山梨県・道志川。渓流解禁!“渓魚”は煌めく清流でじっと春を待つ…

釣り人に春を告げる「渓流解禁」。西日本地区を皮切りに各地の渓流が続々とそのラッシュを迎えている。私もこの「渓流解禁」を毎年楽しみにしている一人だ。私の春はこの日に“渓魚”に出逢うことから始まる。凍えるような寒さの朝を迎えた山梨県・道志川。この日、私の「春」はやって来るのだろうか?

トラウト
  • 山梨県 道志川

稀に見る渇水!道志川はタフコンディション!

出発の時間帯、早朝にも関わらずさほど寒くはなく、「今日は暖かい日だな~」と感じていた。しかし、道志川に近づくにつれて、車の外気温計は下がり続けてマイナスに。車窓から周りを見渡せば、畑には一面霜が降り、朝日に照らされてキラキラと輝いていた。まあ、ここまでは想定内である。毎年、道志川の解禁は凍える朝になる。日釣り券を買いに『湯川屋』さんに寄ると、開口一番!「今年は積もるような雪の日が少なく、どこのポイントもかなりの渇水している」との事。少し嫌な予感。
先ずはお気に入りの“入渓がハードなポイント”へ!そこには驚きの光景が広がっていた。これまで何度となく道志川に釣行しているが、ここまでの渇水は見たことがない。いつもなら川を切れない(渡れない)ような場所も、今年は楽々と“川切り”が出来る。このような状況下では、“渓魚”もかなりの警戒心を持つだろう事は容易に想像出来る。苦戦が予想されるスタートになった。
しかし、何度訪れてもこの美しい清流の川音と鳥のさえずりには癒される。キ~ンと冷えた空気を目一杯吸い込み、第1投!お気に入りのミノーに小気味良くトゥイッチを入れ、岩のヘリや流れのヨレを通してみる。そして、ミノーチェンジを繰り返しながらドンドン釣り歩いて行く。川を切り…、岩を登り…、倒木を巻きながら…。しかし、そこには静まり返った川があるだけ。チェイスどころか、魚影を見る事も出来なかった。

『湯川屋』さんに着く頃には気温計は1℃に。寒い!
日釣り券購入場所はこの緑ののぼりが目印
女性は半額の600円。リーズナブル!
快晴、青空。遠くには真っ白な富士山も綺麗に見えていた
お気に入りの谷は午前中には陽は届かない
気温は低いが河原では春の訪れを感じることが出来る
あちらこちらにフキノトウも顔を出していた
どこも川は浅くなり苔も腐り気味だった
第1投はお気に入りのシンキングミノーで
空を見上げると陽の光に照らされ花粉が飛んでるのがよく見えた。車のフロントガラスにも花粉は積もっていた

一昨年の“爆釣”ポイントに期待を込めて移動!

このポイントは、一昨年、イワナとヤマメが大爆釣した所である。入渓も楽な事から、毎年多くの釣り人で賑わう人気ポイントでもある。が、なんとそのポイントに人っ子一人いない…。「どう言うこと?」。朝一に入った釣り人が釣れずに移動したのか?目の前の流れはやはりひどい渇水だった。今回は仲間3人での釣行。この貸し切り状態で、思い思いのポイントへ向かい、釣りをしてみる事にした。
私は上流へ向かった。上流には繰り返すように落ちこみや淵が現れる。「この渇水状態では、“渓魚”は深みにいるのではないか」と考え、的を絞って淵や水深のあるポイントを中心にキャストを繰り返した。ミノーがダメならスプーン、スピナーと、手を替え品を替えて丁寧に探って行く。しかし、相変わらず生命反応はない。どれほど釣り上がっただろうか、大きな淵に辿り着いた。
時折吹く風で水面は揺れ、水中が見えにくい状態だったが、水中で煌めくような何かが?風が止むのを待って目を凝らして見ると、この日初めての魚影発見!しかもヤマメらしきものが沢山いるではないか!「やっと“巣”を見つけたぞ!」と、喜んだのも束の間、ミノーを投げても見向きもされない。それどころか逃げて行く。どうにか見える“渓魚”は底の方でじっとしている。非常に動きが鈍く、到底釣れるとは思えなかった。
仲間に連絡すると、釣果をあげている者は誰もいなかった。そこで仲間をこの唯一魚影の見えるポイントへと呼んだ。これはチームプレーで挑むしかない!誰か一人でもまずは「春を釣り上げよう!作戦」である(笑)。
交代しながら周辺を丁寧に探っていく。チェイス!までは漕ぎ着けたが、釣り上げる事は誰も出来なかった。

