千葉県・房総発!ムラソイ&カサゴ穴釣りワンダーランド!!

キャストしたルアーを泳がせターゲットを誘う。それが一般的なルアーフィッシング。だが、キャスト距離ほぼゼロ、水深20cmもあれば成立するルアーフィッシングがある。それはゴロタ場や潮溜り周辺を狙った根魚ゲーム、通称『穴釣り』だ。通常なら素通りしてしまうような波打ち際の岩陰や、一見、水のない場所に隠れるカサゴやムラソイといった根魚を宝探しのごとく釣りあげる。この痛快さ、一度、体験すると病みつきになること必至!

ソルト
  • 千葉県 房総半島

足元にある『あなたの知らない世界』

ヒザ下よりも水深の浅い岩陰にロッドの先を突っ込んで、その先のワームを少し動かす。すると「出た!」とロッドをしならせ、根魚を抜き上げるのは、ライトゲームのスペシャリスト”チョーシ”こと渡邉長士さん。おおっ!こんな浅い場所で!!と意外に思う人もいるかもしれないが、チョーシさんを始め、この釣りを知っているアングラーからすれば、意外ではなく、もはや常識。「そこなら絶対にいるよね」という認識なのだ。ヒョイとまたいで渡ってしまう岩と岩のすき間や、目を向けることもない岸際の水溜りで魚が釣れる。この釣りを知らない人ならば、その意外性に驚くに違いない。かく言うライターも、十数年前にこの釣りを知った際は、時に20cm以上の根魚が釣れる穴釣りに驚愕したひとりである。

干潮で露出した岸際の岩場。こんな足元の浅い水溜りにジグヘッドワームを落として根魚を狙う。それが穴釣りだ
「あの穴から出てきました。いかにも釣れそうな穴でしょ?」とカサゴを手にするチョーシさん。さて、何匹、釣れるかな?
「はい、また釣れた~」とカサゴを抜き上げる。宝探しやモグラたたきのような感覚。雨でびしょ濡れになりながらも楽しい!

カサゴやムラソイが潜むトライアングルゾーン

「地域差はありますが、穴釣りの2大ターゲットと言えばムラソイとカサゴです。房総半島でこの2種を比較すると、同じ岸沿いでも浅い場所に多いのがムラソイで、やや深いところに多いのがカサゴです。なので、浅場の穴釣りだと、圧倒的にムラソイが釣れるケースが多い。でも、今日はカサゴばっかりですね(笑)」とチョーシさん。
どちらも穴釣りで釣れるサイズは15cm前後。穴釣りで20cmを超えればなかなかのサイズと言える。しかし、なぜ今日はカサゴが多いのだろう?
「おそらく今日は大潮で、しかも最干潮じゃないですか。つまり、普段ならココは穴釣り的感覚では深場。そのため今のタイミングでは、カサゴが連発しているのかな?と推察できます。基本的にカサゴは干潮時にも干上がらない場所にいることが多く、逆にムラソイは干潮時は干上がってしまうような場所まで差してくる。つまり、潮ごとに大きく移動するのがムラソイというわけです」。
根魚の穴釣りで、狙うべき『穴』とは、どんなところだろう。チョーシさんがよく言うのは「狭く暗く深い穴」。この場合の深いとは、あくまでムラソイやカサゴが潜める程度の深さだ。そして、穴の入り口は狭くても、穴の奥に広いスペースがあれば、なおよし。理想的なのは3個の岩が隣接して形成するような穴だ。
「僕はトライアングルゾーンと呼んでいます。このような穴の中にジグヘッドワームを落とすか、えぐれた岩影をワームでトレースしてやれば、スッと出てきてアタックしてきます。この感覚が堪らないんですよね」。
そして、一度、釣りあげるか、出てくる姿が確認できると、自分の目が慣れ、どのような穴が狙い目なのかがわかるようになる。すると、開眼したようにフォーカスが合い始め『オイシイ穴』が見つけられるようになる。そうなればゴロタ場はワンダーランドと化す!

この日、20匹以上釣りあげたが、そのほとんどがカサゴ。大潮の干潮時だったのが理由か。普段はムラソイ率が高い傾向
この日、唯一、釣れたムラソイ。カサゴとは模様と色合いが異なる。満潮時の浅場で釣れやすいのがムラソイだ
たとえば3つの岩が形成する三角形のすき間。この奥(下)に水深が20cmほどあり、潮の出入りがあれば、そこは狙う価値アリ!

