【ショアジギ】初心者マークでも、《高級魚》をゲットできるコツを一挙に伝授!

今や岸からのソルトルアーフィッシングで、最も人気が高いのが「ショアジギ」だろう。確かに、磯や防波堤、サーフからも楽しめて、手軽に様々な魚を狙えるイメージがある。でも、いざやってみようとなると、イマイチやり方がわからないのでは? 俺、横沢鉄平も56歳にしてそんなショアジギビギナー。そこで、房総のソルト魔人・渡邉長士さんにショアジギの基礎を教わることにした。それはもう、目からウロコが落ちまくりの、金言オンパレードだった!(写真は房総の磯で釣ったワラサ!)

ソルト
  • 千葉県 お台場海浜庭園

ショアジギとはショア(岸)からメタルジグを投げる釣り

まず、ショアジギってどんな釣り?

渡邉「ショアジギとは、岸からメタルジグを投げて釣る釣り方ですね。基本的には青物を狙うことが多いです」

今回の狙いとしては?

渡邉「イナダ、ワラサ、ソウダガツオ、シイラ、カンパチの子供……ショゴといわれるサイズですね。でも、ちょっとまだイナダが湾内に入ってきてないんですよね」

まず、基礎を習うために降り立ったのは千葉県館山付近の地磯。朝3時半に(夜だ)集合して、390段の階段を下りてきた、釣り人にとっては普通だが、それ以外の人には秘境でしかない場所。正直、帰りにこの階段を上るのかと思うと、電話で渡し舟を呼びたくなった。

イナダ、ワラサクラスも喰ってくるとなると、タックルもそれなりに強力だ。9~10フィートのショアジギロッドかあるいはシーバスロッドに4000番のスピニングリール。道糸はPE2号で、リーダーは30~40ポンド、ジグは30~40gを用意するようにと、渡邊さんに指定されていた。

【渡邉長士プロフィール】わたなべたけし・房総半島を拠点にして、主に岸からのソルトウォーターフィッシング全般をこなす。「アジング」の創始者にして名付け親としても知られていて、既存の釣りに左右されず、常にオリジナリティーのある釣りを開拓。ハゼをワームで釣る「ハゼット」、ボラを釣る「マレッティング」など、その探究心はとどまることを知らない。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【ショアジギのいでたち】磯では膨張式ではない浮力体式のフローティングベストが推奨される。もし落水した場合、膨張式だと磯に接触した場合、穴が開く危険性が高いからだ。それから、スパイク底の磯ブーツもマスト。グローブ、キャップ、ヘンコーグラスも安全対策になる。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【狙う場所】基本は変化を狙う。例えば潮目、地形変化、それからベイトの群れ、ナブラなど。何も変化がなければひたすら遠投だ!©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【ナブラを狙うためのコース】ナブラを見つけても、それを直撃してはいけない。その進行方向の更に沖側へとジグを投げて巻き、ナブラの先頭と交差するようなコースを引いてくるのがベスト。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平

PEラインのトラブルを激減させるキャストテク!

釣りを始めたのはいいけれど、10投に1回はラインがスムーズに放出されずに、メタルジグがすぐ近くに落ちてしまう。そして30投に1回は、ラインが切れてジグが飛んで行ってしまう。原因は、ガイドへのライン絡みだ。こうなるとリーダーの結び直しから始めるので、釣りにならない。一方の渡邉さんは、まったくトラブルなし。これはやっぱり、俺のノットが悪いのか?

渡邉「いや、まずはリーダーをもっと短くして、たらしを長めにして投げるといいです。投げるときに結び目がガイドに当たらないようにするわけです。それから、バス釣りをやっている人は、普段軽いものを投げているので、どうしてもティップだけで投げちゃう傾向にあります。重いメタルジグをその方法で投げると、ティップがぶれてしまって、糸の出が悪くなるんです。だから、ガイドに絡んでしまう。ロッド全体を曲げて投げて、フォロースルーでティップが曲がらないように投げるのがコツです」

これがなかなか簡単じゃなかったけれど、練習したら格段にトラブルが減った!

