福袋の中身が闇に包まれていた時代の逆転発想
まだブログもユーチューブもなかった頃、釣具店やプロショップで福袋を買うのはちょっとしたギャンブルだった。しかし、稼いだ給料のほぼすべてを釣り具に費やしていた若き日の私は、正月になると友人と各釣具店の福袋を買い漁った。それはお店ごとの福袋の中身リストを作成して、その後の参考にするためだった(何の参考?)。実際、超お得な内容の店もあれば、福袋の値段と中身の定価の総額がほとんど変わらないというショッキングな店まであった。どう考えても「これは使わないだろ」と思える商品ばかりが入っている福袋もあり、その時は不良在庫の処分としか思えなかった。ところが、ある時点から発想の転換を試みたところ、たとえそんなひどい内容の福袋であっても、楽しめるようになったのだ。その方法を簡単に説明すると下記のようになる。
福袋の旨味を骨の髄まで吸い尽くす、必勝法はこれだ?
●まず友人と2人(AとBとする)で、ワリカンで福袋を1個買う。
●お店の近くの喫茶店やファミレスに入り、Aは目をつぶる。
●Bは袋に手を入れて、最初に指先が触れた商品を取り出す。
●Bは取り出した商品に対する印象やヒントを出し、Aにその商品を当てさせる。
●次は立場を交換。Bが目をつぶり、Aが福袋から商品を一つ出して、Bに当てさせる。
●福袋の中身が尽きるまで、これを続ける。
何のことはない、単なるアナログ的な遊びなのだが、これがやってみると抱腹絶倒間違いなし。むしろ、ふざけた商品が出てきた方が盛り上がる。ヒントは言葉以外でもいい。目をつぶった相手に触らせたりしてもいい。大概ヒントを出す方が笑い死にしそうになるはずだ。更にすべての内容がわかったら、ジャンケンで欲しい商品を1個ずつ争奪していくといい。リール1台であとは全部ワーム……みたいな福袋だったら、正月早々スリル満点じゃないか。
最近は良心的なお店が増えて、ひどい内容の福袋はほとんど見かけなくなった。中身を完全に見せてしまう「可視化福袋」まで、普通に売られている。そんな善意あふれる世の中では、この必勝法も無力化してしまう。それはいいことなのだが……一抹の寂しさを覚えてしまうのは、私だけだろうか? 釣具店さん、勇気をもって不良在庫を詰め込んでみては?
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