釣りビジョン

2011.2.1号

儀兵衛丸・神奈川県長井港
相模湾・長井から出船、江ノ島沖のヤリイカ好調

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相模湾から東京湾口では、例年8月頃からスルメイカに交じって小型のヤリイカが顔を見せるが、今年はその小型がほとんど見られず、9月からスタートした乗合船もなかなか釣果が伸びなかった。しかし、年末に状況は一変。沖ノ瀬方面でスルメイカに交じりヤリイカが好調に釣れ始め、1月に入ると竿頭は70、80尾台を記録。「絶好調!」。長井港『儀兵衛丸』梶ヶ谷泰宏船長の言葉に惹かれ、1月22日に出掛けた。

今シーズン初の江ノ島沖へ

前日、電話を入れると「明日は2隻出しの予定ですよ」と、泰宏船長の兄、孝宏船長から元気な返事。翌日は晴天、波も穏やかという予報でひと安心。しかし、午前5時に三浦縦貫道路の表示では風速10m、少し不安がよぎる。船宿横の駐車場に車を停めて引き戸を開けると、日課だというおにぎり茶漬けを食べながらハイテンションな泰宏船長が出迎えてくれた。「ちょっと予報よりも風があるみたいだね。沖ノ瀬は風が吹いているでしょうから、昨日、一昨日と江ノ島~長井沖で30尾以上の数が上がったと情報が入ったので今シーズン初の江ノ島方面へ船を向けてみましょう!」と船長。

船宿内は釣り人で満員
行ってきまーす!

ひと流し目で5人がオデコ脱出!

午前7時、定刻に河岸払い。仕立船も含め3隻で出船。2号船は私を含め10人が乗船。ポイントまでは航程40分。江ノ島沖に到着すると、既に10隻ほどの船団がヤリイカを狙っていた。反応を探していた船長から8時ジャストに投入合図。「はい、やってみて~水深120m」。一斉に直結仕掛けが海へと投げ込まれた。間もなく左舷ミヨシ(船首)、右舷ミヨシから2番目、右舷胴の間(中央)でほぼ同時にヒット!それぞれヤリイカ、スルメイカを取り込んだ。最後に仕掛けを上げた右舷胴の間ではヤリイカがダブル。幸先良いスタートだ。

沖ノ瀬方面は北東の風11m
目の前には江ノ島

出来れば “直結”でスタートしたい

船長に釣り方を聞いてみた。「基本的には、イカ釣りは直結仕掛けでやることを勧めています。出来れば初めての方でも直結8本ヅノからスタートしてみて欲しいですね」と、船長は熱く語る。直結仕掛けはイカのアタリもダイレクトに伝わり、サバを避けることも出来る。8本ヅノからスタートして慣れてくると12本ヅノで20m程の広範囲を狙うことが出来るようになると言う。

ユーモア溢れる泰宏船長
まずは良型1尾キャッチ

長井沖へ大移動後、右舷全員がヒット!

ひと流し目を終え、「はい、上げて~少し移動します」と、最初の移動。しかし、船長の思い描いたような魚探反応が出ないようで、江ノ島沖に見切りをつけ、長井沖へと移動した。「はい、水深160m」。すると、移動が吉と出た。なんと右舷5人全員と左舷ミヨシでヒット!左舷ミヨシの太田利明さんは3尾掛け。胴の間でも5尾、4尾と次々にヤリイカが取り込まれた。

海底付近にでた濃い反応
やりました!7尾掛け
この日、見事竿頭の太田さん

2流し目には7尾掛け!

