「五畳半の狼」という番組をご存知か？
“あなたの釣りライフをもっと豊かに”というテーマで、毎週木曜日の夜にゲストをお招きし、釣りや魚に纏わるトークを繰り広げながら生放送されていた、実釣の無い釣りトーク番組なのだが、この番組はそんな騒然とした会議室からスタートした。
確かに同放送枠で放送されていた番組からのリニューアルが前提だったが…
“変わった感”を出す為に試行錯誤が続いていた。まず、タイトルにはストレートではなくフォークボールを使った。どんな内容の番組なのかは、観てみないと分からない。そして“釣り”というニュアンスも、タイトルから消したかった。釣り専門チャンネルなのだから、当然の如く釣りに纏わる以外のネタは取り扱わないという原則があったからだ。
一番のネックは、低予算…。既存の四畳半の和室スタジオセット（番組MC菅原正志さんの住居とは別に、実際に借りていたという釣り部屋をモチーフ）はガラリと変えられず、ヤリクリで一畳分のスペースだけを強引に拡張して“五畳半”にした。住居の規格としてはこの広さは存在しないらしく、まさに「規格外」になった。“五畳半のスタジオ”から、ゲストの話を掘り下げていき、予想し得ない規格外の話を聞き出せるか…。まだまだ新番組には色々な仕掛けを施したく、いつも後姿だけという顔を見せない女性キャストを配置。「謎の女」の誕生だった。このキャスト選定の為に、実は10数名のオーディションも行っていた。顔は映らないのに、何故だか顔も選考に入れてしまっていた。いつかどこかでタイミングをみての顔出しは考えていたものの実際にその素顔を公開したのは、番組スタートから既に3年の月日が経ってしまっていた事は“謎の女役”の女性には、今でも本当に申し訳ないと思っている。
因みにその女性こそが、後に東海エリアの釣りを紹介する番組「こちら東海です。」初代リポーターなどで活躍してくれた、太田原久乃さんである。
番組のマスコットの「ウルフ」
それと、忘れてならないのが、番組のマスコット役を担ってくれていたウサギの「ウルフ」。名前は第1回目の視聴者からの投稿で決定したが、番組タイトルの「狼」部分の意味づけ材料になった。当時、視聴率を獲るには「子供か動物」がテレビマンの中ではカギとなる要素だった。それを真に受け、部屋の中で飼っているという設定を付け加えてみる。
話は逸れるが、後に某ウサギ専門誌から取材を受ける事となるこのウルフ、当初ウサギではなく山羊の設定だった。番組内では、視聴者の皆様から毎週のお題にちなんで送られてくるFAXを紹介するコーナーがあり、そのボツになった作品を食べさせてしまえという、現在では確実にコンプライアンスに抵触しそうな役回りにしたかった。しかし、1日のレンタル料が約40万円だったので断念した。
番組MCは、菅原正志さん
最後に、触れなくてはならないのが、この番組のMCである菅原正志さん。現在では「熱愛！サカナ図鑑」などで、その広い知識を存分に発揮しながらも、ダンディに番組を進行してくれている。これまでもこれからも釣りビジョンには欠かせない存在。
知っている方も多いと思うが、彼の本職は“声の仕事”である。あのバリトンボイスは、CMやナレーション、アニメや洋楽ドラマ、映画のCV等々、必ずやどこかで聞いたことのある声の主だ。
当時、釣り好きの声優がいると聞きつけ、まだ顔出しがほぼ無かったご本人を口説きに行く。最終的には大好きな釣りの仕事に携われるという事で快諾して頂き、番組の進行役が決まった。そして番組終了となる18年間・全863回放送において、番組に携わったスタッフ＆出演者の中で、唯一の皆勤者だった。
過去の「五畳半の狼」をチェック
番組の主役は、毎週スタジオに登場してくれた多彩なゲストたちである。釣り人は勿論、各分野で、魚や環境などを研究している先生や学芸員の方、釣りを通して地域貢献している方、釣りで人生を棒に振ってしまった方等々、「釣り」を通してゲストを知れるという異色のトーク番組だったが、毎週木曜日夜9時からの生放送という事もあり、過去には次の日に朝から実釣予定があり、出演を断られたこともある。しょうがないよね、みんな釣り好きなんだから…。出演者もスタッフも全員が「釣りバカ」であったことは言うまでもない。是非、釣りビジョンVODで過去の「五畳半の狼」放送回をチェックしてみてほしい。
「五畳半の狼」は『釣りビジョンVOD』で配信中
※視聴には釣りビジョン倶楽部へのお試し登録が必要になります。
※14日間無料体験できますので、お気軽にご登録ください。
詳しい視聴方法はこちら
是非、記事と併せて番組もお楽しみください。
施設等関連情報
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。