川島勉さんの新ブランド『BETOBETO(ベトベト)』が本格始動!

前編では川島勉さんの人物像とBETOBETO設立の経緯について教えていただきました。後編は記念すべき第一作『フー155F』の全貌を明かしていただきます。

バス
  • 千葉県 亀山湖

第一弾はジョイントベイト!

「こんなので釣れたら楽しいな!」が川島さんの目指す「ベトベト(BETOBETO)」ルアーのコンセプトだ。処女作のフー155Fはまさにそれを具現化したモデルで、操る楽しさにくわえ、喰う瞬間も丸見えのワクワクとドキドキを味わえる印象だ。全長155ミリで自重は38g。ビッグベイトというほど大きくはないが、だからこそ専用タックルを必要とせず、手持ちのMH~Hクラスのロッドで投げられるのもうれしいところ。最大潜行深度は16ポンドのフロロカーボンで1m前後。つまり表層から目視できるレンジがターゲットになる。

これが、BETOBETOのファーストプロダクト「フー155F」だ。操る楽しさと、喰う瞬間の興奮を味わえる
無理な体制からも的確にフー155Fを滝壺へ送り込み、チョンチョンと首を降らせると50cmクラスがもんどりを打って襲いかかった!

スピードでアクションを変化させるリップの秘密

基本はリーリングによるノーマルリトリーブではあるが、多彩なフー155Fをそれだけで終わらせるのは実にもったいない。まず入手したら、リトリーブスピードを変えた時のアクションの違いに気づくことだろう。
「フーは速引きでもスローでもしっかり泳ぎます。リップにはポリプロピレンという柔らかめの素材を使っています。タックルボックスの仕切りなんかに使われるのと同じ素材ですね。リップの素材が柔らかいから水を受ける抵抗の強さによってアクションが変わってくるんです」。

速引き=「少しバランスを崩す方向で激しい強めのアクションです。水の抵抗が強くなってリップが少し反れる感じで不規則にダートします」

中速=「速巻きほど暴れすぎず、ジョイントベイトならではのパタパタしたウォブルとロールがちょうどいい塩梅で働いてくれます」

スローリトリーブ=「リップが水を受けつつも逃がす方向で、どっちかっていうとS字系っぽい感じです。キビキビではなくヌルヌルしたアクションを目指しました」

障害物にコンタクトするとひらりと身を翻してかわす
リップはポリプロピレン樹脂を採用。プラスチックの中でも柔らかい性質でありながら耐久性に優れる。水の抵抗を強く受けることでわずかに反って(=反発力がある)、アクションに変化が生まれる。また、リップは着脱式になっていて、万が一岩盤などにぶつけて破損しても簡単に交換できるようにしてある。フックはソルトウォーターの使用も考慮し前後ST-46(カルティバ)の#2を装備。「フックの重さで動きは多少変わりますけど、小さくしてもらっても問題なく泳ぎます」

使い方は自由なトリックスター

こだわったのはリップの素材だけではない。通常この手のジョイントベイトは上下2箇所でボディが接続されているのに対し、フーは天地の真ん中辺りに支点を持たせているのだ。そうすることで左右はもちろん、上下方向への自由度も設けられるため、アクションに幅が生まれるのである。
「普通はエイトカンを上下に付けますけど、フーは真ん中に2個付けることで強度を持たせています。バスのみならずシーバスとかソルトでも使いたいので、強度にもこだわりました」
支点を一点に集中させて可動域を広げることで、これまでのハードベイトにはない唯一無二のアクションを生むことになる。
「よく見ないとわかりにくいんですけど、グリグリっと巻いて潜らせて止めると、浮上時にテールがブルンッと一瞬揺れて自発的に動くんです」
ヤマセンコーに代表される高比重ストレートワームのノーシンカーワッキーの揺れる動きが、上昇時に起こるといったらわかりやすいだろうか。
「潜らせてからラインテンションを緩めにしてトゥイッチするとドッグウォークもさせやすくしてあります。ボディの側面をフラット気味にしてあるのでフラッシング効果もあるんです」
つまりスピードとロッド操作の組み合わせで多彩なアクションを演出できる。
「一番いい時期は春のスポーニング前と直後かな。バスが深いレンジに落ちないタイミングで、しかもでかいルアーを好んで喰ってくれますからね。レンジが浅いルアーでもあるので、魚が浅いことが前提ではあるんですけど、けどライブスコープでは3mくらいから出てきたのを見たこともあります。あとは秋の台風シーズンに濁りが入った時もいいですよね」

