最大出力350ボルト! ウナギではない、アフリカの電撃系怪魚の名は?【世界怪魚図鑑18】

身体の巨大さや牙の恐ろしさというのは淡水怪魚の典型的な特徴だったりするが、彼らの魅力はそれだけではない。危険な毒針や電撃などの特殊能力を持つお魚もまた怪魚の端くれといえよう。今回のささやかな主役は…アフリカのデンキナマズだ。

コラム

ムベンガを狙いながらコンゴ河の珍魚たちと遊んでいると…!?

この世界怪魚図鑑シリーズですでに登場したアフリカのムベンガ【世界怪魚図鑑11】これは恐竜ではありません。コンゴの怪物の名は?| 釣りビジョン (fishing-v.jp) 釣りを知っているだろうか? 巨大河川・コンゴ河にボートを浮かべ、果てしない時間を浪費しながらアタリを待つ…。それが長いときは15日にも及ぶので…当然、暇つぶしが必要になる。そこで、泥が溜まっている場所でミミズを掘り、それをエサにして何が釣れるかわからない闇鍋のような釣りをするのである。

一番よく釣れたのは、一見マブナに似たカラシンの仲間、現地名「ンボト」。アタリの出方が何通りかあり、それによって合わせのタイミングを変える必要があるなど…なかなか味わい深い釣趣があった。

他にもアジアのライギョのご先祖様(?)であるムングース、生ける化石・ポリプテルスなど、異形の珍魚たちが次々に登場。暇つぶしどころか、こっちが楽しくなってしまった。

なかでも盛り上がったのが、アフリカのエレクトリックスター、デンキナマズの登場だった。

デンキナマズ。その名の通り、身体に発電機能を持つ魚で、アマゾンのデンキウナギに次いで高い電力を発することができるという(ちなみに、デンキウナギは最高電圧が600~800V、デンキナマズは最大350Vに達する)。丸太のようなずんぐりとした体型で、動きは遅い。最大で体長122cm、体重20kgまで成長するとされる。透明感のある肌色のような不思議な肌感に、チョコチップのような斑紋が散りばめられている。体表を包むように発電器官が発達し、頭側がマイナス極、尾ビレ側がプラス極になっている。ちなみに、デンキウナギは逆らしい。

コンゴで我々が釣ったデンキナマズは15~30cm程度で、まだまだ稚魚といったサイズだった。当然ながら、試しに小さい個体を空気中で触ってみると…ビビビビ!っと鋭い電撃が手のひらに走った。まあ、健康ランドの電気風呂くらいのものだ。水中で触ったらもう少し強い衝撃が走るのだと思う。

もし万が一、読者のなかにアフリカへムベンガ狙いに行く人がいるならば…珍魚狙いの餌釣りタックルを持っていくことを強くおすすめする。そうでもしないと、暑さとアタリの遠さに精神が削られていくのだ…。

まずは泥場所でのミミズ掘りから珍魚釣りは始まる。ここでは、コンゴ河で釣れたゲストたちを少しだけ紹介しよう
手のひらサイズのデンキナマズ。これを触ってみたところ…ビビビビ!っと、やっぱり感電した
コンゴ河のミミズ。日本のミミズと違って、二対の生殖器(?)のようなものが飛び出している
これはちょっと大きいデンキナマズ。頭から尻ビレまで同じくらいの太さだ
ンボト。釣り方に奥深さがあり、我々を楽しませてくれた
ムングース。大きくなるとかなり太くなる。鼻には空気を吸い込む管があり、原始的なライギョという印象
おそらく、ポリプテルス・オルナティピンニス。体長60cmほどまで成長する大型種。健ちゃんもこれには大喜びだった
ロングノーズクラウンテトラ。ちょっと馬面気味のタイプ。色や模様はイエローパーチに似ているが、他人の空似。最大で60cmくらいになるらしい
名前はわからないが、顔だけヨロイのように硬く武装したナマズ。身体は普通以上に柔らかかったような…
バンバ君が釣ったクチボソのような小魚。でも歯がある
テラピアのような魚。ムベンガに襲われたような深い傷跡がある
コンゴ河でよく見るタイプの肌感をしたお魚。モルミルスの一種?
コブダイのような小魚。何匹か釣ったが全部このサイズだった
黒くてカッコいい、アフリカンシクリッドの1種
コンゴ河は赤道直下なので、木の年輪で方角を見定めることは不可能

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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