【キャスト1】タラシを長めにして、ゆっくりとロッドを後ろ向きに構える。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【キャスト2】ロッド全体をバランスよく曲げて、ジグをキャスト!©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【キャスト3】フォロースルーはティップがぶれないように。ある程度ティップに追従させるイメージでソフトに振り切る。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
渡邊さんのアドバイスを守ったら、だんだんトラブルなく投げられるようになってきた!©釣りビジョン 写真:横沢鉄平

アクションとレンジコントロール

渡邊さんは、まず遠投したジグを早巻きして、水面を飛び跳ねるように引いていた。

渡邉「スキッピングです。朝マズメは基本的にこのように表層を引いたり、水面直下を引きますね。魚も中層より上のレンジを回遊することが多いので。それに、水面近くを引けば、魚が追ってくるのが見えるじゃないですか。魚がいるかいないか確認できるわけですね。朝マズメは1日の中でも最高のチャンスなので、そのチャンスを無駄にしないためにも、魚がいるかどうかの情報は早めに知りたいですね」

日が上がってきてからは、ボイルなども減るので、中層からボトムへとレンジを下げるのが基本。このように、どのレンジでも釣りができてしまうのがメタルジグの強みだ。

渡邉「中層からボトムを狙うときは、ジグが着水してから必ずカウントダウンすることですね。それによって地形変化もわかるし、フォール中のアタリもとることができます」

カウント15でボトムに着くような場所なのに、カウント5でラインの放出が止まってしまったら、それはフォール中のアタリである可能性が高い。

また、中層を引く場合のアクションは、大きく分けて3パターンある。
連続的にショートジャークを加えながらリールを巻く【ジャカジャカ巻き】
上方向に1回しゃくってから、ロッドを倒しつつリールを巻く【ワンピッチジャーク】
ある程度しゃくりあげてから、フォール。また上げてきてフォールを繰り返す【リフト&フォール】
これに表層を跳ねさせる【スキッピング】を加えれば、基本はマスターしたといえるだろう。
結局、この地磯ではワンチェイスもなく終わった。

渡邉「次は、本命場所に行きましょう!」
え? ここが本命じゃなかったの? 気温35度の酷暑の中、390段の階段を上り終えた俺は、スポーツドリンク2リットルと、天然水2リットルを飲み干していた…。

【スキッピング】ジグが表層を飛び跳ねるようにして引く。着水前にベールを返して巻く準備をしておくといい。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【ジャカジャカ巻き】ロッドにジャカジャカと連続的なショートジャークを加えつつ、リールを巻く。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
【ワンピッチジャーク】上方向に一発ジャークを加えて、ロッドを倒しつつ、リールを巻いてフォールさせる。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
磯から上がる390段の階段を上り中。120㎏の体重を持つ俺には、かなりの苦行だった…。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平

いざ、ショアジギの楽園へ!

初日の午後はチニングのレクチャーを受けたので、ショアジギの本命場所に来たのは翌日の早朝だった。

渡邉「ここ、最高の場所なんですよ!」

そこは、房総半島の西側の先端になる洲崎に位置する「お台場海浜庭園」という施設の中だった。「公園」ではなく「庭園」ね。ここには、釣り人専用の駐車場があり、目の前には極上の立地条件を誇る平磯が広がっている。駐車場は有料(1日1000円)だが、初日の磯に比べたら天国のような釣り場だ。夜明け前から先行者が3人ほどいたが、釣り座は十分にある。

渡邉「あ、あの人、魚を掛けましたよ!」

先行者が釣り上げたのは、カンパチの幼魚で「ショゴ」と呼ばれるサイズだった。

釣り人M氏「キープすべきか、迷うサイズですね~」

と、悩む釣り人M氏に頼んで写真をパチリ。これは幸先がよさそうだ。

渡邉「狙う魚によって、有効なジグのアクションも変わってきます。例えばシイラやソウダガツオなどは横の動きがいい。サバとかはフォールを主体にさせたほうが釣れます。ショゴやカンパチは、イレギュラーなアクションに反応しやすいですね」

