釣りビジョン

2013.2.1号

野毛屋釣船店・神奈川県金沢八景
東京湾、厳冬期のLTアジ釣りにシログチが乱入!!

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神奈川県・金沢八景の『野毛屋釣船店』で、1月25日から午前のLT(ライトタックル)アジの乗合船を出すと言う。『野毛屋釣船店』と言えば、東京湾でフグの乗合船を出した草分け的な船宿として知られ、千葉県・外房では定番になっている“ひとつテンヤ”も独自の東京湾スタイルに変えて、釣り人の心を惹き付けている拘りの船宿である。LTアジは、東京湾内では既に定着しているが、最も厳しいこの時期に始めると言うのもこの船宿ならではと、出船初日に出掛けた。

電車釣行も楽々な金沢八景!

『野毛屋釣船店』には、京浜急行・金沢八景駅で降り、平潟湾沿いの遊歩道を、係留されている色とりどりのヨットやプレジャーボートを見ながらゆっくり歩いても5、6分。東京・横浜方面からは電車での釣行も大変便利だ。午前6時に到着。釣り座は先着順に番号札を取る方式(このスタイルを始めたのも『野毛屋釣船店』が最初)。クーラー等の荷物は、小型トラックに積み込めば桟橋まで運んでくれるので有難い。桟橋に着くと木の枝が大きく揺れている。風が気になってきた。「アジ釣りのポイントは山の陰になるので西風は平気だよ」と、親方の黒川忠雄船長。私達を含め6人が船に乗り込んだ。

イワシのミンチ
付け餌のアオイソメ・赤タン
仕掛け図

アジ船・シログチ船、同じ場所で釣っている

午前7時の定刻に出船、平潟湾を抜け、八景島のジェットコースターを見ながら、ポイントの八景沖に着いた。「良いですよ、やってみましよう。水深は30m。オモリがトンと着いたら1m上げ、コマセを撒きながら3mのタナでやってみて。青イソメは3cm位垂らして」と、この日の舵を握った黒川俊之船長の丁寧な説明があってスタートした。
2、3回コマセを詰め替え、魚を寄せる。右舷大ドモ(船尾)の尾形さんから、早々「釣れたよー」の声。「何処だ、何処だ!」と海面に目をやると「あっバレた!」。魚影を見て、「アジじゃない」いや「サバかな?」とあちらこちらから声が掛かる。確かにアジじゃ無い、サバとも違う。奇妙な魚(サクラマス?あるいは銀ザケ?)が海面近くで逃走していった。見た事が無い不思議な魚の残像が気に掛かる。気を取り直した尾形さんは、次は“本命”のアジを釣上げてご満悦。それが合図の様に他の人にも釣れ出した。右舷胴の間(中央)の黒川さんも軟らかい竿を曲げている。しかし、抜き上げられたのは25cm級のシログチ(俗称・イシモチ)。左舷胴の間の井原さんにも良型のシログチ。“本命”のアジはたまに釣れる程度。良型シログチのオンパレードだ。辺りを見渡すと12、13隻の船が固まって釣っている。船長に聞くと、前方はアジ船団、後方はシログチ船団との事。双方幾らも距離は離れていない。殆ど同じ場所で船団を組んで釣っている。どうりでアジとシログチが一緒に釣れてくる訳だと納得した。

大型シログチの一荷に手応え充分
黒川さん、嬉しい良型アジ
舵を握った黒川俊之船長

アジ、シログチ“本命”はどっち!

9時頃、私も竿を出した。風が段々強くなってきた。海上には“ウサギ”がとんで好条件とは言えないが、コマセを撒くとククッ、ククッと気持ちいいアタリ。1投目に取り込んだのは30cm級の良型シログチ。“ゲスト”扱いしてはバチが当たるサイズである。アジが釣れるか、シログチが釣れるか、これはこれで楽しい釣りになってきた。
そして10時頃、入れ喰いタイムに入った。時折アジの一荷(2尾)やシログチの一荷があり、アジとシログチ混合一荷などと言うのもあった。どっちを“本命”に狙っているのか、解らなくなってきた。選んで釣るなんて出来ない。何でも釣れれば楽しいものだ。夢中になって釣った。

尾形さん、久し振りのアジ
井上さん、黙々とアジ中心に釣っていた
バケツの中にはシログチ多数

シログチは、“血抜き”して持ち帰ろう!

東京湾のシログチは、昨年の春先から爆釣が続いている。この厳冬期でもアジと同じ水深で良型が釣れるのは珍しい。とっくに深場に落ちている筈。潮温が例年より高いのだろうか? そんな中、左舷大ドモの井上さんは、コンスタントにアジだけを釣っている。聞いてみると、コマセは余り振らない様にしているとの事。コマセを振ると貪欲なシログチの方が先に青イソメに食いつくと言う。バケツを覗くと、シログチは腹を上にして水面に浮き、アジはバケツの中を勢い良く泳いでいた。右舷大ドモ(船尾)の尾形さんは、シログチが釣れると丁寧に1尾ずつエラに鋏を入れ“血抜き”をしている。シログチは身が淡白なだけに“血抜き”をして持ち帰れば、癖が抜け更に美味しく頂けるからだ。

やったー、シログチの一荷
待望、アジの一荷だ
本日の釣果、アジ・シログチ・カサゴ

“本命”のアジ、“ゲスト”のシログチ、軍配は!?

定刻の11時に沖上り。風も強くなり海上には?“ウサギ”どころか“ヒツジ”が駆け廻り出した。そんな悪条件の中でもアジ&シログチが果敢に相手をしてくれた。全員満足の様子。アジの方が多かった人、シログチが多かった人、それぞれの思いが釣果に出た。数えてみるとアジは5~8尾。シログチは4~20尾。殆どの人が両方合わせると20尾以上釣っていた。荒ぶる海の中での釣果を考えれば、充分だろう。
アジのサイズは小型も多少交じったが、大半が20~23cmのコロッとした幅広サイズ。絶品で知られる東京湾の中アジだった。
この釣り場は、通年コマセが撒かれている所で、沖から来たアジも足を止める所。日並みや潮ぐあいさえよければ数も十分に望める釣り場だ。また、この日のようにシログチも半端ではなく交じるので、退屈する事はない。是非、出掛けてみては如何だろう。

(釣りビジョンAPC・飯妻 武夫)

今回利用した釣り船
神奈川県金沢八景『野毛屋釣船店』
〒236-0026
神奈川県横浜市金沢区柳町7-5
TEL:045-781-5964(定休日毎週木曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
野毛屋釣船店ホームページ
出船データ
午前LTアジ乗合
乗合料金:6,000円 貸道具:500円
午後船のフグなどとリレーの場合は9,000円
出船時間:7時 / 沖上り:11時
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