ホームレイクの千葉県・亀山ダム片倉ダム。2023年は釣行10回目にして初バスキャッチ!

12~2月は1年で最もビッグバスに出会える季節。確かにデコ率も高いが、見返りも大きい。そう信じて、この冬も足しげくフィールドに通いました。4~5年前の厳冬期の亀山湖は閑散としていましたが、ここ2~3年は多くのアングラーが夢を求めてチャレンジに訪れます。理由は、冬に放流されたニジマスを喰うスーパービッグ狙い。しかし、今年は……

バス
  • 千葉県 亀山湖

今冬のトンネルはいつも以上に長かった~

横沢「よ~大場、そろそろ釣行記書いてくれよ」
大場「釣りにはちょこちょこ行ってるからいつでも書けますよ」
横沢「それはよかった。亀山か?」
大場「片倉3回行ってデコって亀山でもまだ釣れてない」
横沢「ん、ってことは魚の写真ないのか?」
大場「だって釣れてないもん」
横沢「それはダメだ。釣れてない釣行記なんて誰も読みたくないだろ」
大場「そうですか?リアルでいいと思うけどな~」
横沢「それはうちでは無理だ」
こんなやりとりがあったのが2月中旬。この釣行記のためというわけではないけれど、時間を見つけては亀山湖に通うこと7回、ようやく初バスをキャッチして暗黒期を脱出することができました。結論からいうと、初バスは3月15日。亀山湖のむらボートで開催されたティースタカップ第2戦でのことです。
僕は時間があえばローカルトーナメントに参加するようにしています。普段のプライベートフィッシングでは「今日はこんなルアーで釣りたい!」「単純にデカいのだけを狙いたい!」「エリアにより季節の進行具合をチェック」「あのルアーの使い方を煮詰めたい!」などなど、気の向くままにバスフィッシングを楽しんでおります。もちろん、いつだってバスは釣りたいですよ。だからといって、デコ回避のために手を変え品を変え、何がなんでも絞り出すというほどでもありません。ですが、毎度そうしていると釣りが偏り、面倒や手間を無視することで、確実に釣りが衰えます。だから、結果がなんぼの大会にエントリーして、腕も道具もさび付かないように潤滑油を差すのであります。
かんたんにいうと、「理想の釣り」と「現実の釣り」。この違いですね。まあ、現実を追っても釣れないことが多々ありますけどね…。

「理想の釣り」で多投した早春セレクト。左上から時計回りにサイレントキラーJr.(デプス)、NZクローラー(デプス)、バサロスイマー(デプスウェブメンバー)、ジョイントフカベイト(ノリーズ)、ビッグブレードチャターベイト(Zマン)&ブルフラット5.8インチ(デプス)、レイジースイマー(イマカツ)、スウィートキラー(デプスウェブメンバー)。共通するのは2mより浅いレンジで横方向にゆっくり引くことができること。カバーがらみにはジグ&スクーパーマグナム(ボトムアップ)やブルフラット4.8インチ(デプス)の1オンステキサスをよく使った
3月に入ってからは、春の進行具合を確認するため上流域もこまめにチェック。右の山が霞がかって見えるのは花粉の飛散。2~3月は寒さよりも花粉がきつかった
平日にもかかわらず44名が参加。本湖方面と上流方面に向かうボートがきれいに真っ二つに分かれた印象

