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《水中丸見え》誰も明かそうとしない、ライブサイトのやり方とは? 【バス釣りゲームチェンジャー】

2023年06月22日公開

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ライブスコープ(ガーミン)の登場から5年。日米問わずトーナメントシーンで驚異的な威力を発揮し、使いこなす若手選手がベテランを圧倒している。ライブソナーを使ったテクニックは「ライブサイト」と呼ばれるが…そのやり方とは…? この哀れな語り部(←筆者のことです)が、断腸の思いで自供する!

なぜライブサイトの実践ハウツーはあまり公開されないだろうのか?

ライブサイトというのをご存知だろうか? ガーミン魚探の「ライブスコープ」に始まった、前方など任意の方向をリアルタイムで描写することができる、魚探の最新機能を活用したテクニックだ。。ライブスコープは2018年に登場したのだが…それより前の魚探というのは前方の断面図を映すことはできなかったし、リアルタイムの動画として映すこともできなかった。ライブソナー(ライブスコープに代表される類の魚探を指す)なら前方の地形、沈みモノ、またそれに付いている魚の行動まで確認できるので…四半世紀、控えめにいっても20年に一度レベルのとんでもなく革命的な釣り道具だと思う。

プロトーナメンターやプロガイドはこぞってこれを導入し、試行錯誤しながら釣りまくっている。反面、日本国内でこのシステム(魚探モニター+ライブソナー)を揃えようとするとかなり高価になるので…一般アングラーがおいそれと手を出せる代物でもない。発売から5年が経ってはいるものの、未だ一般層への普及率は高くはないだろう。

なので、ライブソナーを使いまくっているプロアングラーも正面切ってこのテクニックを解説するのはいまだに避ける傾向がある…ような気がする。ライブソナーを持っていない人にはまるで響かないし、人によっては反感さえ持たれる…それならそもそも自分の武器を公開する理由もないからだ。ゆえに、雑誌でもネットでもライブサイトの実践レベルでの解説というのはあまり見ることができない。

そういう流れがあるからかどうかは不明だが、釣りビジョンマガジン編集部から「ライブサイトについて解説記事を書いてくれよ」との依頼があった。この哀れな語り部、まだまだ勉強中の身なんですが…誠に僭越ながら、取材や自分の釣りを通して得た知見をささやかながら紹介させていただこうと思う。

ライブソナーがあれば誰でも簡単に釣れる…そんなわけがない

さて、今回の言い渡されたお題は「ライブサイト」。ライブソナーの画面を見ながらまるでサイトフィッシングをするようなテクニック…だと思うが、最初に白状すると、筆者はそれほど高い精度で実践できているわけではない。せいぜい、ストラクチャーやベイトの群れに付いているバスをライブソナーで見つけたら、シチュエーションにあったルアーを選択し、バスにルアーを見つけてもらって、たまに釣れることもある…という程度。

ただ、一流のプロトーナメンターでもライブソナーでバスを見つければ簡単に釣れるかというと…そんなことはないはずだ。普段魚探さえ使わない人たちには「ライブソナーさえあれば簡単に釣れるでしょ? それって釣りといえるの?」…といった具合に勘違いされがちなのだが…ハッキリ言っておくと、そこまで魔法のような道具ではない。

今まで想像でやっていた釣りが、ライブソナーを使うことで、確信を持ってさらに高い精度でできる。その程度の使いこなしレベルだという前提で…いくつかのパターンを紹介しよう。

 

表層と中層のライブサイト

表層と中層の…というのはいずれもベイトフィッシュに付くバスをライブサイトで狙うパターンである。

●表層のライブサイト

これはバスがベイトフィッシュを表層で捕食しているようなとき。つまり、水面でボイルが起きている状況の釣り方。ライブソナーで水中を映すと、ワカサギやアユの群れが数匹のバスに表層まで追い立てられている様子がわかることがある。しかし、無闇にワームを落としたり巻いたりしてもルアーと見切られてしまい全然釣れない…ということが少なくない。

