“年無しチヌ”の離島へ
大入島は、地元大分県内は勿論、九州各地からチヌ師たちが訪れるチヌ釣りの聖地である。私も毎年のように乗っ込みの春や、特に大型の実績がある秋の季節に通っている。2年前には知人が65cmの“デカチヌ”を釣り上げたが、チヌの他、大型ヘダイやマダイ、40cm級のアジなども狙える魅力的な釣り場だ。
今年は例年に比べて海水温が高い傾向にある。そのため大型チヌの情報は少なめだが、そこはチヌの聖地。いつ大型が釣れるか分からない。とにかく通って竿を出すことが60cmオーバーに出逢える一番の近道だ。
12時15分出航の「大入島フェリー」で車とともに島へと渡ることにした。佐伯の葛港を出航してから10分程度で島へと到着するため、すぐに釣りを始められるのもこの島の魅力の一つ。島には港が10ヵ所程あり、どこの波止場からでもチヌやグレにマダイなどが狙えるので、当日の風向きを考慮しながら釣り場を選ぶとよいだろう。この日は風もあまりなく波気もないので、私たちは島の西側に位置する守後港へと車を走らせた。
同行者が守後港の堤防でチヌをゲット!
現地に到着すると、既に数人の釣り人が朝から竿を出していた。状況を聞くと、ポツリポツリとチヌは釣れるが型が今ひとつとの事。40cm半ばのチヌが多く、大型チヌのアタリはまだなく、水深10m前後の底付近を狙っているようだ。
私は港に入ってすぐの手前側に釣り座を構えることに。同行の田尻さんは波止の先端部分に釣り座を構えた。私の釣り座は浅場から徐々に深くなるカケ上がり。正午を過ぎて海水温も上がって来ている。これから夕方にかけてチヌは浅場へと上がってくることを想定して釣り始めた。
撒き餌を手前に打ち、魚の動きを見るが魚の気配はなし。そこで20m程先の“ポイントにしたいところ”に30杯程度の撒き餌をコンスタントに入れ、周辺の魚を寄せることにする。
この日の仕掛けは竿/マスターモデル1号、リール2500番、道糸1.75号、ハリス1.75号を2尋(1尋は約1.5メートル)。ウキはテスト中の000号をセットして全誘導の沈めにし、ガン玉G4をハリスの真ん中に打ちチヌバリ2号をセット。
撒き餌の流れを見ながら潮の様子をみると、潮はほとんど動いていない。付け餌はテスト中の加工オキアミを選び、20m先のポイント目掛けて投入を繰り返す。
開始数投までは魚の気配を感じられない状況が続く。そうこうしていると先端部で竿を出していた田尻さんが、大騒ぎしているので様子を見に行くと、40cm前半の綺麗なチヌをキャッチしていた。私と同じく全誘導で沈めていっていると、ラインがしっかりと走ったらしい。
竿を絞り込んだ“大入島サイズ”54cmのチヌ
私のポイントでは、中々魚の気配が感じられない。しかし、必ずチヌは寄って来ると信じ、撒き餌を広範囲に効かせながら、丁寧に打ち込みを繰り返す。仕掛けは張り気味にしながらゆっくりと底の方まで餌を届ける。餌が底に着いたら更に仕掛けを張り、魚とのコンタクトを最短で取れるよう心掛けながらその時を待った。暫くして、しっかり張っていたラインが一瞬横に動き、竿先にコツン!とアタリ。少し誘いを入れ、さらにラインを送り込む。すると、またしてもコツン!間髪入れず合わせを入れる。竿が一気に絞り込まれ、大型の魚が乗ったことを確信した。やや沖目で掛けたので、慌てずに魚を沖で弱らせながら慎重に寄せて来ると、魚はまだまだ余力があるようで、足元の支柱へと突っ込もうとする。
やはり大型の魚は逃げ方を知っている。この一気に突っ込もうとする魚をいなしながら限界まで竿で溜めると、観念したように海面に見事な魚体が浮かび上がった。目測で50cmは超えた中々のサイズだ。無事にタモ入れに成功、計測してみると54cmのビッグな“年無し”でこれぞ“大入島サイズ”のチヌ
ひと安心し、暴れまわったポイントに集まった魚を散らさぬように、撒き餌をポイントに数杯打ち、魚を後から来た家族連れにお裾分け、次のビッグワンを狙う。
チヌ釣りは時合いを逃さずに集中!
