腐ってもバラマンディ、プライド高きアジアの純銀
初めてバラマンディを知ったのはこの哀れな語り部(←筆者)がまだ学生の頃。当時アルバイトしていた雑誌編集部の上司が3ヶ月に1回のペースでオーストラリアのケアンズにバラマンディを釣りに行っていたのだ。ガイド船に乗って、河口エリアのマングローブの根元にロングA・16A(ボーマー)などのビッグミノーを撃ち込んでいく…という華麗なスタイル。「IT革命」が流行語大賞を取った2000年当時の話だが、それでもまだ世界の怪魚の情報は少なかった。なので、バラマンディといえばオーストラリア、釣りのプロやセレブが狙う高嶺の花というイメージ。憧れのスーパースター…だったのだ。
時は流れ、語り部が初めてバラマンディを釣ったのは2013年、タイ郊外の人工養殖池だった。最初はてっきりオセアニアの魚だと思っていたバラマンディだが、東南アジアにも広く生息することを知った。そして、アジアではポピュラーな食材であり、盛んに養殖されているのであった。無理に例えるなら、中学時代に憧れた麗しの令嬢、その人生にいろいろあって、いい大人になった頃に場末のスナックで再会したような…そんな気分だろうか。
しかし、腐ってもバラマンディである。ルアーへのアタックは獰猛そのもの、ファイトは苛烈を極め、数匹釣っただけでこちらがへとへとにされてしまう。養殖モノだろうが、見た目の美しさはまだまだ健在だ。ただ、いろいろあったせいか、どんなルアーにでも喰いついてしまうのが玉にキズだが…。まあ、怪魚バージンをきっちり卒業したい人には非常におすすめできるターゲットだ。
バラマンディはアカメ科の魚である。アカメやナイルパーチは近縁で、特にアカメは1984年まで同種とされていたほど共通点が多い(アカメは目が赤く、バラマンディは金色に光るのが違い)。Wikipediaによると「成魚は2m・体重60kgに達する」とあるが…これは疑わしい。1.5mを超えるようなバラマンディの写真なんて見たことがないし、体長2mもあれば100kg超級になるはずだ。ちなみに、IGFAに認定された世界記録はオーストラリアのダム湖で釣られた44.64kg(体長は138cmとされる)である。
もちろん、東南アジアの河口にも生息しているので天然モノを釣ることもでき…なくはない。タイやインドネシアで狙って釣った猛者も複数知っている。この哀れな語り部はというと…マレーシアのボルネオ島、インドネシアのジャワ島、ミャンマーで狙ったことがある。が…この手で抱く夢はまだ叶っていない(2022年現在)。
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