釣りビジョン

2010.11.15号

新盛丸・千葉県勝山港
アオリイカ“当たり年”! 千葉県・内房、勝山沖

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勝山沖のアオリイカ、絶好のスタート
この秋、中オモリ使用の“船アオリ”が内房・勝山沖で絶好のスタートを切った! 釣果情報を確認して勝山港『新盛丸』に電話を入れると、「アオリイカ、釣れてます! 早く来た方がいいですよ」と艫井正悟(ともいしょうご)船長から明るい声が返ってきた。善は急げ! 10月4日、押っ取り刀で出掛けた。

アオリイカ乗合の基本は午後便

午前5時30分、夜明け前の勝山港に到着すると、すでに6人の釣り人が船に乗り込み準備を進めていた。実は『新盛丸』のアオリイカ乗合船は“午後便”が基本で、この時期“午前便”はヤリイカやスルメイカを狙っているのだが、この秋の好模様でリクエストが増えたため“午前便”のメニューに追加したという(※予約時に要確認)。この日集まった人に声を掛けると、皆さん『新盛丸』に通いなれた人ばかり。しかし、「アオリイカを釣るのは2回目」という人、「今まで午後便で“船アオリ”を狙ってもいつも1杯ばかり」など、あまりいい思いをした事のない人ばかり。それだけ期待も高いという事で、「結構プレッシャーですよ」と船長は話す。

仕掛け図
エギのカラーセレクトも楽しい

エギを使用したバーチカルスタイル

船からのアオリイカ釣りは、“オカッパリ”と同様にキャスティングで狙う場合もあるにはあるが『新盛丸』では、中オモリと3mのハリス、その先にエギを結んだバーチカルスタイルである。根の真上を狙う事が多く、刻一刻と変化する水深に合わせて船長から細かくタナが指示される。釣り人は、指示ダナに中オモリの位置を合わせるのが基本となる。タナを合わせたら、およそ10秒間隔で竿をしゃくる。エギのフォールでアオリイカを誘い、次のしゃくりで掛ける。もしくはフォール中に乗る場合や、ハリスが張ってから少しの間止めて見せてアタリを取る場合もある。いずれにしても一日中シャクリ続ける釣りだけに、いかに集中力を保ち海中のエギの状態をイメージ出来るかが勝負。しかし、何と言っても、シャクリ上げた竿が根掛った様にガツンと止められ、ギュンギュンと絞り込むアオリイカのパワーは堪えられない面白さがある。

今年2月に進水したばかりの『第一新盛丸』
朝はこのサイズが多かった

勝山港のすぐそばからスタート

私を含めて7人を乗せ、午前6時に出船。「ポイントはすぐですから準備しておいて下さい」とアナウンスがあり、勝山港の目の前にある浮島の南側、水深24mで投入合図が出た。「はい、どうぞ。タナは20m。中オモリの位置で合わせて下さい。タナを低めに取りたい方は根掛かり覚悟でお願いしま~す」。船長がそう言い終わったところで左舷胴の間(中央)の釣り人がリールを巻き出した。釣れて来たのは300g級の“本命”だった。まだ水が溜まっていない桶の中のアオリイカを撮影していると、今度は右舷でも同じサイズが上がった。朝一の1投目から評判通りの釣れっぷりである。気になるエギのカラーはピンク系やゴールド系などに反応がいい様だ。潮色はササ濁りで、流れもトロリと申し分ない。船長も操船の傍ら道具を出し、300g級を2杯釣り上げた。まだ1流し目である。左舷でも右舷でもさらにアタリは続き300~500g級が取り込まれていった。「こいつはいい日に取材に来た……」と、思わず声が出た。

スミ対策もばっちり
1kg弱の良型、スミがたっぷり溜まって危険!

巨大“スミ柱”に要注意!

房総の山の頂きに朝日が昇る頃、南海上から暗雲が迫り、アッという間に雨がパラつき始めた。そんなタイミングで船長は、船を浮島の北側に少しずつ北上させ、水深も30m前後とやや深くなった。ここで私も左舷の胴の間に入れてもらい道具を出した。PEライン3号の道糸、中オモリ10号、その先にハリス5号3m、エギは3.5号を結んだ。
中オモリを指示ダナに合わせ、およそ10秒間隔でシャクリを入れていると、「右舷で乗りましたよ」と船長。カメラを持って駆けつけるとひとつテンヤ用のスピニングタックルを気持ちよく曲げて良型の引きを楽しんでいた。上がってきたのは目測800g級の立派なアオリイカだった。続いて「来ましたよ」と船長がリールを巻き始め、やはり800g級をキャッチ。イカの姿を撮影し終わると同時に大きな“スミ柱”が上がった。その高さ、およそ3m。墨は船長にも“ヒット”「皆さんも気を付けましょう(笑)」と船内のムードを盛り上げた。
その後も船内でバタバタと500gから1kg近い良型が取り込まれ、今年2月に進水したばかりの『第1新盛丸』は、アオリイカの吐き出す大量の墨に染まって行った。しかし、“オカッパリ”では中々釣れないアオリイカが、こんなに簡単に釣れていいのだろうか?この状況ならオカッパリエギングで苦戦している釣り人のストレスを一気に解消してくれるはず…そんな事が頭を過ぎった。

後半は1kg弱の良型が連発
スタートダッシュに失敗。しかし後半まくり上げて7杯をキャッチ。

予想を超えたラッシュがスタート!

午前8時を過ぎ、保田沖の水深30m前後に移動。天候は相変わらず小雨が降ったり止んだり。陽の光が少ないせいか、日中になってもアオリイカの活性は非常に高く、6人中3人同時にヒットなどという場面もしばしば。午前10時にはトップが12杯、次いで10杯、8杯…とすごい勢いである。「今年は、間違いなく“当たり年”ですね。この分なら長く楽しめると思います」と船長。そんな中、私は片手にカメラ、片手に竿というスタイルで何とか300g、800g、500gの3杯をキャッチ。フォールで見せて誘い、次のシャクリで掛ける。これで2杯。もう1杯はフォール中に竿先にアタリが出て合わせると乗った。最大の800gはしゃくった瞬間、根掛かりかと思う程の衝撃で、スリル満点のやり取りで楽しかった。極めつけは竿をしゃくった瞬間、「右のトモ(船尾)で乗りましたよ」のアナウンスで駆けつけると同時に「乗っちゃってますよ」と、置き竿にまで釣れてしまった事だ。こうして午後1時の沖上がりまで釣れ続け、トップは何と18杯、2番手16杯、3番手14杯、4番手10杯と6人中4人が“ツ抜け”を達成した。私は取材に追われてほとんど釣りに集中出来なかったが、それでも4杯をキープ。まさにアオリイカの“当たり年”を目の当たりにした1日だった。

足元の樽が2つ、3つと増えて行く。
竿頭は18杯!
この日最大は950g!

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県・内房勝山港『新盛丸』
〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山273-1
TEL:0470-55-1687
詳細情報(釣りビジョン)
新盛丸ホームページ
出船データ
出船 午前6時・午後2時30分。
料金=午前アオリイカ船9000円。午後アオリイカ船6500円。氷付き。
HP割引あり
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