それによってジグのタイプも使い分ける必要がある。例えば、イレギュラーなアクションを出したいなら、スリムなタイプがいい。また、表層でスキッピングさせたいなら、比重の小さい樹脂コートタイプが使いやすい。

朝イチの洲崎、千葉県在住の凄腕ソルトマンM氏が、元気なショゴを仕留めた!©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
渡邊さんによるとメタルジグのタイプは大別して4タイプある。上から順に【鉛製スリムタイプ】最も一般的。よく飛ぶし、しゃくるのも楽。イレギュラーなアクションが得意。青物全般に強い。【鉛製ファットタイプ】水を受けるので、スローでもよく動く。ヒラメやマゴチなどに強い。フォールがスローなのでサバにもいい。【タングステンタイプ】比重が大きいのでコンパクト。ベイトフィッシュが小さい時は圧倒的に強い。よく飛ぶし、沈下速度も速い。【樹脂コートタイプ】比重が小さいので、浮き上がりが早く、スキッピングが得意。ただ巻きで弱ったカタクチイワシを演じさせると秀逸。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平

遂に飛び出した!南国からの使者

さすが洲崎! 日中になっても普通にボイルが起きるし、渡邊さんには何度かアタリもあった。でも、なぜかこの日は朝イチのショゴが出て以来、どの釣り人にも魚が出ない。もうすぐ10時だ。せめて渡邉さんには1本出して欲しい。と思いつつ、俺が車の中で休憩していると……。

渡邉「よし出た! よしよし、乗りました!」

横引きにしていたメタルジグに何かがかかったぞ!

渡邉「ペンペンシイラでした~」

血気盛んな若いシイラが上がってきた! シイラといえばオフショアというイメージがあるけれど、ショアジギなら岸から釣れるのだ。こんな感じでワラサとかがかかったら、どうなってしまうのだろうか? ショアジギって、なんかすごいね。俺も釣ってみたい! 残念ながら、俺は完全なるノーバイトで終わってしまったけれど、2匹の魚を見ることによって、ショアジギの醍醐味を垣間見ることができた。渡邉さんにしっかりコツも教わったし、早く再挑戦してみたいぜ。ただし、あの390段の階段地獄には近寄らず、このお台場海浜庭園に直行しようと、心に誓った。

あまりよくない状況下でも、結果を出せる渡邉さんは本当にすごい!真のプロだ。渡邉「ファイト中、他にも何匹かシイラが追ってきましたよ!」。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
渡邊さんのタックルは●ロッド:ラブラックスAGS110MH-3(DAIWA)●リール:セルテートSW6000XH(DAIWA)●ライン:撃投PEフラッシュ2号(カルティバ)+モアザンリーダーEXⅡTYPE-F40lb(DAIWA)。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
スコールのような雨も降ったが、むしろシャワー代わりになってさわやかだった!この釣り場は最高!©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
お台場海浜庭園は、釣りはもちろん、オートキャンプや貸別荘もある施設。とにかくロケーションが最高だし、釣り場のすぐそばに駐車できるのが何よりもうれしい。©釣りビジョン 写真:横沢鉄平
房総の地磯で渡邊さんが仕留めたカンパチ! スリムタイプのメタルジグだ。©渡邉長士

施設等情報

■お台場海浜庭園
〒294-0316 千葉県館山市洲崎908-22
受付:0470-24-5335(平日のみ)
現地:0470-29-0139(受付時間9:30~17:00) お台場海浜庭園HP

施設等関連情報

海釣り駐車場料金:1日1,000円/1台
施設内にはキャンプ場などもある。料金などは公式サイトを参照。

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

横沢 鉄平 フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。

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