型良し!味良し!しかもお手軽、“海上つり堀”激推し!!

釣りに行ける日に限って、海が荒れて船が出ない今日この頃。「釣った魚を食べたい!」。荒ぶる狩猟本能を充たすべく、波穏やかで美味しい魚が釣れる静岡県・沼津足保港『海上つり堀まるや』へと向かった!

船釣り
  • 海上つり堀まるや・静岡県沼津足保

富士山を臨む、のどかな沼津足保港

『海上つり堀まるや』のある沼津足保港は、新東名高速道路・長泉沼津ICからでも東名高速・沼津ICからでも50分程。海沿いの県道17号から港へ入る道は『内浦漁業協同組合 足保管理事務局』と書かれた建物が目印。雲が多い日は見えないが、富士山が港を見おろす好ロケーションだ。7時前になるとスタッフが駐車場の案内を始め、窓口がオープンしたら名簿の記入や支払いを済ませる。この窓口で貸し竿や仕掛け、餌の購入をするのだが、初めて利用の際はその旨を伝えれば、スタッフが手取り足取り面倒を見てくれる。仕掛けや餌のセレクトはこの釣り独特なものなので、他の釣りでは上級者でも、まずはスタッフに一任してみるのが好釣果への近道だろう。因みに魚を持ち帰る発泡スチロール箱や氷は一日の釣りが終わった後、釣果に合わせて購入出来るので便利だ。

港への入口は、この建物が目印
このパイロンと看板を右折して、施設駐車場へ
広々とした駐車スペース、入って右側へ並べて停める
窓口が開いたらチェックインを

筏ごとに漁船で移動

“チェックイン”が済んだら、釣り場となる筏へは漁船で移動する。釣りをする筏毎に案内されるので、名前を呼ばれたらライフジャケットを着用の上、道具を持って乗船。乗船したらクーラーやタックルボックスに座るなど安全を心掛けたい。航行5分程で湾内に浮かぶ筏へ到着する。船を筏に係留してスタッフから合図があるまで不用意に立ち上がったり筏へ乗り移らないよう注意を。釣り座はクジ引きで、引いたクジの番号順に好みの場所を選ぶ。準備が出来たら凡そ5時間の釣り放題。撒き餌やサビキ釣りなどの「禁止事項」や、走り回るイナダやシマアジなどの“青物”が掛かったら早めに申告して、他の釣り人は一旦仕掛けをあげてオマツリを未然に防ぐなど、基本的な「マナー」があるので、事前にホームページ等での確認を済ませて置きたい。ルールを守って大物釣りを心ゆくまで楽しもう。

名前を呼ばれるので、順番に道具を持って乗船
乗船後は安全のためクーラー等に座る
岸壁を離れて5分程で筏に到着
スタッフの合図があってから筏へ降りる
ひとまず荷物を降ろし、釣座のクジ引き
準備が出来たら約5時間、釣り放題!

そもそも「海上つり堀」とは?

ここで「海上つり堀」に馴染みのない方々へ説明。「海上つり堀」は海に浮かぶ生け簀付き筏に乗って、その内側の網の中に放された様々な魚を釣るレジャー施設。個室トイレもあり、子どもや女性アングラーも安心だ。海岸が近くに見えるのもオフショアに馴れない人や子供達にとっては心強い筈だ。また、筏の外側で“天然魚”を釣ることも出来る。カワハギやヒラメの実績があるので、興味のある方は是非チャレンジを。
実はこの取材日、関東近県の船宿は海が荒れて悉く出船中止。それでもここでは、風裏となる湾内でさざ波程度、「安心・安全」にのんびり釣りが楽しめた。ビギナーや普段釣りをしない方々の体験釣行にも、釣り船が出ない日の欲求不満なシリアスアングラーにも、お薦めしたい第一のポイントだ。

釣れる魚の全てがグッドコンディション♪
今回、釣りをしたのは1号筏。常連の小峯ご夫妻と吉野さんにご一緒頂いた。最初に竿を曲げたのは小峯さんご亭主。取り込まれたのは2kg級の立派なマダイ。この後が続かず膠着状態の時間帯が暫しあったが、追加放流の甲斐あって俄かに食いが立ち、イナダやシマアジなど“青物”の活性が上がった。この後、再びアタリが遠退いたものの雲が晴れて陽が射すと、マダイの食いが立ち始めた。このように、10m四方の囲いの中に暮らす魚たちが相手だが、大海の釣りと同様に“時合い”があり、釣れる場所や当り餌が刻一刻と変化するのが面白い。釣れる魚はどれも丸々としたグッドコンディションで、飼料にこだわって魚を育てている『まるや』ならでは。「魚の状態の良さ」は第二のオススメポイントとしての特記事項だろう。

「まるや」には5基の筏がある
筏は10m四方、海中に金網が張られている
各筏に1つ、広々とした個室トイレが
筏毎にゴミ箱があるのも親切で快適だ
最初に取り込まれたのは良型のマダイ!
釣れた魚はスカリに入れて活かしておく
一日一回、追加放流がある
放流後、“青物”達の時合到来!
身の締まったイナダ、ナイスファイト!
シマアジをゲット!
雲が晴れて、雪化粧の富士山が
すると、沈黙を破る強烈なアタリ!
取り込まれたのは3kg級のマダイ!磯や船で釣り込んだ人がハマるのもナルホド頷ける…

