春のマブナ釣りはギャンブル!?
よく「春のマブナ釣りはギャンブルのようだ」と言われる。「マブナは、そこにいれば必ずアタリがあるが、いなければ1匹も釣れない」とは、先輩釣り師の教え。「マブナは足で釣れ」というのも受け継がれる、この釣りの信条。「巣離れ」、「乗っ込み」、「巣籠り」はマブナ釣りから始まった釣りの専門用語でもある。
巣離れマブナを求めて日本水郷へ
3月5日、“春一番”が関東地方に吹き渡り、「マブナたちの行動開始も早いのでは?」と気がかりなのは私一人ではないだろう。このマブナの“初動”を「巣離れ」と言う。静かに水際の土手に立ち、マコモやアシなど水生植物の生え際に目を凝らしていると、不自然にその水草がカサカサと揺れ動くことに気が付くはずだ。それまでは水温の低下と低酸素水域につつまれたマブナたちは微動だにせず、日照時間や水温上昇を体全体で受け止め、餌を求めて動き出す。
今回、出掛けたのは日本水郷。千葉県佐原市と香取市、そして茨城県潮来市、稲敷市にわたる一大穀倉地帯。この地には水田が無数に広がり、その水田へ導水する幾筋もの中・小河川やホソと呼ばれる農業用水路が数えきれないほどある。
当日の道具立て
2.4mから6mまでの和竿を揃えて出掛けた。仕掛けはシンプルなシモリ仕掛け。道糸1号×竿尻一杯の長さよりも短めに{ヤッカラ(マコモやアシの密生地帯)の中を狙うときは6m竿に仕掛けは2mの時もある}。1号シモリを3、4個通してガン玉×B1個が目安。ハリは5号か6号、ハリス06号の7cmを結ぶ。障害物(ヤッカラ)回りでは1本バリ、フラットでオープンな平場では2本バリも可能。餌はキジ(ミミズ)を1匹チョン掛け。
ヘラブナ釣りのスタイルと、この探り釣りとの違いは、餌でマブナたちを誘い集めるのではなく、マブナたちのいる場所を探し求めて釣り人自身が歩いてポイント探すこと。周囲の水深変化をシモリウキで目視しながら移動する。少しでも深くなっている所や浅くなっている所は、このシモリウキの浮いたり沈んだりすることで読み取っていく。
探り釣りの基本は、常に移動を繰り返し探り続けること。仕掛けは縦横斜め方向へ自由自在な探りに向いており、扇型に、また竿いっぱいに振り込んでは手前に引いて探る。どちらかと言えば、全体重くて太い仕掛けであるのは、ヤッカラの直下を釣り進んで行くこともあるためだ。
何と2匹の“尺ブナ”をゲット!!
この日は、新利根川や大重水路、ザコ川、役前新川、長島川(八筋川)、境島新堀、横利根川と時間の許す限り多くの場所を釣り回った。
朝6時の気温は7℃。川霧も立ち込める水郷地帯は、春の気配がそこかしこに広がり始めていた。土手の端には既にフキノトウの花が白く咲いていた。最初の釣り場でシモリウキが綺麗に沈んだ。軽く合わせると、いきなりビックリするような強烈な引き込み。タモを取り出しながら竿尻を押さえ、重量感あふれる引き込みに耐えながら何とか魚を水面に浮かせた。無事タモ取りしたのは、何と36cmの正真正銘の尺ブナ(30.3cm以上のマブナ)。いわゆる“半ベラ(成長が早く40cm以上に育つヘラブナとギンブナの混成種)”ではなく、間違いなくギンブナである。しかも36cmともなれば一生に数匹釣れれば上々という大きさだ。
その後、何ヵ所か移動した後、何とこの日2匹目の尺ブナ(32cm)を釣り上げてしまった。「こいつは春から縁起がいいわい」。思わず頬が緩んでしまった。
「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」
「朝晩真冬、昼真夏」、「三寒四温」等々、この時期に良く聞く言い習わし。寒暖差の激しさは南北に細長い日本の春の気候変動を現している。「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」と言われ、この鮒とは、紛れもなくマブナ(キンブナ、ギンブナの総称)のことである。“ザ・日本の釣り”と言っても過言ではないマブナ釣り。この春、是非とも出掛けて頂きたい。なお、間もなく田植えの季節である。田園地帯では、駐車スペース等に十二分な配慮を願いたい。
施設等情報
施設等関連情報
※各所付近には、コンビニエンスストアあり
※現地に釣具店なし。餌・仕掛けは事前の用意が必要。
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。