開始1時間で2023年の初バスをキャッチ

亀山湖の状況は水温がようやく二桁に達し、シャローにもバスの姿がチラホラ見え始めるタイミング。当コラム(https://www.fishing-v.jp/premium/656.html)でも書いたように12月のニジマス放流後は景気のいい釣果が各ボート店のブログにアップされていたものの、1月半ばを過ぎたあたりからは貧果が上回っていました。今年の初亀山釣行は1月27日。この時はドシャローカバーで一回だけバイトがあり、ブルフラットだけが持っていかれたと同時に、45cmクラスの真っ黒いバスがボートの真横を通過。2月は4回連続ノーバイト、3月に入っても状況は変わりませんでした。ティースタカップ前日も途方に暮れ、玉砕覚悟で当日を迎えました。
この冬は極端に雨が少なく水位はマイナス0.6~0.7m。カバーは少ないながらも、かろうじて点在します。「現実の釣り」を追い求めるのであれば、ここはカバーに集中すべきと捉え、44名の参加者に混ざり6時にスタートしました。
上流域のサイト組、段々畑と呼ばれる本湖のフラットを目指す参加者が多い中、僕はのむらボートからほど近いじいさんワンドに入り、最奥のインレットにエントリー。流れがあれば餌を求めて上がってきたバスが簡単に釣れるだろうと期待しましたが、流れどころかクリアアップしてもぬけの殻。ワンド入り口のカバーにそっとボートを寄せてみると……。「ん、コイか? いやバスだ!」
浸水した枝と葉っぱの隙間に浮いていたのはロクマルクラス。デカいのが浮くとすれば水温が上がり出す日中と予想していたので、そりゃもう心臓はバクバク。ボートとバスの距離が近すぎるため4~5m離れてしばらく待機しました。
「カバーの厚さ的には最低でも1/2ozのテキサスリグが必要そう。見える範囲だけならカバースキャットを滑り込ませることはできても、枝葉が何層にも重なっているから水中でスタックしてしまうか!?1投目で喰わなければ後はないだろうな」。
普段であればカバースキャットかブルフラットのテキサスリグを入れるところですが、願ってもない千載一遇のチャンスを無駄にはしたくありません。考えを巡らせて、たどり着いたのがカバースキャットのネイルリグでした。
ノーシンカーでスタックしてしまうと、回収でカバーを揺らしてすぐに見切られてしまうだろうし、カバーに入れるだけの重さを背負ったテキサスリグでは速すぎると判断。一撃で確実に入れることができて、かつフォールスピードが速すぎないものということで、2gのネイルシンカーを後端に挿入したわけです。
ネイルシンカーを挿入しても、距離が遠くなればなるほどカバーには入りにくいので、3mほど離れたところからそっとピッチングしました。しめしめ、一度も止まることなくスッと入ったぞ!と、その直後、BMSアザヤカがプンッと跳ねました。冷静にラインスラックを巻き取りロッドのストロークを目いっぱい使って合わせ! 確かな重みを感じながらカバーから引っ張り出しました。そのままの勢いで抜き上げて、今期の初バスをキャッチ!
「やった~!」
最初に見たロクマルクラスには程遠いサイズでしたが、デコ続きだったこともあり涙が出るほどうれしい!長かった、本当にこの冬は長かった。

目指していた3kgクラスには遠く及ばないまでも、大会で釣れた1本だけに有頂天外の嬉しさです
開始早々ロクマルクラスに遭遇したカバー。カバースキャットを滑り込ませてラインが跳ねた瞬間は本当にドキドキした

いたるところでデカバスに遭遇!