スタッフに訊く「海上つり堀」虎の巻

海上つり堀でのコツを『海上つり堀まるや』スタッフの青木さんに訊いた。「一番大事なのは餌ですね。ウチで売ってる餌でも充分釣れますけれども、種類が一杯あった方がその日の釣果は良くなります。少しでもご自身で研究して頂いて、餌の種類を増やしてお持ち頂ければ釣果に繋がると思います」。更に「この水温の低い時期は、魚が結構下の方に沈んじゃうので、タナをしっかり底に降ろして頂く。マダイやシマアジはハリスを長く、細くして頂くと圧倒的に食いが良くなります」との事だった。実際、この日好釣果を上げていた小峯夫妻と吉野さんも筏に持ち込むクーラー一杯の餌を用意していて、アタリが遠退くと頻繁に餌の種類を交換して、アタリの出る餌を捜していた。ポイントは「餌」と「泳層(タナ)」と「仕掛け」。詳しくは釣り場でスタッフの青木さん、中田さんに声を掛けて直接尋ねるのが得策だ。ちなみに貸し竿はこの筏用に作られた特注品が仕掛け付きでリーズナブルに借りられるので、ベテランでも初めての際はこれを利用するのがお勧め。この「手軽さ」も第三のオススメポイントとして記しておきたい。

親切丁寧な青木さん(左)と中田さん(右)
常連さんの持ち込むクーラーは特餌で一杯!
貸し道具一式が2,000円、必要充分なスペック
捕食が目視できるので、冬こそ偏光グラスがお薦め!

プロの技術で血抜き処理、だから美味しい!

昼過ぎになると各筏を船が回って、スカリに貯まった釣果をスタッフが締めてくれる。この“締める”という作業。釣った魚を美味しく食べるには非常に重要なタスクなのだが、釣りをしながらの片手間だとどうしても雑になってしまう。また、スキル不足で巧く行かなかったりする。これをスタッフに任せられるのが実は大きなメリットで、エラ蓋の内側で頸椎を切り、迅速に大量の氷海水でしっかり血抜きするという、効果も仕上がり後の見た目も非常に理想的。締め方は魚種やサイズによって工夫がされており、氷漬けの状態で沖上がりまで管理しておいて貰えるもありがたい。この「美味しく食べるための下処理と品質管理」がオススメポイントの4つめ。スカリに付いた2枚の番号札のうち1枚を渡され、帰港後に処置後の魚と交換するので番号札は無くさないようくれぐれもご注意を。

ビギナーは勿論、ベテランにもお薦めしたい!
13時30分に迎えの船が来るので、13時を過ぎると少しずつ片付けを始め、13時25分にはバケツで釣り座を洗い流し、竿を仕舞って沖上がり。冬の時期はどうしても馴れ不慣れで釣果に差が出てしまうのだが「水温が高くなれば、極端な話、ハリに餌さえ付いてれば魚の方からハリに掛かってくれるので、初心者にも常連の方々と同じくらいの釣果になるのでお楽しみに」と、スタッフの青木さんも太鼓判。逆にマニアや玄人釣り師にとっては、今こそ真摯に魚と対峙出来て面白い季節と言える。暖かい時期に沢山釣っても、技術を駆使して釣るこの時期も「釣って楽しい」ことを5つめのオススメポイントとして挙げたい。
この日に上がったのは3kg級のマダイを頭に、4kg超のカンパチ、シマアジ、イナダ、クロソイなど。サイズも良いが何より特筆なのは魚たちの美味しいこと。所謂“天然魚”を日常的に食べている読者のみなさんにもここで釣れる魚のバランスの良い味覚を是非お試し頂きたい。
道具の片付けも魚の下処理もプロにお任せで安全安心な「海上つり堀」という選択。ビギナーやファミリーのレジャーフィッシングには勿論、沖や磯での釣りをやり込んだベテラン層、シルバー層にも強くお薦めしたい。

昼頃、スタッフがスカリを回収、船上で手際良く頸椎を断ち…
スカリ毎に魚袋を分け、氷海水で血抜きする
13時25分に納竿、釣り座を流すエチケット
帰港後、番号札と処置後の魚を引き換える
相席した吉野さんの釣果、難しい中でお見事!
4kg級のカンパチも多数上がった!
氷はバケツ一杯300円、しっかり冷やして持ち帰ろう
半日釣りを楽しんで、大型高級魚のお土産いっぱい!
のんびりたっぷり楽しめる「海上つり堀」が激推し!

施設等情報

静岡県沼津足保『海上つり堀まるや』
〒410-0242 静岡県沼津市西浦足保漁港内
TEL:080-5118-8080
定休日:不定休
詳細情報(釣りビジョン) 釣果・施設情報 「海上つり堀まるや」ホームページ

施設等関連情報

<利用料>※完全予約制
乗合料金:1万2,700円(餌・氷別/2023年4月より1万3,700円)
(こども:6,000円/渡船のみ:3,000円)
貸切料金:1台10万5,000円(餌・氷別/2023年4月より11万円)
貸し竿:2,000円
集合時間:午前7:00
出船時間:午前8:00頃(帰港13:30頃)

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

川添 法臣 釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他

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