ワームの垂らしは短く!が穴釣りの極意

ゼロキャストで足元の穴にルアーを送り込むのが、穴釣りだが、そのコツは、バス釣りで言うところのフリッピングスタイルでルアーを操作することだ。
「竿先からルアーまでの距離は短い時で5cm程度。垂らしが長いと狭い穴に上手く入れられず、しかも穴の中でも波の影響でルアーが暴れてしまいます。また、垂らしが長いとラインが貝のすき間に入り込んでしまうケースも増えます。なので、垂らしは5~10cmほどにしておきます」とのこと。
また、この際、ただ垂らしを短くしておくのではなく、まずは50cmほど垂らした状態にしておく。それからリールと元ガイドの間のラインをつまみ、竿先の垂らしの長さを調整して釣るのが秘訣。これはバス釣りのフリッピングの応用だ。こうすることでトライアングルゾーンや岩のすき間をタイトに攻められるようになるのだ。

狭い穴に正確にワームを落とすためにはルアーの垂らしは短くするのが正解。リールから元ガイドまでのラインを調整して垂らしの長さをコントロールするのがキモ!
左手でラインの長さを短く調節しつつ、岩陰の角にワームを落としてチョンチョンと誘いをかける……
すると、岩陰からカサゴがサッと現れてバイト! 浅い場所ゆえ、出てきてくわえる瞬間が見えることも多い。これも穴釣りの醍醐味
カサゴもムラソイもヒットすると胸ビレを大きく開いて、岩に張り付くように耐える。だから引きが強い。キャッチ後に口からカニなどを吐き出すことも多い

タックルは引退間近のロッド&リールが活躍!

この釣りではロッドの先を岩場の穴に突っ込むなどタックルには優しくない使い方をする。そのため最新鋭のタックルや1軍クラスのタックルだと強気に攻めることができない。だからこそ、ひと昔前のロッドや最近使っていない2軍クラスのロッドを使用するのがオススメだ。「キャストをしないスタイルなので、ある意味、ロッドのポテンシャルはあまり関係ありません。長さも5フィートクラスでも7フィートクラスでもOK。僕はスピニングを使うケースがほとんどですが、ベイトタックルでもOK。この釣りは、使わなくなったタックルを、もう一度活躍させるチャンスでもあります」。そんなタックルで、岩場の穴や岩陰を果敢に攻めよう!

ロッドは6フィート前後が使いやすい。スピニングならラインはフロロの5lbが標準。ベイトタックルでもOKだ。ラインはベイトならフロロで16lb前後がオススメ

3g前後のジグヘッドと2インチクラスのワームだけで遊べる

この釣りで使用するルアーの数は少ない。大事なのはアングラーからの視認性。それゆえ白系やピンク系ワームの使用頻度が高い。そして使用するワームのタイプもおよそ2タイプのみ。
「ワームはシャッドテールとグラブ系ですね。狭い穴の奥に入れないと喰ってこない時はスリムなシャッドテール。活性が高く岩の際に落とすだけで喰ってくるよう時は、よりハイアピールなグラブ系ですね。サイズは2~3インチ。浅いゴロタ場の場合、ジグヘッドは3g前後が使いやすいと思います」とチョーシさん。
この日は、たったひとつのワームとジグヘッドだけで20匹以上のカサゴを釣りあげた。つまり、ルアーローテーションはほぼ必要ない。ただしラインを岩に擦るため、ラインチェックとジグヘッドの結び直しは必須だ。

(上)ジグヘッドは月下美人SWライトジグヘッドSS 2g、3g(DAIWA)。フックサイズは#6、#4。ワームはカサゴ倶楽部ガブリカーリー1.7インチ(DAIWA)。(下)リングキックテール2インチ(カルティバ)
岩に擦る釣りであるため、ラインは傷つきやすい。ザラザラと毛羽立っていたら30cmほど切って結び直そう
取材時の最大サイズは18cmほどで、数は20匹以上をキャッチ。足元に広がるワンダーランドで手軽な根魚釣りを楽しもう!
アングラー:渡邉長士。千葉県は外房生まれ、外房育ちのソルトウォーター・アングラー。ダイワ、カルティバのフィールドテスター、そしてカトウ・オプトワークスからサポートを受ける。アジングや穴釣りに古くから精通

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

宮崎 紀幸 東京は多摩川のほとりに住まうフリーランスライター。
地元・多摩川での釣り&野外活動を楽しみつつ、自身でもトラウトやシーバスなどのルアーフィッシングを嗜む。冬はカワハギ釣りにも熱くなる!

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