こんなときは、食われているベイトによく似たトップウォータールアーを浮かせて置く、というのがおすすめ。プラグでもワームでもいい。一見何もなくても「なんだかバスがよくボイルするな…」というスポットがあるはずなのでそこに置いておく。水面に向かって突き上げてくるバスをライブで見つつ、浮上のタイミングに合わせてルアーを投入できるなら…最高だ。


●中層のライブサイト

これは中層を泳ぐベイトの群れをバスが捕食しているときに効果的な釣り方。晩秋~早春の低水温期など、バスは浮いているが表層までは出てこない、そんな状況で有効だと思う。

中層を漂うベイトフィッシュの群れとそれをつけ回すバスを見つけたら…横方向に泳ぐベイトフィッシュライクなルアーを選択。筆者のおすすめはジャークベイト(サスペンド)、シャッド、ジグヘッドリグのミドスト…このあたりになる。

ベイトの泳いでいる層に合わせるか、その上端くらいまで潜るルアーを選び、一定リズムのトゥイッチ&ポーズでアプローチする。2~3匹のバスがルアーを争うように食い上げる…ときもある。

ベイトのレンジに合わせてジグヘッドリグのミドストでもいい。ジグヘッドリグなら浮いたバスをボトムまで誘導して食わせることもできる(これはボトムのライブサイトかもしれないが…)。

ボトムのライブサイト

ボトムに沈んだオダ、岩、石積み、ウィードパッチ…などに付いたバスをライブソナーで確認してから釣っていく方法。

基本的に普通のボトムの釣りとやることはあまり変わらないのだが…有望な沈みモノを転々とチェックして、バスの姿を確認してからルアーを投げる、攻め方を変えて釣れるまで粘る、というのがライブソナーなら可能になる。この効率化のメリットは計り知れない。

ルアーはワームの各種リグとメタル系をよく使う。冬~早春ならジグヘッドリグのボトストやカバースキャット、アフタースポーン期ならフリーリグやダウンショットリグ、秋ならビッグスプーンやメタルバイブ…など通常の釣りと同じく状況に合わせる。

とくによく効くのが、普通のサイトフィッシングでよく釣れる系のルアー。つまり、ノーシンカーやサイコロラバーなどの沈む虫系のダウンショットリグ。バスの姿を確認したら、食わせるスポットをイメージして、ルアーをアプローチしていく。「逃がし」テクが効くとされるが、ルアーを映しながらバスの反応に合わせて動かすのは至難の業。大体の感覚で「逃す」だけでも釣れることが多いと思う。

ちなみに、ダウンショットリグはワームとシンカーが一定間隔で離れて動くので、ライブソナーでとても認識しやすい。鉛や鉄など比重の低いシンカーを使うとさらに映しやすいような気がする。

ビッグベイトのライブサイト

ビッグベイトの集魚力と中層でじっくり誘える特性を生かした釣り方。

これは浮力の低いジョイントタイプがおすすめ。マンメイドストラクチャー、地形変化、魚礁などでバスの姿を確認したら、その先へルアーをフルキャスト。デッドウォークと呼ばれる、連続首振りアクションで徐々にルアーを潜らせていき、バスのレンジへと近づけていく。バスがルアーを見つけて寄ってきてもそのままのリズムでデッドウォークを続ける。バスが2~3匹で追ってきたらチャンス。取り合うようにバイトしてくる…こともある。

あるいは超高速巻きとスローリトリーブを組み合わせるのもアリ。

ビッグベイトはライブソナーで映しやすく、バスのチェイスも多いので、ライブサイトの入門には意外に向いていたりする。「ビッグベイトに追ってきたけど食わなかった…」というのがいかにありふれたことなのか、よくわかる。
ビッグベイトの副産物として、ボトムやストラクチャーに隠れていたバスがたまらず追いかけてくる様子がライブソナーで分かってしまうというのがある…おっと、ここらへんでやめておこう。

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。
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