大会中ということもあり素早く自撮りしてライブウェルに収め、再び同じカバーにカバースキャットを投入。もしかしたらロクマルが見つけられていないかも、と自分都合のポジティブシンキングを妄想しながら小刻みに撃っていくも、バイトはありません。しかし、カバーに魚が入っている事実を知れたのは大収穫。この後も迷うことなく目につくカバーをハシゴしました。満水時のように散見できれば吟味するところですが、暖簾が掛かっているところはごくわずか。先行者が立ち寄った後でもお構いなしに撃ちまくります。小櫃川と猪ノ川が合流する長崎には真新しい倒木が15 mほどの距離に3本、立地的にも水深的にも申し分ありません。ここは確実にいる!そう信じてじっくりカバーと向き合いました。のむらボート周辺よりも明らかに水に色がついているためカバースキャットのカラーもグリパン系にチェンジ。自作したリーダーレスダウンショットやヘビーテキサス、枝の隙間にはスイムベイトも通してみました。5~6往復したところでカバーから数m離れた岸ベタに45cmクラスを発見!
「これはもらったぜ!」
岸ギリギリを泳ぐバスの進行方向を確認して3mほど先の岸にカバースキャットを置いて最高のタイミングで着水。さあ、すっ飛んでいらっしゃい。完璧なフッキング体制まで整えるも、まさかの素通り。きみ、エサ探して彷徨ってたんじゃないの⁇ さらに先回りして薄ゴミの中を撃っても無反応。雑誌によく『シャローに上がりたての春バスは釣りやすい』と書かれていますが、亀山湖に限ってはまったく当てはまらないようです。そう確信させるできごとがその後も続きました。
日が高くなりポカポカ陽気になった11時過ぎ、僕は中流域に見切りをつけて本湖のワンドにいました。小規模のワンドではありますが、大規模の崩落跡、奥は水面が流木に覆われたインレットがあります。そのワンドの入り口には50cmクラス、ワンドの中には40~50cmクラスが3本、おまけに15cm前後のブルーギルまでいたるところに浮いていたのです。前日までは全くと言っていいほど生命感を感じることができなかった亀山湖が、まるでロックダウン明けの都市部のように大変貌。たまにスイムベイトに興味を示すバスはいるものの、ツンデレの塩対応は最盛期のハイプレッシャー時と変わりません。上手な人ならムシルアーを枝に引っ掛けたりして食わせられるのかな。残念ながら僕はそのすべもタックルも持ち合わせていませんでした。
結果は1,030g1本で5位。デカバスとの遭遇率が高かったこともあり、優勝ラインは3kg(2本リミット戦)を見込んでいましたが、意外にも1位は1,690gとロースコアでした。普段どおりでは獲ることのできなかった1本をキャッチできたのは、間違いなく大会だったからです。10回のデコは決して無駄ではなく、春が始まった日に遭遇できたこともしかり、数日後には45cmクラスもキャッチすることができました。これからハイシーズンが始まるわけですが、僕にとってのチャレンジシーズンはまた10ヶ月お預けなのであります。

優勝はエックスナナハンでリミットを揃えた、公私ともに仲良くさせてもらっているMPBルアーズの櫻井亮さん
普段なら「まいっか」で済ませるところですが、大会では水色に合わせてこまめにカラーローテーションもします(といっても2色だけ)
「現実の釣り」で使用したルアーは左上から時計回りにブルフラット3.8インチ(デプス)/3/4オンステキサスリグ、ビーフリーズ65SP(ラッキークラフト)、Bカスタムチャター3/8オンス&MSグラブ(ともにデプス)、シャダーベイト(デプス)、カバースキャット3.5インチ(デプス)、バルビュータ3.5インチ(デプス)/3/8オンス自作リーダーレスダウンショット)。左の3つはカバーの濃さに合わせた選択。ビーフリーズは小さいベイトフィッシュが溜まっているドシャローフラットで1度だけ30cm弱のバスを掛けたが、ドラグがユルユル、おまけに閉めようとしたらさらに緩めてしまい、あっさりロスト。Bカスチャター&MSグラブはこの冬から試している組み合わせで、可能性を感じるセット。シャダーベイトには1.3gのネイルシンカーを挿入して、食わせのスイムベイトをイメージ
大会3日後には急遽バサー編集長と雨の亀山にトライ。ビーフリーズでバラしたエリアではサイレントキラーJr.に45cmクラスが飛び掛かってきた
じつはこの1投前には55cmクラスがミスバイトしてきた。写真は雨のプライベート釣行にもかかわらず一眼レフを持参する佐々木編集長が撮ってくれました。感謝!

施設等情報

■のむらボートハウス
〒292-0525 千葉県君津市草川原396-1
TEL:0439-39-3020 のむらボートハウスホームページ

施設等関連情報

■営業時間:5:30~17:00(4月)※エレキ、バッテリー、船舶免許不要艇あり。要遊漁券
■車:圏央道・木更津東ICから約25分、館山道・君津ICから約35分

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

大場 未知 東京・麻布十番育ち。大学時代は留学先のテキサスでバスフィッシングの腕を磨き、日本の出版社勤務を経て再び渡米。B.A.S.S. およびFLWにコアングラーで参戦。FLWではチャンピオンシップで2位に入るなど、アマチュア賞金稼ぎとして数々の爪痕を残した。
現在は、千葉県君津市在住のフィッシングライター&エディター。

その他オススメ記事