深夜から多くのアユ釣りファンが河川に集う
正月よりも、クリスマスよりも、誕生日よりも…どんな日よりも心躍るこの日がやって来た。アユ釣り解禁日は毎年の事ながら楽しみで、ワクワクが止まらない。解禁当日のオトリ・アユ販売は午前3時から。前日の夜に家を出発した。到着して僅かな仮眠をとり、4時に起きた。集まったアユ釣り師は皆オトリ屋さんのスタートを待ち侘び、夜明け前から起き出していた。皆、気持ちは一緒だ。私も急いで年券とオトリ・アユを購入、久し振りに手にするアユに「お久し振りです!待ってましたよ!」と心の声が漏れそうになった。
6時、解禁の合図となる花火の音
早速、半年ぶりのアユウェアに袖を通し、身支度を整えた。「いよいよ今年もシーズンイン!」。背筋が伸びる思いだ。しかし、今年の解禁日は生憎の天気となった。午後からは雨予報。そして何より気温が低く、とても寒い。水温を測ると何と12度。震え上がる冷たさだ。でも、そんなことにへこたれるアユ釣り師はいなかった。寒さはなんのその、アユへの想いが断然勝るのだ。皆笑顔で思い思いのポイントへ向かって行った。そして6時になると解禁の合図となる花火の音が河原に響いた。合図と共に一斉にオトリ・アユが川へと放たれた。
入れ掛かりの人もいる中で…
気温、水温共に低いせいか決して活性は良くなかったが、30分もするとあちらこちらで竿が曲がり始めた。私も皆に続けとスタートした。後で分かったことだが、今年の荒川はポイント選びが明暗を分けた。入れ掛かりする人のほんの10m隣の人は全く反応が無かったりした。
私が最初に入ったのはアユの姿が確認できた支流の小さい流れ。緩い流れだったので、まずは静かに竿を立てオトリを泳がせた。糸を張ったり、緩めたりと試行錯誤でアタリを待つ。アユは見えているのだが、なかなか簡単ではない。何とも上手いことハリを避けている様が目視できた。少しずつ釣り下りながら石の周りで、丁寧にオトリを泳がせてみる。
アタリのないまま2時間ぐらい経った頃だろうか、不安になりキョロキョロしていると、私の後ろの本流に仲間がいたのを見つけ目を向けると、なかなか良いペースでアユを掛けているではないか。「ん?これは本流が正解だったか?」。だが、時すでに遅し…、スタートから2時間も経つと本流は人でいっぱいになり、入れそうなポイントが無かった。とりあえず本流のポイントが空くまで支流で頑張るしか無さそうだ。「私よ!解禁できるのか?」と、不安が頭をよぎった。
2022年、歓喜の“初アユ”が来た~!!
支流では、結局アタリが無いまま時間だけが過ぎていった。さっきまで見えていた山にも黒い雲がかかり始め、今にも雨が降り出しそうな重たい空となった。天候悪化もあり、早上がりする人もチラホラ現れ、待ちに待った本流のポイントがやっと空いた。
私はすぐに本流へ小走りで向かった。焦りながらこの時のために取っておいた元気なオトリを川へと放った。するとすぐに反応が出た。ガツン!と強い衝撃。「掛かったー!」と、思ったのも束の間、スーッとオトリが泳ぎ出した。「バレたー!」。でもこれは掛かる!と確信した。ハリのチェックをして再びオトリを川へ。オトリは実に良い泳ぎをしてくれる。今か今かと息を呑む。
するとその時は遂に来た!スッコーン!と目印が水中に吸い込まれ、水中で2匹の鮎がキラリと輝く。ガガガ、ガツーン!と何とも気持ちの良いアタリが手元に伝わった。竿を立て、慎重に慎重を重ね引き抜きに入る。「お願いだからバレないでね!」と、祈りながら一気に引き抜くと2匹のアユがタモ目掛けて飛んできた。バシッ!アユは無事タモに収まった。その手は思わずバンザーイ!小さめながら追星クッキリ、身も引き締まり実に美しいアユだった。2022年私の解禁である。
アユを追いかける熱い熱い旅もスタート
「アユ釣りは循環の釣り」とはよく言ったものだ。オトリが変わればその後は何と3連チャン!その後も良いペースで掛かり続け、至福の時間を楽しんだ。寒さ厳しいアユ釣りシーズンのスタートとなったが、アユも1年という短い“人生”のスタートを切ったばかり。アユの“人生”の旅と共に、私たちアユ釣りファンのアユを追いかける熱い熱い旅もいよいよスタートする。
施設等情報
施設等関連情報
・漁期:4月29日6:00〜9月1日正午
・日釣り券:2,100円(現場3,000円) 年券:11,000円
*簡易トイレ、河原に大型駐車場完備
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。