左利き専用のスピニングリールにビジネスチャンスがあるか?

世の中には右利きの人と左利きの人がいる。日本の場合、右利き:左利きの比率はおおよそ9:1とされている。だから、ほとんどの工業製品が右利きの人に合わせて作られているのは、誰もが知るところだ。釣り具に関して考えると、最近のベイトリールは右ハンドルも左ハンドルもある。そして、スピニングリールはハンドルを左右に付け替えることができるから、左利きの人にも決して不便ではないはず。……と、右利きの人は思っている。でも、左利きの人はそうは思っていないらしい。特にスピニングリールに関しては。(執筆:横沢鉄平)

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本当の意味では左利きの人に優しくないスピニングリール

昨年の年末。信州の山奥でキャンプをしつつ友人たちと酒を酌み交わした。毎年恒例となっているこの年末キャンプは、もう40年も続いている。今回特に盛り上がった話題が、左利き用のスピニングリールについてだった。
「スピニングリールはハンドルを左から右に付け替えられるから、左利きの人でも問題ないだろう」。
俺がそんな話をすると、左利きの友人が烈火のように怒り出した。
「右利きの釣り人はみんなそう思っているだろうけど、違うんだよ!ハンドルだけじゃ本当の意味で左利きの人用にはならない。問題はローターの回転なんだ」
ローターの回転?つまりはこういうことなのだ。ハンドルを右側に付け替えても、ローターの回転方向までは変わらない。スプールを正面から見た場合、ほぼすべてのリールはローターが時計回りに回転して、ラインを巻き付けていく。この方向が、すでに右利きの人のためになっているというのだ。

スピニングリールが古い点は気にしないでください。これが左利きの人用にハンドルを右にしたセッティング。ただし、ハンドルを回すと、ローターが正面に向かって時計回りに回転して、ラインをスプールに巻いていく。これは、ハンドルを付け替えても変わらない。

スプーンを裏返してカレーライスを食べる、そのくらい不便かも?

最も差を感じるのはラインの放出を抑える「フェザーリング」の動作。右手でキャストすると、人差し指で軽くスプールエッジに触れるだけで、ライン放出の勢いを弱めたり、止めたりできる。これがフェザーリング。それは放出されるラインを指の内側で受け止めることができるから、やりやすいのだ。試しに左手で投げてみればよく分かる。左手の人差し指でフェザーリングしようとすると、ラインは指の外側に当たる感じになってしまう。これでは微調整はおろか、放出を止めるのも簡単ではない。その不便さのイメージは、スプーンを裏返しにしてカレーライスを食べる感じとでも言おうか?
「だからさ、どこかのメーカーがね、左利き用のスピニングリールとして、ローターが逆回転するスピニングリールを作ればいいんだよ。そりゃ、普通のスピニングより売れないだろうけど、左利きの人は確実に買うと思うよ」
そういえば、昔アブかミッチェルだったか忘れたけど、ローターが反時計回りで回転するリールを1台だけ持っていたことがある。なんだか使いづらかった。あのリール、左利きの人には使いやすかったのかも? 確かに左利き専用のスピニングリールを開発しても、台数的には売れないかもしれない。でも、間違いなく一定の量は確実に売れるはず。多少価格が高くても売れるのではないか? 世のリールメーカーさん、これはひょっとするとビジネスチャンスかもしれませんよ! 売れると分かっているのに、作らない手はないでしょう。それとも、昔作ってみたけど売り上げがイマイチだったのかな?

右利きの人がフェザーリングすると、放出されるラインが指の内側に当たるので、止めたり、軽く触ったりして、放出を微妙にコントロールすることが可能。
しかし、左手で投げると、フェザーリングしてもラインを指の外側で受ける感じになる。
ラインを止めるときも、指の外側で受け止める。これはやりにくい。
キャストする際に、ラインを人差し指で引っ掛けるのも、正直言ってやりにくい。左利き専用のスピニングリール、登場が待たれる!

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

横沢 鉄平 フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。

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