再開から2投目だった。魚の活性が一気に上がったようで、今度は道糸が綺麗に走る気持ちいいアタリ。合わせを入れて魚に主導権を与えないようにやり取りしていると、先程のチヌよりも走り回り、かなりの重量感を感じる。これはチヌならかなりデカイ!慎重にやり取りを繰り返す。かなり弱らせてから手前に寄せて来たが、最後の最後まで抵抗する魚は渾身の力を振り絞り、足元の支柱目掛けて一気に走り出した。マスターモデルのパワーを信じて竿を絞り込むとあえなくラインブレイク。ガン玉を打った所からハリス切れで無念のバラシ。チヌなら優に60cmはあったであろう重量感に指先が震えてた。
気を取り直して、同じポイントに仕掛けの投入を繰り返すと、今度もラインがスッと動く前アタリ、ラインを少し送って合わせを入れる。しっかりとハリ掛かりした魚に先程の魚ほどの重量感はないが中々の型のようだ。コクンと首を振る感触で良型チヌだと分かる。無事にタモに収めたのは46cm級の中型チヌだった。
その後は夕暮れまで粘ったがアタリがなく、この日は納竿として、翌日の釣りに備えて場所を移動することにした。やはりチヌ釣りは、短い時合いをロスなく、しっかりと集中して釣ることの大切さを改めて感じた。
2日目の石間港はチヌの数釣りに…
2日目。この日は場所を移動して、フェリー乗り場から東側にある石間港で竿を出した。石間港は通年チヌがコンスタントに上がり、50cmオーバーの実績もある釣り場。アジやグレなどもよく釣れるので人気があり、常に数人の釣り人が竿を出している。この日も私達のほかに数人の釣り人の姿があった。チヌ狙いの人やアジングにエギングのようだ。
私達は波止の先端と中央付近に釣り座を構え、この日もビッグなチヌを狙った。仕掛けは昨日と同じで、撒き餌はオキアミの生を3角と集魚剤を2袋混ぜてやや固めに仕上げ、遠投重視で沖を狙ってスタート。数投目に同行の田尻さんが竿を曲げ、心地よい感じにチヌとのやり取りを楽しんでいる。私も負けじと竿を振るが、中々餌が取られない。人気のある釣り場なので餌盗りが多いだろうと、ダンゴ餌を主体に釣っていた。ところが、思いの他餌が取られない。そこで、付け餌を加工オキアミに変更。すると数投目にラインに僅かに違和感、すかさず合わせを入れる。姿を見せたのは35cm級のチヌだった。
硬い餌よりも軟らかい餌がよいのかと思い、その後も加工オキアミと撒き餌にまぶしたオキアミとを、ローテーションしながら続ける。1度アタリのパターンを掴むと楽なもので、その後も同型のチヌを立て続けに4匹釣る事が出来た。46cm級の良型も交じり、そろそろ一発デカイのが欲しいと思い、これまで釣っていた沖のポイントから手前のポイントへと狙いを変えてみた。
ポイント変更作戦が成功、ラインに微かに変化があった。竿先にコツンと小さなアタリが出たのですかさず合わせを入れる。竿に乗った重量感から、これまでの魚とはサイズが違うことを実感。慎重にやり取りをするとチヌも中々の抵抗をみせる。最後の最後まで力強く抵抗するチヌを海面まで浮かせると、この日一番の大きさ。慎重に取り込み、計測すると51cmの“年無し”サイズだった。
この日は、他にも計6匹のチヌを釣る事が出来た。チヌの聖地・大入島のポテンシャルの高さを感じながら、釣り場の清掃をして帰宅した。
施設等情報
施設等関連情報
旅客:大人 150円
自動車:3mまで 1000円、4mまで 1300円、5mまで 1750円
※詳細は電話、またはホームページで要確認
■大入島フェリー乗り場へのアクセス
大入島フェリー乗り場へは東九州自動車を南下、佐伯ICを降り、佐伯市街方面へと進む。佐伯駅前の信号を右折すると海の市場や葛港が見えてくるので、フェリー乗り場に車を並べ出航時間まで待機する。
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。