ショアジギとはショア(岸)からメタルジグを投げる釣り
まず、ショアジギってどんな釣り?
渡邉「ショアジギとは、岸からメタルジグを投げて釣る釣り方ですね。基本的には青物を狙うことが多いです」
今回の狙いとしては?
渡邉「イナダ、ワラサ、ソウダガツオ、シイラ、カンパチの子供……ショゴといわれるサイズですね。でも、ちょっとまだイナダが湾内に入ってきてないんですよね」
まず、基礎を習うために降り立ったのは千葉県館山付近の地磯。朝3時半に(夜だ)集合して、390段の階段を下りてきた、釣り人にとっては普通だが、それ以外の人には秘境でしかない場所。正直、帰りにこの階段を上るのかと思うと、電話で渡し舟を呼びたくなった。
イナダ、ワラサクラスも喰ってくるとなると、タックルもそれなりに強力だ。9~10フィートのショアジギロッドかあるいはシーバスロッドに4000番のスピニングリール。道糸はPE2号で、リーダーは30~40ポンド、ジグは30~40gを用意するようにと、渡邊さんに指定されていた。
PEラインのトラブルを激減させるキャストテク!
釣りを始めたのはいいけれど、10投に1回はラインがスムーズに放出されずに、メタルジグがすぐ近くに落ちてしまう。そして30投に1回は、ラインが切れてジグが飛んで行ってしまう。原因は、ガイドへのライン絡みだ。こうなるとリーダーの結び直しから始めるので、釣りにならない。一方の渡邉さんは、まったくトラブルなし。これはやっぱり、俺のノットが悪いのか?
渡邉「いや、まずはリーダーをもっと短くして、たらしを長めにして投げるといいです。投げるときに結び目がガイドに当たらないようにするわけです。それから、バス釣りをやっている人は、普段軽いものを投げているので、どうしてもティップだけで投げちゃう傾向にあります。重いメタルジグをその方法で投げると、ティップがぶれてしまって、糸の出が悪くなるんです。だから、ガイドに絡んでしまう。ロッド全体を曲げて投げて、フォロースルーでティップが曲がらないように投げるのがコツです」
これがなかなか簡単じゃなかったけれど、練習したら格段にトラブルが減った!
アクションとレンジコントロール
渡邊さんは、まず遠投したジグを早巻きして、水面を飛び跳ねるように引いていた。
渡邉「スキッピングです。朝マズメは基本的にこのように表層を引いたり、水面直下を引きますね。魚も中層より上のレンジを回遊することが多いので。それに、水面近くを引けば、魚が追ってくるのが見えるじゃないですか。魚がいるかいないか確認できるわけですね。朝マズメは1日の中でも最高のチャンスなので、そのチャンスを無駄にしないためにも、魚がいるかどうかの情報は早めに知りたいですね」
日が上がってきてからは、ボイルなども減るので、中層からボトムへとレンジを下げるのが基本。このように、どのレンジでも釣りができてしまうのがメタルジグの強みだ。
渡邉「中層からボトムを狙うときは、ジグが着水してから必ずカウントダウンすることですね。それによって地形変化もわかるし、フォール中のアタリもとることができます」
カウント15でボトムに着くような場所なのに、カウント5でラインの放出が止まってしまったら、それはフォール中のアタリである可能性が高い。
また、中層を引く場合のアクションは、大きく分けて3パターンある。
連続的にショートジャークを加えながらリールを巻く【ジャカジャカ巻き】。
上方向に1回しゃくってから、ロッドを倒しつつリールを巻く【ワンピッチジャーク】。
ある程度しゃくりあげてから、フォール。また上げてきてフォールを繰り返す【リフト&フォール】。
これに表層を跳ねさせる【スキッピング】を加えれば、基本はマスターしたといえるだろう。
結局、この地磯ではワンチェイスもなく終わった。
渡邉「次は、本命場所に行きましょう!」
え? ここが本命じゃなかったの? 気温35度の酷暑の中、390段の階段を上り終えた俺は、スポーツドリンク2リットルと、天然水2リットルを飲み干していた…。
いざ、ショアジギの楽園へ!
初日の午後はチニングのレクチャーを受けたので、ショアジギの本命場所に来たのは翌日の早朝だった。
渡邉「ここ、最高の場所なんですよ!」
そこは、房総半島の西側の先端になる洲崎に位置する「お台場海浜庭園」という施設の中だった。「公園」ではなく「庭園」ね。ここには、釣り人専用の駐車場があり、目の前には極上の立地条件を誇る平磯が広がっている。駐車場は有料(1日1000円)だが、初日の磯に比べたら天国のような釣り場だ。夜明け前から先行者が3人ほどいたが、釣り座は十分にある。
渡邉「あ、あの人、魚を掛けましたよ!」
先行者が釣り上げたのは、カンパチの幼魚で「ショゴ」と呼ばれるサイズだった。
釣り人M氏「キープすべきか、迷うサイズですね~」
と、悩む釣り人M氏に頼んで写真をパチリ。これは幸先がよさそうだ。
渡邉「狙う魚によって、有効なジグのアクションも変わってきます。例えばシイラやソウダガツオなどは横の動きがいい。サバとかはフォールを主体にさせたほうが釣れます。ショゴやカンパチは、イレギュラーなアクションに反応しやすいですね」
それによってジグのタイプも使い分ける必要がある。例えば、イレギュラーなアクションを出したいなら、スリムなタイプがいい。また、表層でスキッピングさせたいなら、比重の小さい樹脂コートタイプが使いやすい。
遂に飛び出した!南国からの使者
さすが洲崎! 日中になっても普通にボイルが起きるし、渡邊さんには何度かアタリもあった。でも、なぜかこの日は朝イチのショゴが出て以来、どの釣り人にも魚が出ない。もうすぐ10時だ。せめて渡邉さんには1本出して欲しい。と思いつつ、俺が車の中で休憩していると……。
渡邉「よし出た! よしよし、乗りました!」
横引きにしていたメタルジグに何かがかかったぞ!
渡邉「ペンペンシイラでした~」
血気盛んな若いシイラが上がってきた! シイラといえばオフショアというイメージがあるけれど、ショアジギなら岸から釣れるのだ。こんな感じでワラサとかがかかったら、どうなってしまうのだろうか? ショアジギって、なんかすごいね。俺も釣ってみたい! 残念ながら、俺は完全なるノーバイトで終わってしまったけれど、2匹の魚を見ることによって、ショアジギの醍醐味を垣間見ることができた。渡邉さんにしっかりコツも教わったし、早く再挑戦してみたいぜ。ただし、あの390段の階段地獄には近寄らず、このお台場海浜庭園に直行しようと、心に誓った。
施設等情報
施設等関連情報
施設内にはキャンプ場などもある。料金などは公式サイトを参照。
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。