今冬のトンネルはいつも以上に長かった~
横沢「よ~大場、そろそろ釣行記書いてくれよ」
大場「釣りにはちょこちょこ行ってるからいつでも書けますよ」
横沢「それはよかった。亀山か?」
大場「片倉3回行ってデコって亀山でもまだ釣れてない」
横沢「ん、ってことは魚の写真ないのか?」
大場「だって釣れてないもん」
横沢「それはダメだ。釣れてない釣行記なんて誰も読みたくないだろ」
大場「そうですか?リアルでいいと思うけどな~」
横沢「それはうちでは無理だ」
こんなやりとりがあったのが2月中旬。この釣行記のためというわけではないけれど、時間を見つけては亀山湖に通うこと7回、ようやく初バスをキャッチして暗黒期を脱出することができました。結論からいうと、初バスは3月15日。亀山湖のむらボートで開催されたティースタカップ第2戦でのことです。
僕は時間があえばローカルトーナメントに参加するようにしています。普段のプライベートフィッシングでは「今日はこんなルアーで釣りたい!」「単純にデカいのだけを狙いたい!」「エリアにより季節の進行具合をチェック」「あのルアーの使い方を煮詰めたい!」などなど、気の向くままにバスフィッシングを楽しんでおります。もちろん、いつだってバスは釣りたいですよ。だからといって、デコ回避のために手を変え品を変え、何がなんでも絞り出すというほどでもありません。ですが、毎度そうしていると釣りが偏り、面倒や手間を無視することで、確実に釣りが衰えます。だから、結果がなんぼの大会にエントリーして、腕も道具もさび付かないように潤滑油を差すのであります。
かんたんにいうと、「理想の釣り」と「現実の釣り」。この違いですね。まあ、現実を追っても釣れないことが多々ありますけどね…。
開始1時間で2023年の初バスをキャッチ
亀山湖の状況は水温がようやく二桁に達し、シャローにもバスの姿がチラホラ見え始めるタイミング。当コラム(https://www.fishing-v.jp/premium/656.html)でも書いたように12月のニジマス放流後は景気のいい釣果が各ボート店のブログにアップされていたものの、1月半ばを過ぎたあたりからは貧果が上回っていました。今年の初亀山釣行は1月27日。この時はドシャローカバーで一回だけバイトがあり、ブルフラットだけが持っていかれたと同時に、45cmクラスの真っ黒いバスがボートの真横を通過。2月は4回連続ノーバイト、3月に入っても状況は変わりませんでした。ティースタカップ前日も途方に暮れ、玉砕覚悟で当日を迎えました。
この冬は極端に雨が少なく水位はマイナス0.6~0.7m。カバーは少ないながらも、かろうじて点在します。「現実の釣り」を追い求めるのであれば、ここはカバーに集中すべきと捉え、44名の参加者に混ざり6時にスタートしました。
上流域のサイト組、段々畑と呼ばれる本湖のフラットを目指す参加者が多い中、僕はのむらボートからほど近いじいさんワンドに入り、最奥のインレットにエントリー。流れがあれば餌を求めて上がってきたバスが簡単に釣れるだろうと期待しましたが、流れどころかクリアアップしてもぬけの殻。ワンド入り口のカバーにそっとボートを寄せてみると……。「ん、コイか? いやバスだ!」
浸水した枝と葉っぱの隙間に浮いていたのはロクマルクラス。デカいのが浮くとすれば水温が上がり出す日中と予想していたので、そりゃもう心臓はバクバク。ボートとバスの距離が近すぎるため4~5m離れてしばらく待機しました。
「カバーの厚さ的には最低でも1/2ozのテキサスリグが必要そう。見える範囲だけならカバースキャットを滑り込ませることはできても、枝葉が何層にも重なっているから水中でスタックしてしまうか!?1投目で喰わなければ後はないだろうな」。
普段であればカバースキャットかブルフラットのテキサスリグを入れるところですが、願ってもない千載一遇のチャンスを無駄にはしたくありません。考えを巡らせて、たどり着いたのがカバースキャットのネイルリグでした。
ノーシンカーでスタックしてしまうと、回収でカバーを揺らしてすぐに見切られてしまうだろうし、カバーに入れるだけの重さを背負ったテキサスリグでは速すぎると判断。一撃で確実に入れることができて、かつフォールスピードが速すぎないものということで、2gのネイルシンカーを後端に挿入したわけです。
ネイルシンカーを挿入しても、距離が遠くなればなるほどカバーには入りにくいので、3mほど離れたところからそっとピッチングしました。しめしめ、一度も止まることなくスッと入ったぞ!と、その直後、BMSアザヤカがプンッと跳ねました。冷静にラインスラックを巻き取りロッドのストロークを目いっぱい使って合わせ! 確かな重みを感じながらカバーから引っ張り出しました。そのままの勢いで抜き上げて、今期の初バスをキャッチ!
