釣りビジョン

2011.6.15号

つりセンターくろしお丸・千葉県那古船形港
千葉県・南房総の“梅雨イサキ”絶好調!

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関東地方も梅雨入りを迎えた5月中旬。千葉県・南房総のイサキが連日好釣果を記録している。全般に型も良く、トップは束(100尾)を超える事も珍しくない。“梅雨イサキ”と言われるように今が最盛期。腹には卵を持ち、脂の乗りも抜群だ。6月3日、“梅雨イサキ”を狙って館山・那古船形港『つりセンター・くろしお丸』の船に乗った。

好釣果を裏付ける16人の“満船”状態

午前5時、船着場に到着すると「やっとお客さんが動き出してくれましたよ」と花輪雅一船長の声が弾む。連日の好釣果にも関わらず釣り人の出足は若干控えめだったとの事。しかし、この日は私を含めて16人が集まり、大賑わいという雰囲気。私は右舷ミヨシ(船首)の2番目に仲間入り。定刻の5時30分前に岸壁払い。“梅雨イサキ”らしい曇り空の下、ベタナギの海に繰り出した。その途中、大型のトビウオが大きなジャンプを見せ、夏の潮が近づいている事を実感する。港を出て約40分、洲崎灯台が遠く霞む距離まで走ってポイントの館山沖に到着した。

花輪雅一船長
“満船”状態の『くろしお丸』
仕掛け図

水深80mラインは『くろしお丸』の独占状態!

つけ餌はハサミで切る
水深およそ80m。南房総の、そして6月のイサキ釣りとしてはかなり深く、周りに他の船は見当たらない。「イサキ釣りって言うと岸が近くに見えて水深の浅い場所、そんなイメージがあるでしょ?」という花輪船長。実はこの時期、より大型狙いで深場を攻めて結果が出ているというこのポイントは『くろしお丸』の独占状態である。慎重に魚探反応を探して投入合図が出た。「65mから68mの間をやってみて」。ハリス1.75号、3本バリ、全長3.5m。付け餌はイカタンをイメージしたワーム素材。これを米粒大にカットして使用する。80号のプラビシにアミコマセを詰めて投入。指示ダナよりハリス分だけビシを落とし、ハリスが馴染むのを待って2、3度軽くコマセを振りながら指示ダナに合わせる。アタリがなければ7、8秒に1度コマセを振り指示ダナを探る。「早い人はもうアタってるよ。ほら胴の間(中央)でもアタってるよ。アタリがまだの人はあまり長く待ってちゃだめだよ」。『くろしお丸』名物の花輪船長のマイクパフォーマンスが逐一の状況を伝える。すると65mまで探って待っていた私の竿先にアタリ。「1度のアタリですぐに巻き上げないように」と釘を刺されていたのだが、今年最初のイサキのアタリである。慎重に巻き上げると30cm級のナイスサイズが1尾。十分な刺し身サイズである。船内に上がってくるイサキを見ると30cm前後がアベレージで水深が深いためかサイズがいい。「上げてる人は入れないでね」と船長。すると間もなく魚探反応が消えて潮回り。「潮が速くなりかけてるから1流し1回しか出来ないからね。しっかり追い喰いさせないと、中々数が伸びないよ」と細かい状況説明が付け加えられる。どうやら釣果の差は手返しよりも、追い喰いの待ち方が重要になる様だ。

アミコマセを使用する

一言で追い喰いと言っても、花輪船長には中々奥深い理論がある。
・ 先ず1尾目は早くアタリダナを探す事。
・ 1尾目を掛けたら暴れるイサキに仕掛けを引っ張らせる要領で竿先を送る。
・ イサキの引きが落ち着いたら軽くコマセを振り次の誘いをかける。
・ アタリが出たらそのタナをキープし、同じ誘いを繰り返す。
・ あまり待ち過ぎてもハリの穴が広がってバレてしまうので注意が必要。
この流れをきっちり守っている釣り人にはダブル、トリプルでイサキが掛かっている。こうなると花輪船長のマイクパフォーマンスもさらに熱を帯びてくる。『くろしお丸』の船上では幾度となくこの流れを説明してくれるので、聞き逃さないように注意したい。

良型のトリプル
こちらは4点掛け

腕の差が歴然も“梅雨イサキ”を満喫

さて、船内を見渡してみると左舷大ドモ(船尾)の釣り人に目が止まった。相変わらずの速潮で1流し1回の投入ではあるが、ダブル、トリプルと効率よくイサキを釣り上げている。アタリダナ、誘い、追い喰い、取り込み…その釣り方を見ているとまるで船長の解説そのままである。聞けば花輪船長とは数十年来の付き合いだという。さすがは通い慣れた常連さんである。そして中盤頃までの私はというと、周りの釣り人がダブル、トリプルと数を伸ばしている時に何故か1尾ずつという腕の差を痛感していた。しかし、船長のマイクパフォーマンスのお陰でそれ以降はダブル、トリプルと数が伸びて“梅雨イサキ”を満喫して沖上がりの正午を迎えた。

ダブル
トリプル

トップは71尾、平均は45尾

この日釣れたイサキは22~37㎝。トップは左舷大ドモの常連氏で71尾だった。「今日は潮向きが逆で途中から濁り潮が来ちゃったから魚の喰いが悪かったね」という花輪船長。本来の潮向きであれば平均サイズがもう一回り大きくなり、潮色が濁らなければ数も伸びたという。決してベストという状況ではなかったが、平均で45尾。私は平均に少し届かず41尾。「濁りが取れて潮向きさえ治ればまたバリバリ喰うと思いますよ」という船長。確かに、取材前の3日間は40㎝オーバーのジャンボイサキが多数交じり、トップは連日の“束超え”(100尾超え)を記録していたのだから魚影の濃さも半端ではない。

良型イサキ

絶品!イサキのタタキ

下船後、花輪船長オススメのイサキ料理を伺うと、「タタキにしてごらんなさい、薬味をたっぷり敷き詰めてポン酢で食べたらいくらでも行けますよ!」という事で、カツオのタタキ風に作ってみた。
・ 三枚におろし、腹骨を削ぎ、血合い骨は抜き取る。
・ 焼き網に乗せ、少し焦げ目が付く程度に皮をバーナーで炙る。
・ 刺し身を切る要領で同じ厚さにスライスする。
・ 玉ねぎスライス、にんにくスライス、大葉、万能ネギ小口切りなど好みの薬味。
ポン酢を回し掛けて食べたが、あまりの美味しさにアッという間に完食してしまった。ちなみに、イサキは下処理して3日位冷蔵庫で寝かすと血合い骨が簡単に抜ける様になる。勿論、卵は煮付けや味噌汁に入れても美味しい。『くろしお丸』の絶品イサキは7月一杯まで楽しめるのでぜひ出掛けてみてはいかがだろう。

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県那古船形港『つりセンターくろしお丸』
〒294-0056 千葉県館山市船形1362-14
TEL:0470-27-3807 定休日:第1土曜日
詳細情報(釣りビジョン)
つりセンターくろしお丸ホームページ
出船データ
イサキ予約乗合 5時集合 5時半出船 正午沖上がり 午後船もあり
乗合料金 1万円 氷・付け餌・アミコマセ付き
貸し道具・貸しビシ無料
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