海外で未知の野ダム、未知の料理に挑戦してみた【怪魚図鑑:タイ遠征】

哀れな語り部、タイ釣行3部作の最終章。巨大ダム湖、小規模河川での釣りをした翌日は、Googleマップで見つけた小さなダム湖へと向かった。また、釣り地獄の癒しとなる、タイの安くて美味しいメシも紹介したい。

淡水

レンタカーでぶらり野ダム巡り

前日は炎天下の小河川でおよそ3000回はルアーをキャストし、10ポンドオーバーのチャドー(トーマン)をキャッチしたこの哀れな語り部(←筆者のことです)。そのまた前日、前々日は大規模なダム湖でフルに釣りをしていたわけで…若くはない語り部は疲労困憊である。かといって、ぼんやりと海でも眺めながら一日過ごすか…というほど老いてはいない。朝起きて、相棒のI氏とまずは相談である。

I氏「今日はどうします? 釣り堀でも行きますか?」

望月「それより、ワイルドのピーコックバスが釣れるダムがあるかどうか、タイの友人に聞いてみましょうか?」

と、タイの釣り仲間に聞いてみたのだが、ピーコックバスが釣れる場所はちょっと遠かったので…ホテルから割と近い場所にある小さなダム湖に行くことにした。情報はゼロだ。レンタカーでしばらく走って着いた、最初のダム湖。しかし、ここは減水がひどく、ところどころが小さな池のようになっていた。とりあえず、トップウォータールアーを数投しただけで見切りをつけ、移動。

清流を経由し、ふたつ目のダム湖へ続く凸凹道を進むと…ウィードの生えた湖のほとりに、ほんの小さなキャンプサイトが現れた。しかし、管理人はいない。とりあえず、ここで岸釣りをすることにした。

やや高い足場からクランクベイトを投げて巻いていると…いきなり小型のチャドーがウィードから飛び出してバイトしてきた! よく見るとテラピアもいるし、ここは釣れるぞ…。

とあるダム湖の流れ込みの川でも竿を出してみた。ブラックウォーターで期待したが…何も釣れなかった。©望月俊典
たどり着いたダム湖。ウィードと冠水植物が生い茂り、生命力がありそうな雰囲気だ。©望月俊典
エンジンやエレキなどない。1本のオールだけでダム湖を開拓していく。©望月俊典

手漕ぎボートを借りて小さなダム湖へ漕ぎ出すと…

I氏「望月さん、小さいですがチャドーが釣れましたよ」

ライザーベイト(ジャッカル)で早くも釣ったというI氏。ここは釣れる、と確信を持ったので、そのへんに転がっていた裸のアルミボートを貸して欲しい、と近所の一軒家の人に聞いてみたところ…管理者に電話してくれた。

管理者「300バーツ(約1,200円)で使っていいよ」

ちょっと高いな…と思いつつ、二つ返事でOKした。手漕ぎとはいえ、ボートがあるとないとでは自由度は大違いだ。それに乗ってどんぶらこと釣りを開始した。規模でいうと琵琶湖・南湖の山ノ下湾くらいの、浅いウィードレイクである。

I氏はわりと短い時間でコンバットクランク120(エバーグリーン)で2本目、3本目となるチャドーとアーモンドスネークヘッドをキャッチした。ウキシバのような植物に投げて巻いてくると、ウキシバやカナダモに隠れたライギョが飛び出してくるのだ。望月もビジョン110(メガバス)で今日の初チャドーがヒット。

その後、ビッグベイトなどを投げたもののなかなか釣れず…暑さと渇きと蓄積された疲労で身体は参ってきていた(ペットボトルの水は500ml1本しかないのだ)。

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I氏がキャッチしたチャドー。サイズは小さめだが、魚影は濃いぞ。©望月俊典
こちらはI氏のアーモンドスネークヘッド。ややレアなライギョだと思う。©望月俊典
ボウフィッシングで狙う人が、チャドーの居場所を指さしてくれている。©望月俊典
語り部がワンテンのジャークで釣ったチャドー。若い魚だが、激しいバイトがたまらない。©望月俊典

タイのライギョがイチコロテク…”チャドースキャット”とは?

