【それ食べましょうよ・五皿目】美味!シーバスの洗い

食材として軽視されそうなターゲットやゲストフィッシュに光を当てる企画【それ食べましょうよ】……五皿目はルアーソルトの人気ターゲットであるシーバス。ルアーフィッシングではキャッチ&リリースされることの多い魚だが、本来は高級魚として知られる魚だ。果たして、食べて美味いのか否か!? (執筆:宮崎紀幸)

コラム

食するのはシーズンのバチパターン個体に非ず

各地の湾奥や河口部周辺ではバチ抜けパターンが開幕したシーバス。各地からバチパターンによる釣果報告が届く時期だ。ただ、今回、食するシーバスは、湾奥の港湾部や河川に入ってきたバチパターンによる釣果個体ではなく、ボートゲームにて沖のバースで釣りあげたシーバスだ。なぜ、シーズンのバチ抜けパターンによる個体ではないか? それは、おそらくだが美味しくないと思われるから。そもそも湾奥や河川に入ってきて、バチを捕食するシーバスは、産卵から戻ってきたばかりで痩せた個体が多い。つまり、食べて美味しい状態ではないと予想できる。それをわざわざ食べてみようというのは僕の趣味ではない。だから食すなら、ボートゲームで釣れるやや沖やサーフで釣れるようなシーバスがよいだろう。

今回、調理するシーバス。サイズはおよそ50cm。自宅のまな板の上で捌くには、これくらいのサイズがちょうどよい。沖のバースで釣れたシーバスでコンディションもバッチリだった

ボートゲームにて釣った個体を美味しくいただく!

今回、調理するのはボートゲームで釣られたシーバスだ。バチパターンと時期は同じくしても、食しているベイトが異なる個体だ。魚体は銀ピカで、ベイトをたっぷりと食していると思われる。「釣られたシーバス」と表現したのにはわけがある。お察しの通り、自分で釣ったシーバスではない。横浜方面でシーバスジギングに行ってきたご近所さんが届けてくれた頂きモノだ。頂いたからには、責任を持って、美味しく仕上げなければならない。早速、捌いて調理するとしよう。シーバスで懸念されるのは臭味だが、頂いたシーバスは腹を裂いて内臓とエラを除去する際に、嫌な臭いはいっさいしなかった。釣りあげてすぐに血抜きをしたそうなので、そのおかげもあるだろう。これは美味しいに違いない。胃袋を開けてみると、消化されかかったサッパかコノシロが出てきた。バチではなく、沖で魚を食していた個体であることが証明された。さあ、三枚におろして、美味しく食べるぞ!

腹を裂いてみると、12~13cmほどのサッパかコノシロが出てきた。これも調理……はしませんよ(笑)。バチを食しているシーバスよりも魚を食しているシーバスのほうが美味いらしい。捌いている際、嫌な臭味もなかったので『洗い』で食べてみることにした

まずは『洗い』で刺し身をいただきます!

せっかくの釣り立てで、しかも捌いた際の臭味もなかっただけに、まずは刺し身でいただいてみよう。シーバスの刺し身と言えば、氷水で身を引き締める『洗い』だ。というわけで、三枚におろし、皮を引いた身を切り分け、まずは水をためたボウルで『洗い』、余分な脂などは落とす。それから氷水の入ったボウルにしばらく浸して締めること約10分。身の色が白っぽくなってきたら、身を取り出し、キッチンペーパーで水分を除去してできあがり。
さて、実食。万能ネギを載せた身をつまみ、ワサビ醤油に浸して頬張る。コリッとした歯応えを感じたあとに広がる上品な甘味。これは美味い!! これぞ高級魚である『スズキの洗い』の味わいだ。バチ抜けシーバスも楽しいが、これを味わうために、ちょっと沖で釣るシーバスゲームにも行きたいぞ!

氷水で締めて『洗い』にしたシーバス。身が白くなってきたら、氷水から上げて、水気をキッチンペーパーでよく吸い取って食する。コリッとする食感と甘味のある味わい。これは美味かった!

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

宮崎 紀幸 東京は多摩川のほとりに住まうフリーランスライター。
地元・多摩川での釣り&野外活動を楽しみつつ、自身でもトラウトやシーバスなどのルアーフィッシングを嗜む。冬はカワハギ釣りにも熱くなる!

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