釣りビジョン

2010.8.1号

荒川屋釣船店・東京都葛西橋
誰にでも手軽に楽しめるライトタックルのアジ

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沖釣りで最もポピュラーな釣り物と言えば、やはりアジだろう。タタキに塩焼き、南蛮漬けにマリネ等々「アジを食べた事がない」と言う人は、まずいないだろう。それだけに家庭に持って帰って歓迎される魚でもある。そのアジが実に手軽に釣れるのが、LT(ライトタックル)アジである。

総員10人で7時20分に出船

引き戸が開け放たれた店は
入りやすい
旧葛西橋と聞いてピンと来る釣り人は年々少なくなっているが、『荒川屋釣船店』は、その旧葛西橋の袂にあった老舗船宿である。現在では、2代目・山下泰司さん、3代目・裕之さんが舵を握っている。店を切り盛りしているのは、泰司さんの奥さん。初めての釣り人には、乗船までの手順を懇切丁寧に教えてくれる。店の引き戸はいつでも開け放たれており、実に入りやすい船宿である。
LTアジ船は、裕之さんが担当だ。弱冠25歳のピッカピカの若船長である。出掛けたのは24日、朝から猛暑の予報だったが、総員10人が乗船して7時20分に出船した。

ピッカピカの若船長

非力な女性や子供にも十分に楽しめる

つい最近まで、アジのビシ釣りと言えば、100号前後の重いビシを棒のようなゴッツイ竿で操る体力勝負のような釣りだった。ところが、細くて丈夫な竿と驚異的に強度の高いPEラインの登場によってLTアジと言う実に手軽なアジ釣りが楽しめるようになった。ビシの重さは40号(30号を使用することも珍しくはない)、シロギス竿のような細い竿で釣れるので、非力な女性や子供にも十分に楽しめる。勿論、何処でもやれるわけではなく、基本的には比較的水深が浅く、潮流があまり速くない場所に限られる。しかし、東京湾内には、そうした場所でもアジの群れが付く所が数多く点在しており、冬場の一時期を除けば、ほぼ周年楽しむことが出来る。

LTアジの仕掛け
LTアジ仕掛け図

アジ釣りのバラシは“税金”

航程40分程で最初の釣り場(木更津沖)に着いた。水深は15~17m。群れが落ち着いていれば船のミヨシ(船首)からイカリを入れての“掛かり釣り”も可能だが、ここでは船を流して釣り始めた。魚探(魚群探知機)反応は、バッチリ出ていたが、最初の群れは食い気がなく、アタリがないまま裕之船長は船を移動させた。
2、3度場所替えを繰り返した後、水深13mラインの富津沖で初めて食い気のある群れに遭遇した。コマセを詰め、底まで落とし、1m程リールを巻いてコマセを振り、1m上げた途端、竿先に小気味よいアタリが来た。そのまま竿を立て気味にしてリールを巻いてくると、海面下に2尾のアジが見えた。そのままハリスを持って抜き上げたが、海面で1尾がバレてしまった。皮肉な事にバレた魚の方が明らかに大きかった。手にしたアジは20cmを超えていたので、バラしたアジは23、24cmはあったはず。
しかし、アジ釣りにバラシは付き物。どんなに注意してもバレる時はバレる。慎重にリールを巻くのは勿論大事だが、慎重になり過ぎて手返しが遅くなれば、数も伸びず、地合を逃がしてしまうこともある。「バラシは“税金”」くらいに思って手返しを早くすることも大切だ。続いて18cm級、20cm級と続けて釣れ、「すわ、入れ食い!」と喜色ばんだが、パッタリとアタリが止まってしまった。

タタキにピッタリサイズのアジ
LTならではの“外道”シロギス
大人気、LTアジ船団

絶品のゴマサバも

暫くして、再びアタリがあり、20cm、16cmと2尾続けて釣れ、ややあって18cm級が連チャンで釣れて来た。しかし、その後はピタリとアタリが止まってしまった。
食い気のある群れに当たれば、こうした状況があちらこちらで断続的に続き、20、30尾は簡単に釣れる釣りなのだが、この日は魚の機嫌が悪かったようで、最後まで入れ食いタイムは訪れなかった。結局、その後、中の瀬で35~40cmのゴマサバ(この時期は脂があり、実に美味い。翌朝、焼いて食べたが絶品だった)を数尾ずつ釣って引き揚げた。

翌日には43尾、翌々日には69尾の好成績!

しかし、翌25日には12~24cmのアジ20~43尾、翌々日の26日にも12~23cmを5~69尾の成績が記録されており、当日は、たまたま食い気のない群れに当たり続けてしまっただけであることは明白だ。釣りでは、こうしたことがよく起こる。2度、3度と出掛ければ、必ず“いい思い”が出来るはずだ。
余談だが、ゴマサバ同様、釣れたアジは、タタキと刺し身で食べたが、脂が乗っていて実に美味かった。

(野口 哲雄)

今回利用した釣り船
東京都 葛西橋 荒川屋釣船店
〒136-0074 東京都江東区東砂6-17-11
電話番号03-3644-3397(毎週水曜日(祭日は営業))
詳細情報(釣りビジョン)
荒川屋釣船店ホームページ
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