規格外のサイズと真っ赤な色が特徴の“洲崎カサゴ”
東京湾内では、気軽に楽しめる釣り物として人気の高いカサゴ。小気味良い引きと食味の良さが人気の理由。カサゴの最大サイズは通常30cm前後だが、洲崎沖のカサゴはこれを優に超えて35cm級の規格外サイズも頻繁に顔を出す。しかも色鮮やかな赤色が特徴。「なぜ同じ種なのに色が違うのか?」。今回乗船した洲崎港『北山丸』の北山茂樹船長に聞いてみた。「このエリアの岩礁帯や海藻の色に合わせて保護色じゃないかな…」とのこと。
“カサゴ五目”に交じる魚はアカハタ、ヒゲダイなど
“カサゴ五目”船の“ゲストフィッシュ”の主なターゲットはアカハタ。温暖化の影響か、最近でこそ東日本で釣果の報せを聞いても驚かなくなったが、元々は南方の岩礁帯に生息する魚、関東周辺では洲崎沖ぐらいしか聞くことがなかった。こちらもカサゴ同様に洲崎沖ならではの良型サイズと鮮やかな赤い体色が特徴。それ以外にもマハタやヒゲダイなども顔を出す。
港までは都内から約2時間
洲崎港は、房総半島の最南西端、東京湾へ出入りする船が最初に目にする洲崎灯台の下にある。館山自動車道の終点・富浦ICを降りて30分程だ。都内からも約2時間、思ったよりも近いという印象を受ける。洲崎灯台を過ぎてすぐの三叉路に多くの船宿の看板があるので良い目印となる。ここを下ると目の前に広がる雄大な景色が洲崎港。
短めのロッドで根を入念に確認しながらの釣り
一般的に根魚用に推奨される竿は、全長2m程の軟調子。喰い込みを重視しての選択だ。しかし、根のきつい洲崎沖でお勧めしたいのはセオリーからは少し外れるが8:2調子で1.8m前後の少し短めの先調子。喰い込みに気を取られて、柔らか過ぎる竿にしてしまうと急激な水深の変化に対応できず根掛かりしてしまう。しかもこの辺りは、海底に窪んだ穴が頻繁にあるのでよくオモリが嵌まってしまう。長めのオモリよりも六角や円形に近いオモリをお勧めする。カサゴ釣りの釣果はロストしたオモリと比例とはよく言われるが、根掛かりはきっちりと対策した方が環境にも財布にも優しい。
ポイントは港から数分の近場
梅雨時に活性が上がるカサゴ。釣行日の6月19日はいよいよ最盛期を迎えようとしている時だ。釣り人もこれを知ってか人気は高く2隻での出船となった。北山茂樹船長が舵を握る「北山丸」には6人。ポイントまでは数分なので5時に出船しても5時10分には仕掛けを下すことが出来る。ポイントが近づき、船がゆっくりと円を描く。出来た波紋の動きで潮の流れを読んでいざスタート。ポイントは、水深25mからのカケ下がり。
潮が悪く厳しいスタート
気軽に楽しめる対象魚だけに簡単に釣れると思われがちなカサゴだが、実は少し気難しい面を持ち、潮の動きに物凄く敏感。開始数分で潮の流れを見た船長が「ちょっと厳しい潮の流れと向きだな…変わってくれるまで我慢かも知れない」とポツリ。まさにこのボヤキ通りで、毎年足繁く通う私は朝一からアタリが出る印象だったが、この日は違った。開始15分程経ってもアタリ無し。やっと訪れたアタリは激しい叩き。「少し叩き過ぎでは?」と思わせた魚は良型のヒメジ(通称オジサン)だった。
小型から中型がポツリポツリ
船長は、操船技術で上手く潮の悪さを打開しつつアタリを出すが、“洲崎サイズ”と呼ぶには厳しい中型のカサゴとアカハタ。船長の話では「潮が悪いと釣れるサイズも下がってしまう」との事。資源保護の意味から20cm未満はリリースの決まり。過去には、リリースサイズが釣れた記憶はほとんどないのだが、この日はいくつかボーダー近いサイズもお目見え。このエリアの本来のそれではないが、時間と共に徐々に数を重ねていき“お土産”にはなり始めた。しかし、欲しいのはやはり洲崎名物のジャンボサイズだ。
重要なのは餌を見せてからの誘い下げ!
残り2時間。一向に上向く気配のない潮の流れに業を煮やし、私も竿を出した。定番の誘い方として、ゆっくりと誘い上げる動作に集中する人が多いが、実は重要なのはその前段階。カサゴは海底で上から落ちてくる餌を探しているので、このカサゴに餌を見せられるかが重要。誘い上げばかり気にして不用意に餌を落とすと、カサゴが驚いて散ってしまう。海底から1m前後のところで1度止めて、ゆっくりと餌をヒラヒラと見せてからゆっくり誘い下げ。そして着底したらまたゆっくりと喰わせの間を持ちつつ上げると竿先にプルプルッとアタリ。この誘い下げ重視の釣り方で5連続ヒット。しかし、サイズが本来のそれではない…。
最後のチャンスに4.5kgのヒゲダイが登場!
「潮が流れないまま終わってしまうのか?」。船長も滅多にない悪い状況に頭を抱える。残り時間は30分。好釣り場の洲崎沖でもこんなことがあるのか。半分諦めかけたその時、少し潮の向きが変わった。根魚というのは本当に潮の流れに正直だ。この一瞬のチャンスにアタリ集中。30~35cmのアカハタが船中で連続して顔を見せた。最後のとどめは河村さんに強烈な突っ込むアタリ。間違いなくこの日一番の魚。時折強烈な引き込みを見せて上がって来たのは3号の細ハリスでよく上がったな-と思わせるような4.5kgのヒゲダイ。
釣りは最後まで諦めてはいけないというのを痛感。残念ながらいつも顔を見せる40cm級のアカハタや30cmを超えるカサゴは釣れなかったが、一瞬のチャンスに上がった数匹の30cmオーバーのアカハタやヒゲダイを見ることが出来た。
施設等情報
施設等関連情報
料金:午前船1万1000円 (税込)(餌・氷付き)
出船:午前船:4時30分集合 5時00分出船 11時00分沖上がり
定休日:第2・第4水曜日
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。