1位はアフリカ大陸の恐竜魚、ムベンガ。口に並んだティラノサウルス顔負けの牙、らんらんと光る無慈悲な眼、巨大な体躯…この魚が怪魚の帝王というのも納得だと思う。我々はコンゴ河流域にある僻地の村を拠点にムベンガを狙った。ここも当然電気などないので…釣った魚が日々の糧になった。運よく、ムベンガが釣れた日はこれを筒切りにして村へと持ち帰り…村人たちと分け合って食べたものだ。村では食材や調味料がほとんど手に入らないため、残念ながら工夫を凝らした調理はできなかった(そもそもそんな体力的、精神的余裕もなかったが)。仕方なく、ムベンガの身を木の枝で串刺しにして塩を振り、焚き火で炙って食べたのだが…これがなかなかイケている。身は柔らかく、やや水っぽさはあるものの、しっかりと脂が乗って、美味い。ノドグロをだいぶ大味にしたような感じといえばいいだろうか? また、ほのかに燻製のような香りがするのはカラシン目の特徴かもしれない。十分な調味料と器具さえあれば…という期待を込めてこの順位にしたい。