ダイブからの浮上時にはテール部分がオートマチックに揺れる。 この動きは釣りビジョンのYouTubeチャンネルで公開中。 タイトルは「フー155F(BETOBETO)のアクション動画 浮上の揺らぎ編」
エイトカン2つを重ねるようにして、一点で前後のボディをジョイントさせてある
ボディのサイド面は完全な平面ではないが平べったいデザインでフラッシング効果もある
飛行姿勢が安定していることもあり、キャスタビリティーがよく、飛距離が出るのもフー155Fの特徴だ

細部へのこだわり

フー155Fにはリップとジョイントパーツ以外にも川島さんのこだわりが随所に見られる。写真を見て不思議に思ったのはテールアイにフックが付いていないこと。
「これも自由に入れ替えて楽しんでもらえればいいと思ってます」。
出荷時はフロントとセンターにトレブルフックが装着されているが、フックの位置を変えることでさらにアクションの幅が広がるという。
「例えば真ん中のフックをテールアイに付けるとロールの幅が大きくなるんです。濁りが入った時なんかはこっちの方が気づいてくれる可能性もありますよね。フロントフックをテールに付け替えると逆に弱くなるので、それがいい時もあるでしょうしね。変わり種では2連結というのもあります。『やりすぎでしょ』って思われるかもしれないですけど、これが意外なことに魚が湧いてくるんですよ」
もちろんトレブルフックを自分で追加してスリートレブル仕様にするのもアリだしフェザーフックにしてもいい。ユーザーの自由な発想で独り歩きすることも川島さん的にはウェルカムなのだ。

フー2体を連結させたフーフーチューン。こんな遊び方ができるのもBETOBETOブランドの楽しみだ

フー155Fのポテンシャルを引き出すタックル

柔らかすぎるロッドだと#2のフックをバスの口に貫通させるのは難しい、かといって硬すぎても弾かれやすく理想のアクションも出しにくい。川島さんが推奨するロッドはミディアムヘビークラスでファストテーパーよりはレギュラー気味のモデル。「中~大型のハードベイトを扱いやすいベイトロッドがいいでしょうね。長さは使う状況にもよるのでお好みで大丈夫です。長すぎるとレンタルボートでは操作しにくいですし、飛距離を出したいオカッパリなら7フィートくらいでもいいと思いますよ」
リールのギア比についても速巻きメインならハイギアといった具合に好みのモデルでオーケー。川島さんは汎用性の高い7.4:1のハイギアないしはノーマルギアを使用する。ラインは操作性、キャスタビリティーを考慮するとフロロカーボンかナイロンが扱いやすい。PEラインもなしではないが、ラインがフックに絡んだりバックラッシュのリスクが伴うので、不慣れな人にはおすすめしないとのこと。
「個人的にはナイロンが好みです。単純に糸が沈まないから見えるレンジでゆっくりネチネチ操ることができますからね。逆にもっと深いレンジで使いたいとか、同じタックルでフー以外のルアーも投げるならフロロでも問題ないです」

レギュラーテーパー気味のロッドは投げやすく操作もしやすい
川島さんの愛用ロッドはポイズングロリアス165MH+-SB(ジャッカル×シマノ)にリールはアンタレスHG LEFT(シマノ)、ラインはフロロカーボンならシューター・FCスナイパー16ポンド、ナイロンならシューター・デファイアーアルミーロ19ポンド(ともにサンライン)
亀山湖本流の最上流部、通称『プール』はハイプレッシャーで有名なところ。岸沿いのオーバーハングと平行にグリグリッと勢いよく巻くとバスが飛びついてきた!

施設等情報

■のむらボートハウス
〒299-0525 千葉県君津市草川原396-1
TEL:0439-39-3020 のむらボートハウスホームページ

施設等関連情報

■営業時間
5:30~17:00(9月)
6:00~16:30(10月)
※エレキ、バッテリー、船舶免許不要艇あり。要遊漁券
車:圏央道・木更津東ICから約25分、館山道・君津ICから約30分

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

大場 未知 東京・麻布十番育ち。大学時代は留学先のテキサスでバスフィッシングの腕を磨き、日本の出版社勤務を経て再び渡米。B.A.S.S. およびFLWにコアングラーで参戦。FLWではチャンピオンシップで2位に入るなど、アマチュア賞金稼ぎとして数々の爪痕を残した。
現在は、千葉県君津市在住のフィッシングライター&エディター。

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