移動した人気ポイントのキャンプ場には、解禁日に釣れたというヤマメが
よい感じの落ち込みにも魚影はなし…
大岩を何度も越えた。足も腰も痛い。久々の川歩きはハードだった
やっと見つけた魚影!“放流魚”は渇水の為バラけず深みに溜まってしまっているようだ
ルアーには無反応
ボトムノックスイマーには唯一反応を見せ、チェイスまでは持ち込めた

最後のポイントは道志の観光スポット『道の駅どうし』へ

川には相変わらず釣り人がいないものの、道の駅は多くのバイカーや観光客で賑わっていた。
「さあー!ここで釣るぞ~!」。意気揚々と3人は昨年釣果があった下流へと向かった。私はひたすら歩き、最下流からのスタート。暫く釣り歩くと、キャストしたミノーが岩横の掘れ込みを通過した瞬間、黒い魚体がチェイス!「おお~!」と叫びそうになったが、声をころしてもう1度!来ない…。ミノーをチェンジしてもう1度粘ったが、魚が2度と顔を見せてくれる事はなかった。
しかし、このポイントには生命反応を感じる。まだチャンスはありそうだ。そして、本日ついに最大のチャンスが来た!思ったより浅場でそれは突然やって来た。“放流魚”であろう尺(約30cm)近くありそうな大きなヤマメがHIT!ゆっくりゆっくり引き寄せる。タモを差し出した瞬間ヤマメは大きくローリング!見事にハリを外して逃げていった…。ショック!「逃してたまるか!」。もう1度同じコースにミノーを通すとまたまたHIT!「今度こそ!」。 しかし、またしてもハリが外れた。くう~。「3度目の正直じゃ~」。もう1度!すると今度は下流方向から別の魚が飛びついてHIT!ゆっくりゆっくり…。あと1m、あと30cm。タモの縁に到達したヤマメは、パーマークがくっきりしている美しい魚だった。と!なんと!最後の最後でこのヤマメさん大きく体をしならせた! 宙に浮いた魚体はタモの中ではなく、夕日に照らされ煌めく流れへと消えていった…。2度ある事は3度あった。さすがに戦意喪失!

このエースで3連発もバレ、バレ、バレ…

友人についに春が…私の春はお預けとなった

トボトボと上流の仲間の元に向かう途中、メールが…。そこには美しいヤマメが写っていた。友人についに春が来たのである。こちらも浅場で来たとの事。午後になり水温が上がり、陽の当たる浅場に出て来たようだ。しかしながら、ポイントと活性の上がる時間帯とが合致しなければ、中々魚達に出会う事は出来ない。私と相方には春は来ないのか?相方の姿が見えると何やら友人も合流し、盛り上がっている。なんとそこには良型のネイティブな立派なイワナが。 堰堤の落ち込みでドンと来たらしい。相方にも春が来た!その後、足がもつれるほど歩き、粘りに粘ったが私の春はお預けとなってしまった。あと少しのところで手から溢れ去った春よ!遠き春よ~。
まだ水温も上がらず、渇水の中、“渓魚”達も今か今かと春を待ちわび、深みでじっと待っているかのようだった。道志の春はこれからだ!ヤマメよ!イワナよ!次こそは共に春を迎えよう。

友人に来た春1号!パーマークくっきりの美しいヤマメ
相方には堰堤の深みできたイワナが春を告げた
背中の白い斑点もくっきり!29cmの立派なイワナ
ポイントも時合も的確に捉えた友人にはまたヤマメHIT!
今回釣れた魚は皆15時前後の時間帯に来た
行く歩き、よく投げたが「お手上げ~」

施設等情報

「道志村漁協協同組合」
山梨県都留郡道志村東神地9237
TEL:0554-52-2966
道志村漁協協同組合ホームページ
「道の駅どうし」 「道の駅どうし」ホームページ

施設等関連情報

漁期:2023.3.1~9.30(夜明け~日没)
年券:6000円 日券:1200円(中学生、身障者、女性は半額)
・遊魚券は道志村内国道沿いに緑の「入漁券販売所」ののぼり旗がある。商店、民宿、キャンプ場にて購入可
・詳しくは漁協ホームページを

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

SHOHEY 鮎にゾッコン!ずっと川に浸かっていたいと思う日々を過ごす。3~4月は渓流釣り、5~10月の休みは全てを鮎釣りに捧げ、全国各地を「鮎な夏!」で駆け巡る。主催するアウトドアの団体にて、キャンプや釣り初心者のためのイベントなども開催。

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