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スクープ!DRT・白川友也の大発明 布ルアー”ファラオ”の正体!?

2022年10月31日公開

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金属、木、プラスチック、発泡樹脂、ソフトプラスチック…と続いてきたルアー素材の歴史に新しいページが加わりそうだ。その大発明がDRTの肝入り試作ルアー、ファラオ。そのボディの素材とは…なんと、布。泳ぐ羽衣のような、完全に新しいビッグベイトを紹介しよう

誰も思いつかなかった、完全に新しいルアー

長いルアーの歴史を誇るアメリカ人もさすがにこれは思いつかなかったようだ。樹脂製のコアが服を着たような布ベイト、その名もファラオ(PHARAOH)。

これを考えた発明家は誰かというと…現在最も勢いのある新興釣り具ブランド・DRT代表の白川友也さん、その人である。インスピレーションを得たきっかけは、鯉のぼりならぬ”バスのぼり”だったという。

白川「琵琶湖近くの釣具店で、鯉のぼりを模した『バスのぼり』を見たのがきっかけでした。これを泳がせたらどうなるのだろう?…って。そして、オモリを付けて投げたら、ちゃんと泳いだんです」

それを本気のルアーとして開発したのが白川さんのすごいところ。ただ、最初は布ではなく、プラスチックにその構造を落とし込んだ。それがボディ内部に水を取り込むというこれまた画期的な構造のジャイアントベイト、「フレンジー」だ。

白川「最初は布で作っても空気抵抗で飛ばないだろう、と思ったんですよ。でもフレンジーを経てわかったのですが、どこかに重心の塊を持っていればルアーとしてキャスティングできる。例えば雑巾を投げても飛ばないじゃないですか。でも、中に鉄球を入れれば飛ぶ。その考え方ですね」

浮力と重量のあるプラスチック製コアを自作し、同じコアを使って着せ替え人形のようにいろいろな魚の模様をプリントした服を着せることにした。なので、布を変えればサイズも形も模様も違う魚へと衣替えできるのである。そんなルアーは聞いたことがない。

無限の可能性を感じるが…難問も多かった

白川「はじめはわりと小さくて、タイニークラッシュくらいでした。コアも半分くらいの大きさで、浮力を持たせようと思ったらせいぜい数十グラムにしかならず、あまり飛ばなかったんです。それでも魚の反応が見たくて、湖で投げたところ…いきなり魚の反応があった。それというのが今まで自分が使ってきたビッグベイトとは明らかに違う。距離感というか…魚のルアーへの詰め方が違うんです。これをなんとかものにしたいと思い、今に至ります」

最初は全長150mmくらいだった布ボディも、今は500mmくらいまで作っているという。着せ替え可能なのでいろいろなサイズを試しているのだ。布の種類は、初期はただの白い布、そこからメッシュ素材を経て、今はなにやら伸縮性のあるキラキラした生地を試しているらしい。

白川「昔でいう、ボディコンの生地です(※90年代前半のギャルが好んで着ていたボディラインがはっきり出る服)。キンキラの布に魚をプリントしています。まだ詳しくは言えないのですが、大きさに合った布の種類をいろいろと実験しているところです。スローな動きに向く布、速巻きに向く布がある。布の種類は諦めそうになるくらい無限にあって…諦めかけたころにまた手芸センターでいい布が見つかったりしてモチベーションが上がったり…その繰り返しですね」

内部のコアは浮力を持たせ、かつ飛距離が出せるよう、マグナムクランクベイトのようなサイズ、形をしている。初期はウェイトをボディ外部の任意の場所に固定して、飛行姿勢やスイミング姿勢を調整する方式だった。これはいける、という手応えがあったが、意外な問題が生じた。

白川「コアの突起物(ウェイトを固定するヒートンなど)が多いと着水の衝撃で布が破けちゃうんです。対策で布を硬くしても1日持たなかった。なおかつ、初期は背バリ仕様にしていたんですが、ガンガンバイトがあるようなときでも一向に掛からなかった。でも、背バリも捨て難いと思っていたんですよ。ボトムズル引きができますから。ただ、ボディが布である以上、ズル引きは無理だと気づきました。引っ掛かるし、腹側の布がすぐに破れてしまう」

 

バスの反応はとにかくすごいが…まだまだ発展途上

そういえば宮川大輔さんのYouTube動画を観ていたら、白川さんの操るファラオにビッグバスが水面で何度も激しいバイトをするスリリングな映像があった。

白川「あの喰い方をしてくれるとすごく楽なんですよ。あのとき、僕は釣る気はなかったんですが、宮川さんの釣りを見ながら目の前にあるクイを撃ちつつ、超デッドスローで巻いていたんです。その次のキャストで高速に切り替えてみると…あの状態になりました。とにかく集魚力がすごいんです」

とはいえ、そのときもフッキングに至らず。課題は明らかだが、無限の可能性も同時に感じる。

白川「4月からテストを始めて、リアルな話、50バイトはありました。でも、釣ったのはまだ1匹なんですよ。バイトの多くが甘噛みなんですが…普通のルアーでは甘噛みもしないで終わってる魚が甘噛みをしているんだと思います。例えば、春のタテストにサスペンドしたバス、あれを喰わせるのはすごく難しいんですが、それがあっさりバイトしたりとか。そういう自分でも体験したことがないことが何度も起こったので…まだまだいろいろ試していきますよ」

11月には、釣りビジョンマガジンで白川さんの実釣取材を予定。そこではさらに進化したファラオが見ることができるだろう。

おまけ…DRT、ボツワームの世界

栄光の陰に屍あり。ということで、ファラオの陰に隠れた(?)DRTのボツワームたちをいくつか紹介しよう。すごくもったいないような気もする…個性豊かなワームばかりだ。

11月のマガジンページリニューアルで、タイニークラッシュの大プレゼントが!!

11月中に釣りビジョンマガジンはデザインを刷新して、大幅リニューアルする予定。それを祝して、白川さんが近年一番人気のビッグベイト、タイニークラッシュをプレゼント用に提供! 太っ腹です! プレゼント詳細は今月中に公開。ファラオの実釣取材と併せて楽しみに待っていてほしい。(毎日チェックすべき?)

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。
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