突然、右舷ミヨシ2番目辺りから歓声が上がった。「よっしゃ~、まだいるよ」。カメラを向けると、1尾、2尾・・・ツノを上げるごとにヤリイカがかかっている。仕掛けを上げ終わった時には、釣り座の周りはヤリイカだらけになっていた。「奥さんから、近所にもあげるから20尾は釣って来てね♪って言われているので、これで一気に近づきましたよ」と上機嫌。

ミヨシと2番目でダブルヒット
良型のヤリイカに思わずニンマリ
綺麗なヤリですね~

頭上まで大きく誘って一気に降ろす

投入器に入らないツノは外側のマットにつけよう
ここで私も竿を出した。120号のオモリを投げて仕掛けを投入。着底すると同時に糸フケを取り、頭上まで大きくシャクって下まで一気に落とす。そして数秒待ち、ヤリイカが乗るタイミングを与える。この誘いを同じタナで3、4回繰り返す。それでもアタリがなければ上に竿一本分巻いて同じ誘いを繰り返す。すると、下から大きくシャクリ上げた竿先がオジギをした。一投目から乗ったことに戸惑ったが、船長から教わった速度15で巻き上げを開始した。

乗せることよりも取り込みがキモ

取り込みは慎重に…
イカが乗った後は、仕掛けを上下させないように取り込むことが重要。直結仕掛けはイカが掛かった状態で少し降ろすだけでもバラシの原因になる。船長も「最初に右手でツノを掴んだら、次のツノも同じ右手で掴むことが大切」と言う。つまり、左舷で釣りをしている場合、ミヨシを正面に見て、まず左手を海面いっぱいまで伸ばしてツノの10cm程手前の糸を掴み、船べりの少し上まで上げる。そして、右手で鉛筆を握るようにツノを軽く持つ。今度は左手で下のツノの10cm程手前の糸を持つ…と同じことを繰り返す。コツは海側の手と船側の手を変えることなく仕掛けを手繰ることだ。

痛恨のバラシ…

上司と部下でなかよくゲット!
船長から説明を聞いて、頭では分かっているのだが、実際に取り込みとなるとモタついてしまった。そして、その間に痛恨のバラシ。「僕もね、今みたいに直結仕掛けの扱い方に慣れるまでに2年くらい通いました。簡単そうに見えて意外と奥が深いのが直結のイカ釣りの醍醐味ですね」と常連さん。

江ノ島沖に移動後リベンジ成功4尾掛け!

長井沖でも移動後は、流しを変える度に誰かしらにアタリが来た。しかし、それは1投目だけで、2投目が続かない。すると、江ノ島沖でやっていた仲間の船から釣れ始めたと無線が入った。急行して先程のリベンジを果たすべく誘いをかけると、ウンウーン。竿先にそれと分かる明確なアタリが来た。今度は、前回よりズッシリとした重量感。仕掛けを上げてくると海面下にヤリイカが並んで上がって来た。船長が操舵室から飛び出して来て取り込みを手伝ってくれた。そのお蔭で1尾もバラすことなく4尾を釣り上げリベンジ成功!

4尾釣り上げリベンジ成功!
隣もヤリイカ4尾掛け
型揃いのヤリイカに満足♪

ヤリイカ狙いは4月頃まで

仕掛け図
その後、江ノ島沖で時合が到来、3尾掛け、4尾掛けが連発。そして後ろ髪を引かれる思いで納竿の時間を迎えた。竿頭は左舷ミヨシの太田さんでヤリイカ20尾、スルメイカ2尾。私を除けば、スソ(最低)でも9尾。8人が“ツ抜け”(2ケタ)を達成した。私は5、6投でヤリイカ5尾、初心者としては満足の釣果だった。もう1隻の乗合船も9~26尾と似たような釣果。これからどんどん大型化してパラソル級へと育っていくヤリイカ。1月31日にはトップ45匹と好釣果を記録。『儀兵衛丸』では、4月頃までヤリイカを狙うと言う。直結のヤリイカ釣り、足を運んでみる価値あり!

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
神奈川県長井港『儀兵衛丸』
〒238-0316 神奈川県横須賀市長井5-3-5
TEL:0468-56-2758(定休日:第1・3・5金曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
儀兵衛丸ホームページ
出船データ
釣り物:ヤリイカ
午前6時集合 午前7時出船、午後2時沖上がり
料金:8500円(氷付)
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