最大体重300Kgの絶滅危惧種。ギネスにも認定された 世界最大の草食魚の名は?【世界怪魚図鑑19】

世界最大級淡水魚の一角とされる、アジアの巨躯。巨大な個体だと体長3m、体重300kgにも達するという…。絶滅危惧種ながら、わりと手軽に釣れる怪魚…それがメコンオオナマズだ。

その他

メコン川ではなかなかお目にかかれない釣り堀の顔役

世界最重量の淡水魚としてギネスブックに登録されているというメコンオオナマズ。かつてはメコン川流域などに多く生息していたが、乱獲や環境悪化により現在は絶滅が危惧されるほどに数を減らしてしまっている。ベジタリアンの淡水魚としてはパーカーホ(世界怪魚図鑑14で紹介したコイのお化け)と並んで最大である。

語り部的には、野生の個体と1度(とはいえ自然繁殖個体ではないと思われる)、釣り堀で2度、彼らと遭遇している。

1度目は2009年にマレーシアの野池群で釣りをしていたら、大きなナマズがどんぶらこと水面を流されてきたのだ。どうも浮き袋が膨らんでうまく泳げない状態のよう。一応、捕まえて記念撮影をした。

2度目は2019年に元上司で釣り友達の小林孝延さん、その釣友の池尻幸造さんとタイに釣りに行ったとき。過密スケジュールの晩に、ノンタブリー県にある釣り堀、NoomFish456へ行ったのだ。ここは24時間営業で、嫌というほど釣りができる施設。グループごとにバンガローが割り当てられ、エアコンの効いたベッド付き・シャワー・トイレ付きの個室があり、その外の専用桟橋で優雅に釣りを楽しめる。お腹が空いたら出前も可能。まさに釣り天国…いや釣り地獄というべき危険な施設だった。

筆者はその日の昼にピラルクのヘッドバッドをまともに喰らい(世界怪魚図鑑16参照)半死半生で釣りに集中できる状態ではなかった…が、なんとか小型のメコンオオナマズを釣ることはできた。

釣り方は練り餌を使った餌釣り。「ガイドを雇わないと難しい」という話を聞いたことがあったので、迷うことなくお願いした一行。練り餌をいい感じに作ってくれるし、遠投で沖のポイントへと仕掛けを投げてくれる。我々はアタリがきたら合わせてファイトするだけである。

有名なブンサムランに行った人たちからは「人間サイズがヒットするとものすごい引きの強さで、身体中パンパンになる。何匹か釣るともううんざり…」というような話を耳にしたが、残念ながらそこまでの大型がヒットすることはなく…昼近くまで数釣りをした…と思う(脳に損傷を受けていたため記憶が曖昧である)。

マレーシアの野池で桃太郎の桃のように流されてきたメコンオオナマズ(たぶん)を小野寺万世さんが捕獲。巨体よりもそれぞれの顔に目がいく
タイの釣り堀でこの哀れな語り部(←筆者のこと)がフラフラの状態で釣ったメコン。赤く光る目が顔の下についていて、ハクレンのような雰囲気だ
小林さんが釣ったメコンオオナマズ。ヒレピンで肌艶もよく、健康的な個体だった
池尻さんが仕留めたメコン。このサイズになるとファイトにも時間がかかり、いい筋トレになる
ガイドさんがいい感じに練り餌を作ってくれる。ちなみに、桶の横に横たわるボトル…シンナーのような鼻にツンとくる揮発性の高そうなピンクの液体を餌に混ぜた。餌と一緒にトッピングとして売られているのだが…これが効くらしい。ここの魚は何かの中毒なのかな?
桟橋まで出前を運んでくれるので、ネットゲーマーのように長時間釣りに集中できる
アマゾンBKKにて。ピラルクに頭突きをされる直前に釣った1匹。この個体は胸ビレと腹ビレの先端が長く伸びている。あれ?…ルアーで釣れたような…。もしかしたら別種なのかもしれない

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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