釣りビジョン

千葉県・犬吠沖のアカムツ、もはや“幻”ではない!?

2020年03月01日公開

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年明け解禁になった犬吠沖の超高級魚・アカムツ。茨城県・波崎港『仁徳丸』は、アカムツ釣りの老舗として知られた船宿。最近は、規定匹数である10匹に達する人も多いとの事。その昔、「オデコ(0匹)覚悟、1匹釣れたら御の字」と言われた幻の高級魚だったが、昨今はコンスタントに釣果が出ていて、もはや“幻”の括りが取れた感じさえする。

【この記事を書いたライター】山口 充

アクセス

波崎港までのアクセスは非常に良い。東関東自動車道終点・潮来ICを降りて国道124号線を銚子方面へ。30分位走ると利根川に掛かる銚子大橋があり、そこを渡らず左折。その河川敷河口方面沿いに向かうと「仁徳丸」の船着き場がある。
※船着場周辺のナビポイント、「青木屋旅館」住所:〒314-0408茨城県神栖市波崎9495 で検索すると船近くの場所が表示される。

タックル

大型、中型電動リールに道糸はPE4号、オモリは200号が基準。仕掛けはシンプルで胴突き仕掛けの2本バリ。ハリスはフロロカーボンの6~8号を50cm。ハリはムツの16~18号を使用。「チモトに付けるビーズ等は活性や食い込みの悪い場合は外してみる事も試して欲しい」と船長。釣り人によってはヤリイカで用いられる中オモリの10~15号を使用する人もいる。餌はホタルイカが基本でサバの切り身を重ねて付ける場合もある。

 

犬吠沖の深場へ!

午前3時、少し早めに「仁徳丸」の船着き場に到着。今回は撮影のみの予定で準備をしていると次々に釣り人が到着。風も弱く釣り日和になりそうな気配だ。軽トラで女将さんが到着して受け付けを開始。今回、高橋昭力さんが舵を握った。
午前4時30分過ぎに出船。犬吠埼沖のポイントまでゆっくりと船を進め約2時間、日の出と共にスタートとなった。水深は250m、秋口の水深よりもだいぶ深いポイントだ。水深が深いと何が掛かるかも楽しみの一つでわくわくしてくる。左舷ミヨシ(船首)の佐藤さんが、「今回リール買って来たんですよ。釣れると良いな」と言いながら笑顔で投入。各自着底したとたん、右舷大ドモ(船尾)の森泉さんに早速ヒットした。時折叩く様な引きに、「アカムツだね」と、丁寧に竿を持ちコントロールして上げて来る。無事ネットに入ったのは良型アカムツ。お腹が黒ずんで大型の風格が有る。1投目から出るとは羨ましい。数回道具を入れ替えると、次は隣にいた奥村さんにヒット。ハッキリとしたアカムツの引き。見事な40cm級のアカムツだった。

潮が悪い!

森泉さんはオモリ着底後、誘い上げ、中オモリを使い道糸を修正。道糸が張った所でスローに竿を下げ、再びオモリを海底に着ける操作で誘っていた。見事にヒットさせ2匹目を上げた所で、船長に話を聞くと「潮が凄く悪いんです。“三枚潮”になっていてアタリも取り辛いと思います。食いも悪いですね」との事。確かに投入のタイミングがずれると、先に投入した人と道糸の向きが変わってしまい釣り辛そうだ。釣り人に状況を聞いても「アタリが取り辛く、ハリ掛りが悪い」との事。左舷ミヨシで、「前回は定量(10匹)迄釣れて調子よかったんですよ」と船中3匹目のアカムツを手にした天野さん。ルアーで狙っていた依田さんは500g前後のメタルジグでトライしてアカムツをゲット。ミヨシで潮の悪い中、ボトム迄ジグをコントロールしてヒットさせたのはお見事。ヒットさせた釣り座から上げて来ると反対側から上がって来てしまう状況。しかし、アカムツ自体は多い感じで、潮周り毎にヒットがある。佐藤さんは「来たよ」と嬉しそうに巻いて来るとクロムツ。「赤くなかったけど」と言いながらも嬉しそう。左舷で楽しそうに釣りに来ていた3人組の1人、中さんにも良型アカムツがヒットした。ポツリポツリとアカムツが上がるが、この頃からサバが襲来。しかし、サバも良型。特に依田さんがジグで掛けるサバはナイスサイズ。これはこれで“嬉しいゲスト”だ。サバが大人しくなると、アカムツのアタリも少なくなり潮が変わった様子。「良型が見れただけでも良いかな」と、そんな雰囲気が流れていた。

潮が変わった途端にドラマが…

いよいよ最後の流しのアナウンス。「この潮が最初からあれば。最後に潮が良くなったよ」と船長。その言葉が現実になった。まず左舷ミヨシ、天野さんがアカムツのダブル。すると隣の佐藤さんにもヒット。中さん、原田さんにもアカムツ。左舷大ドモでもヒットし左舷側で全員アカムツがヒット。更に右舷側でも森泉さん、奥村さん、藤沢さんもアカムツ。船長が話した通り潮が良くなった途端にアカムツが食い出した。ルアーの依田さん、佐藤さんはクロムツ。読みが完璧に当たり「群れで動いているからね」と船長。最後までアタリが続き12時30分の沖上がりとなった。
トップはアカムツ8匹。見事なサバ、ユメカサゴ、クロムツなどゲストは多彩。船長の見立ても素晴らしかった。“幻”とも言われたアカムツ。しかも良型が揃うとは…。老舗船宿「仁徳丸」なら初チャレンジでも安心だ。

今回利用した釣り船

茨城県 波崎港 『仁徳丸』
〒314-0408 茨城県神栖市波崎8573-5
TEL:090-3345-3651
定休日:毎月第3月曜日 釣果・施設情報 仁徳丸 ホームページ

出船データ

アカムツ乗合(予約制)
料金:ホタルイカ1パック 氷付き 1万3,500円
集合:午前4時
仕掛け:PE4号(推奨)、胴突仕掛け2本バリ、オモリ200号使用
※他の方との糸の擦れ・魚の歯等で道糸切れる場合があるので、予備糸または予備リールの用意必要
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
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