣りをするときはこれを掲げる。

意外に簡単!? ビワマスのレイクトローリング

「幻の魚」と呼ばれていても狙ってみるとそこまで難しくなかった…というのを怪魚釣りでは何度も経験してきた(コンゴ河のムベンガなど例外はある。ちなみに、ムベンガは23日間連続ボウズ)。なので、2021年12月に初めて挑戦したビワマス釣りは特に情報も入れず、魚探だけを頼りに狙ってみることにした。すると、なんと釣り始めて1時間くらいでキャッチに成功…。あまりにあっさり釣れてしまったが、広大な琵琶湖から探り当てた1匹は大きな感動があったものだ。

初めてのビワマス。地形からなんとなく生息場所を想像し(当てずっぽうともいう)、トローリングで遭遇することができた。
望月タックル ロッド:スターファイアSF403-10’(イーグルクロー) リール:アンバサダー7000i サーモンスペシャル(アブ・ガルシア) ライン:サフィックス832アドバンスドレッドコア 18ポンド(ラパラ)
仕掛けは根本から…PE2号を50mほど下巻き、レッドコアラインを100ヤード、フロロ20ポンドを8m、ドジャー、フロロ10ポンドをリーダーとして60cm、ルアー…の順。
レッドコアラインを使用したトローリングはトラブルが少なくおすすめ。他にはダウンリガーなどのスタイルがある。
ビワマス用のルアー。本流用スプーン、レイクトローリング用スプーン、ミノーなどを使用。アワビ貼りが効く?
琵琶湖のど真ん中、エンジンでゆっくりと水深40~80mくらいのエリアを流し、なにもない中層にルアーを漂わせる。

シーズン終盤、琵琶湖界隈の3人でビワマスを狙う

さて、前置きが長くなったが…これからが今回の釣行記である。
釣りに行ったのは、6月29日。プレジャーボート使用者の禁漁まであと1日というタイミングだ。メンバーは、猛さん、澤井さん、そして望月(語り部)の3名。猛さんは語り部と一緒に始めたのだが、レンタルボート屋さんという利を生かして釣行を重ね、このメンバーでは最も経験が豊富。なので、トローリング時の操船を担当してもらうことになった。

湖西南部のボート屋さんを出発し、6時50分に琵琶湖・北湖のとある場所からトローリングをスタートした。ひとり1本ずつ、計3本のロッドを竿受けに固定し、レッドコアラインを出していく。時速3kmほどでボートを北上させていると…すぐに澤井さんのロッドがぐいぐいと曲がっている。アタリだ。澤井さんは竿受けからロッドを外すと大きく合わせた。

猛「澤井君、合わせんでええよ。巻きながらぐいーっとやる方がバレにくいよ」

澤井「そうなんですか? つい癖で合わせてしまいますね」

それから100mほどラインを巻き取りると…サイズはそこそこながら綺麗なビワマスが現れた。

流し始めてすぐにヒット&キャッチに成功。シルバーの魚体が眩しい。

バラシまくる望月と釣りまくる澤井さん…この差は一体!?

澤井さんが釣ったビワマスの撮影が済んだとホッとしていると…望月の黄色いロッドのティップがぐんぐんと波打つように暴れ出した。アタリだ。しかもデカそうな…。不器用に竿受けからロッドを外し、リールのクリックをオフにする。そこからクラッチを繋ぎながら一気に巻いてラインスラックを取り…ぐいーん!と巻き合わせを決めた。100m先にいるビワマスの重みをずっしりと感じる。これは…まあまあデカい。50cmはあるな、という期待を込めながらアンバサダーを巻いていると、フッと軽くなってしまった。ビワマスはバレやすいのだ。

猛「ぐりんぐりんと回転しよるから、バレやすいよね。半分くらいはバラしてるかな」

またすぐに澤井さんのロッドにヒット! これは…何匹釣れるんだろうか?

澤井「大きくはないですねー」

と言いながら、ポンピングのようにして巻く澤井さん。

猛「ゆっくりでいいから一定のスピードで巻いて」

猛さんの経験上、それが一番バレにくいそうだ。これはキーパーの30cmは超えていたが、小さめなのですぐにリリースした。その後、澤井さんに次々とアタリが続く。2~3時間で5匹キャッチし、さらに今度はデカそうなヤツとファイトしている。哀れな語り部がランディングをした6匹目は50cmを超えるサイズだった。

アワセたらゆっくりと巻いてくる。魚が見えても油断してはいけない、ここからバレやすいのだ…。
なぜか澤井さんばかりがよく釣れた。これは45cmクラスか。
さらに大物がヒット! 長い距離を巻き取るのでなかなかしんどい。
6匹目は50cmアップ。澤井さん、そろそろ勘弁してください。

澤井「なんですかね? タックルセッティングがいいんですかね?」

澤井さんのタックルは猛さんに借りたもので、仕掛けもラインの太さも同じ。ちなみに、前日はボートでバス釣りをしていて、夕方に琵琶湖の空に浮かぶU.F.O.を目撃したとか…。とにかくツイているのである。

この哀れな語り部はというと、ビワマスは順調にヒットするのだが…4回連続でバラしていた。40cmクラスをボート際でバラシ。50cmアップと思しき大物も掛けたが、ボート近くで澤井さんのラインを躱そうとロッドを立てたらその瞬間にフックが外れてしまった。

結局、澤井さんが6匹、猛さんが2匹、望月が2匹釣ったところでちょっと荒れてきたので、終了となった。午前中でこの釣果。ガイド船などはもっと釣れるのだろうけど、レンタルボートで今シーズンから自力開拓した過程を考えると上出来ではないだろうか。

なお、ガイド船であれば9月末まで釣りができるので、今すぐビワマス釣りを始めたいのならガイドを利用するしかない。自力で釣りたい人は、プレジャーボート使用者の承認申請が例年11月から始まるので、それを楽しみに待とう。

望月がやっとキャッチした1匹。大きくないがビワマスならうれしい。専用に開発された某スプーンで釣れた。おいしくいただきました。
猛さんが2日前にキャッチしたビワマス。ルアーはジョインテッドクロー70(ガンクラフト)。
ゲストで釣れたウグイ。これはこれで楽しめる。
ビワマスは釣るだけでなく、食べるところまで楽しめる。最初はぜひ刺身を試して欲しい。
ビワマスも食べ慣れてくると塩焼きが一番美味しく感じる。焼く前にオリーブオイルを振りかけると表面がパリッとなる。
刺身にして残ったアラや皮は、炙ってから炊き込みご飯にすると絶品である。

施設等情報

レンタルボートひさの屋
〒520-0525 滋賀県大津市小野306-89 
TEL:077-594-3288 レンタルボートひさの屋ホームページ

施設等関連情報

営業時間:日の出~17:00(夏季)、日の出~16:00(冬季)
レンタルボート代金:1人乗り7,000円(9.8馬力)、8,500円(20馬力)。2人乗り8,800円(9.8馬力)、11,000円(20馬力)、3人乗り13,200円(20馬力)
公共交通機関:JR湖西線 小野駅下車 徒歩約17分
車:湖西道路 真野IC下車 約6分

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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