その後、ウィードまみれのワンドに入り、4.4インチのスイムベイトを水面引きすると…何度かチェイスやバイトがあった。しかしフックアップしない。なので、試しにそれをボトムまで沈めてみて…バス釣りにおけるカバースキャットのように2ジャーク&ポーズをしてみると…意外! なんとこれがアタりまくるのだ。

望月2本目、3本目、4本目…と立て続けにヒット! おまけにアーモンドスネークヘッドも混じった。アタリはグングンとはっきり出て、そのままワームを持っていく。途中で仕方なく合わせて…たまに乗る感じである。

I氏「まさかの新しいパターン発見でしたね」

望月「このテクはチャドースキャットと名付けましょう」

しかし、残念ながらペットボトルの水はとっくに空っぽ。渇きが限界に達したため、明るいうちにボートを返し、この日の釣りを終えた。がしかし…終わらないタイの釣り地獄。まさかの翌日も釣りである。

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チャドースキャット、1発目。魚が小さいせいかアタってもフッキングしないことも多かった。©望月俊典
チャドースキャット、2発目。ややサイズアップ。©望月俊典
チャドースキャット、3発目はなんと綺麗なアーモンドスネークヘッド! これはうれしいぞ。©望月俊典
連発したワンド。日本のライギョ釣り場と同じような雰囲気だ。©望月俊典

日本人が絶対に食べてはいけない料理…を食べてみた

最後に、タイの食事の話をしよう。語り部はパクチーは苦手だが、それさえ抜けば、タイ料理はどれも大好きだ。

我々はレンタカーで移動しながら旅をしていたので、食事は道端の屋台やそれに近い雰囲気の食堂で食べることが多かった。値段は確かにひと昔前に比べると高くはなったが、今でも60バーツ(250円程度)くらいでラーメン、パッタイなどは食べることができる。高い店はいくらでもあるだろうが、今回の旅では縁がなかった。

例えば、ラーメンといっても我々が勝手にそう呼んでいるだけで、もちろん中華料理のラーメンではない。魚介や豚骨で出汁を取っているスープがベースだが、スープの種類、麺の種類、具の種類もいくつかある中から選ぶことができる。どれも実に滋味深い味わいがあり、美味しい。

ご飯物も元気の出る辛さのガパオライス、安定のカオマンガイ(”ルアー”という血の塊が付いてくる店は特に美味い)、チャーハンのようなカオパットもハズレがない。

また、パパイヤのサラダであるソムタムも最高に美味しい。青パパイヤの甘さ、ライムの酸っぱさ、赤唐辛子の辛さ、エビの風味、ナンプラーの旨みが調和し、複雑な味わいがある。

今回の旅で問題になったのが”ソムタムプー”だった。I氏によると、「日本人の旅人が絶対に食べてはいけないメニュー」らしい。

I氏「発酵したサワガニが入っているのですが、たまに寄生虫がいるらしく…日本人はもちろん、タイ人でもよく当たるらしいです。なので、僕はやめときます」

そう言われたら…食べずにはいられない、この哀れな語り部(ちなみに、過去、海外では何度も腹を壊し、4度医者の世話になっている)。この記事の野ダムに行った日の朝、ついにソムタムプーを注文した。早速、サワガニ(なのか?)のボディをバリバリとかじってみると…これは美味い。発酵した生ガニのトロリとした舌触りと凝縮された旨みが殻を噛み潰すたびに口の中に広がる。韓国料理のケジャンのような舌触りだが、味はタイ料理のそれである。

ちなみに、幸運にも今回は医者の世話にならなかった。

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バンコクの釣具屋近くで最初に食べたタイ料理。タイ風肉野菜炒め定食。ご飯と生の野菜が付くが、タイ北東部料理らしくご飯は餅米だった。©望月俊典
タイ風ラーメンの一種。麺は春雨風で、スープは魚介系の出汁。これにナンプラー、唐辛子、唐辛子入りの酢など何種類かの調味料で味を調整して食べる。いくつかの練り物が乗って、これまた美味かった。©望月俊典
タイ風チャーハンの一種。これもライムとナンプラーなどで味を自分好みに整えて食べる。©望月俊典
ナマズのトムヤム。辛いトムヤムスープにぶつ切りにされたナマズが入っていて、食べると元気が出た。©望月俊典
ガイヤーンというタイ風焼き鳥。炭火で炙り焼きにする。生野菜やライスヌードルが付いていた。©望月俊典
こちらはテラビアの炭火炙り焼き。見た目はアレだが、味はなかなかのもの。©望月俊典
ジョークというタイ風お粥。鶏の内蔵系や温泉卵(?)が乗っていて、総じて非常に美味。ジョークは朝ごはんに食べられるようだ。©望月俊典
問題のソムタムプー。ソムタムは何度か食べたが店によって味が大きく異なる。それもまた楽しい。©望月俊典
タイ風スープカレーと、一緒に食べるタイ風ソーメン。朝から結構辛かった。©望月俊典
タイ風焼きそば、パッタイ。どこで食べても美味しい。写真はバンコクのエビ釣り堀で釣りをしながら食べたもの。©望月俊典

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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