天候は回復も寒さ残る那須塩原
自宅を夜中に出発、昨年のアユ釣りで訪れて以来久し振りの那珂川へ。天気予報では雨が上がるはず。しかし、那珂川に向かう道中は所々で強い雨が降っていた。一抹の不安を胸に車を走らせた。
集合場所の『黒磯那珂川河川河畔公園』には一番乗り。心配していた雨も止み、雲間に青空が顔を覗かせていた。しかし、寒い!さすが那須塩原である。まだまだ朝晩は冷え込むようだ。この時期の那珂川釣行には上着をお忘れなく!
今年の大会予選ルールは釣り上げた渓流漁2匹(15cm以上)の合計重量。その全体の上位30%が決勝進出となる。予選は8~11時の3時間となる。支流もエリアになっていたので、私はお気に入りの支流「木ノ俣川」へと向かった。
木ノ俣川は魚影多数!友人に待望のアマゴがヒット!
相方と山形から参加していた友人と3人で木ノ俣川に到着、先ずは橋上から魚チェックである。眼下に広がる川は相変わらず透明度が高く、何ともロケーションのよい川である。じっと目を凝らすと…シュンシュンと黒い影が走る。小さめだが7、8匹のヤマメと思われる魚を目視することが出来た。見えてしまうとジッとしてはいられない。早速着替えを済ませて、8時の大会開始時間を確認して川へと降りた。
取り敢えず3人で魚影が視認出来た橋下のポイントへ。間違いなく魚はいる。そう思えるだけでテンションが上がる。まずはアワビカラーのミノーで第1投。川の対岸流木が折り重なるギリギリを攻める。シュンッ!魚が反応した!しかし、何かおかしい。チェイスではなくミノーの着水に驚いて逃げたように見えた。友人、相方もスタートしたがチェイスは見られない。暫しキャストを繰り返した後、このポイントを離れて釣り歩いていく。よい感じのポイントや淵が点在するのだがどこも魚の反応はなかった。魚はいるはずなのに…。そこで、もう1度橋へ上がって確認することにした。そこには朝見た時と同じように数匹の魚影が確認出来た。
Good!!地元の釣り人のアドバイス!
「どうしたもんか」とウロウロしていると、地元の人であろう釣り人が「魚はいるが入渓も容易で駐車場からも近いので、かなり魚がスレている。ここから下流に暫く進んだ那珂川本流との合流点付近の方がいいですよ!」とアドバイスをくれた。
何の反応もなく相方も友人も上がって来たので、彼らにこの話を伝え、思い切って合流点を目指すことにした。地図で見る限りはそれ程距離がないと思っていたが、その道のりはアップダウンの激しい中々ハードなものだった。制限時間もあるので3人息を切らしながら早足でポイントへ向かった。
それぞれ思い思いのポイントに散って釣り開始。大岩、落ち込みを巻きながら釣り歩いていく。まず相方のミノーにヤマメが!しかし…残念ながらバレ! やはり上流よりも魚影が濃いようだ。続いて友人にヒット!魚を確認するとなんとアマゴ!山形から参加した友人にとっては人生初のアマゴだった。「やったね~!」。小さいながら美しい。
そして最後に私にもついに!落ち込みの白泡から出て来たのは大型のイワナ! アップで釣っていたのでラインが弛まないように慎重に引き寄せたが、あと少しというところでバレ!「くう~やってしまった…」。今シーズンはバレが本当に多い。ここでタイムアップ。3人とも魚を掛けるというところまでは持っていけたが、友人のアマゴ1匹で検量へ向かうことになった。
餌釣り師に軍配!
本流、支流と思い思いのポイントに散っていった選手たちが続々と戻って来ていた。検量で見学していると、厳しい状況の中でも餌釣りの選手達はしっかりと良型の2匹を揃えて戻ってくる。体高がありよく太った“ヒレピン”ヤマメの姿も。支流の余笹川での釣果がよかったようだ。
決勝進出の選手が続々と発表されていった。この頃になると那珂川は爆風に。体を持って行かれてしまいそうなほどである。決勝進出者はほぼ餌釣り師。長い延べ竿を使う餌釣りにとっては波乱の決勝戦となりそうだ。
決勝エリアは本部前の本流。私が思った通り、やはり選手達はこの強風で非常に厳しい釣りを強いられていた。狙った所に餌を投げ込めない。この風ではアタリを取るのも難しいであろう。そんな中でもさすが決勝進出者である。竿が風で大きく煽られながらも、目の前の選手に待望のヒット!見え隠れする魚体は良型ヤマメである。ギャラリー達は皆無事に取り込めることを祈った。時間を掛けて丁寧に寄せてネットイン!河原からは多くの拍手が贈られた。
上流でもヤマメの釣果があったようで河原は湧いていた。2時間の決勝もアッという間に終わり、後は結果発表を待つばかり。この強風の中釣果をあげてくる選手達には尊敬しかなかった。さあ!栄冠は誰の手に!?
今シーズンは3万5000匹のアユの放流。天然遡上も良好!
毎年、この“渓流バトル”では、アユの放流イベントも行なわれる。『那珂川北部漁業協同組合』では、アユの定着率や釣れ具合などを調査するために放流前の小さなアユのアブラビレをカットして放流すると言う取り組みをしている。選手やスタッフ、河原に遊びに来ていた人達が皆で協力して、小さなアユのアブラビレをカットするという地道な作業を行なった。こうした川を愛する皆さんの努力によって、那珂川は全国に名を轟かせるアユ釣り河川となっているのだ。釣り人自身がこのような“川作り”に直接参加出来ることはとても稀だ。今回のような取り組みは、釣り人にとっても「遊ばせてもらっているフィールドを守っていく」ということを、改めて考えるとても有意義な時間となったことだろう。山、川、魚の美しきフィールドをいつまでも守っていきたいものだ。
是非、今シーズン那珂川に釣行の際は“アブラビレのチェックを!”。カットされたアユなら、この日放流されたアユが無事成長したことが確認出来たわけだ。因みに、今シーズンは近年稀に見る天然アユの遡上数が確認されているという。
帰り道、とうとうと流れる夕暮れの那珂川を横目に、これからの釣りシーズンに期待せずにはいられなかった。
施設等情報
施設等関連情報
渓流日釣り券:1500円
渓流魚年券:7000円
中学生は無料
※鮎・鯉・うなぎの採捕は不可
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。