浅瀬の中で、立ち位置を変え、オイカワの群れがいそうな瀬を探る。日が傾いて夕方近くになってくると視界の隅でライズが見えはじめる。チャンスタイムの到来だ。ヒットに備え、腰に差しておいたランディングネットを確認する……。あれ、ないぞ? なんということだ。コードが切れている。すでに流れてしまったようで、下流を探したが見つけることはできなかった。これでは魚を掛けても、撮影前にフックアウトしてしまう可能性が高くなってしまう。そんな不安を抱きつつ、毛バリを流す。下流側のシモリ玉の近くでパチャッとライズ。おっ! しかし、魚信は手元に伝わってこない。喰い損ねたようだ。そこで、仕掛けを流しきったところで竿を前後させて、毛バリを躍らせてみた。すると、今一度、水面でパシャッと跳ねた。その直後、手元にプルプルという魚信。よし、ヒット!竿を立てつつ、足早に岸際へと移動。釣れたのは、10cm弱のオイカワ。仕掛けの一番下の毛バリをしっかりとくわえている。オイカワらしい色彩が美しい。その後は、瀬ウキ側となる一番上流側の赤い毛バリにヒット。日没前の小一時間ほどで、都合3尾のオイカワをキャッチ。夕方に散歩しながら楽しむ小魚釣りとしてはとても満足度が高い。キャッチ前に落としてしまったのが2尾。ネットさえ、流してしまわなければと悔やまれる。気がつけば、西の空はオレンジに染まり、水面の上にはトンボが舞う。そして上空ではトビが輪を描く。僕は、こんな多摩川の情景が好きなんです。