「やった~!」
最初に見たロクマルクラスには程遠いサイズでしたが、デコ続きだったこともあり涙が出るほどうれしい!長かった、本当にこの冬は長かった。
いたるところでデカバスに遭遇!
大会中ということもあり素早く自撮りしてライブウェルに収め、再び同じカバーにカバースキャットを投入。もしかしたらロクマルが見つけられていないかも、と自分都合のポジティブシンキングを妄想しながら小刻みに撃っていくも、バイトはありません。しかし、カバーに魚が入っている事実を知れたのは大収穫。この後も迷うことなく目につくカバーをハシゴしました。満水時のように散見できれば吟味するところですが、暖簾が掛かっているところはごくわずか。先行者が立ち寄った後でもお構いなしに撃ちまくります。小櫃川と猪ノ川が合流する長崎には真新しい倒木が15 mほどの距離に3本、立地的にも水深的にも申し分ありません。ここは確実にいる!そう信じてじっくりカバーと向き合いました。のむらボート周辺よりも明らかに水に色がついているためカバースキャットのカラーもグリパン系にチェンジ。自作したリーダーレスダウンショットやヘビーテキサス、枝の隙間にはスイムベイトも通してみました。5~6往復したところでカバーから数m離れた岸ベタに45cmクラスを発見!
「これはもらったぜ!」
岸ギリギリを泳ぐバスの進行方向を確認して3mほど先の岸にカバースキャットを置いて最高のタイミングで着水。さあ、すっ飛んでいらっしゃい。完璧なフッキング体制まで整えるも、まさかの素通り。きみ、エサ探して彷徨ってたんじゃないの⁇ さらに先回りして薄ゴミの中を撃っても無反応。雑誌によく『シャローに上がりたての春バスは釣りやすい』と書かれていますが、亀山湖に限ってはまったく当てはまらないようです。そう確信させるできごとがその後も続きました。
日が高くなりポカポカ陽気になった11時過ぎ、僕は中流域に見切りをつけて本湖のワンドにいました。小規模のワンドではありますが、大規模の崩落跡、奥は水面が流木に覆われたインレットがあります。そのワンドの入り口には50cmクラス、ワンドの中には40~50cmクラスが3本、おまけに15cm前後のブルーギルまでいたるところに浮いていたのです。前日までは全くと言っていいほど生命感を感じることができなかった亀山湖が、まるでロックダウン明けの都市部のように大変貌。たまにスイムベイトに興味を示すバスはいるものの、ツンデレの塩対応は最盛期のハイプレッシャー時と変わりません。上手な人ならムシルアーを枝に引っ掛けたりして食わせられるのかな。残念ながら僕はそのすべもタックルも持ち合わせていませんでした。
結果は1,030g1本で5位。デカバスとの遭遇率が高かったこともあり、優勝ラインは3kg(2本リミット戦)を見込んでいましたが、意外にも1位は1,690gとロースコアでした。普段どおりでは獲ることのできなかった1本をキャッチできたのは、間違いなく大会だったからです。10回のデコは決して無駄ではなく、春が始まった日に遭遇できたこともしかり、数日後には45cmクラスもキャッチすることができました。これからハイシーズンが始まるわけですが、僕にとってのチャレンジシーズンはまた10ヶ月お預けなのであります。
施設等情報
施設等関連情報
■車:圏央道・木更津東ICから約25分、館山道・君津ICから約35分
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。