釣りビジョン

2011.8.15号

第一進丸・千葉県飯岡港
千葉県・飯岡沖に夏の大型ヒラメ回遊中!

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「ヒラメが回遊!?」。衝撃の事実を教えてくれたのは千葉県飯岡港『第一進丸』伊藤隆徳船長。根周りに居着き、砂や岩に擬態して近くにきた小魚などを捕食するイメージが強いヒラメ。それがある程度の大きさになると餌を求めて回遊すると言う。夏は特にベイトが集中しやすく、それを追うヒラメも群れを作るそうだ。更に今年はイワシが多い。夏でも冬のようなでっぷりとした肉厚の大型ヒラメも狙えると聞き、ワクワクしながら8月8日に出掛けた。

「東洋のドーバー」を背に沖に向かう

午前4時半、飯岡港入り口の船着き場に到着すると、既に10人の釣り人が仕度をしていた。間もなく、船長と女将さんが到着。餌のマイワシを積み込み午前4時50分に出船。津波で港内に沈んだ瓦礫等の撤去作業も終わり、元の姿を取り戻しつつある飯岡港。「東洋のドーバー」と呼ばれる屏風ヶ浦に靄でピンク色に乱反射した朝日がゆっくりと昇る。何度見ても見飽きない美しい景色だ。少々ウネリはあるもののまずまずのナギに恵まれた。「1時間ちょっと走ります。ゆっくりして下さいね」と船長。今日は50mラインを中心に狙うと言う。

朝焼けの「東洋のドーバー」
日の出をバックにレンタルタックル
オモリ&船宿仕掛け

潮温が上昇!期待大

「今年は台風直撃がないせいか1週間程前まで潮温が20℃くらいと低かったんですよ。ここに来て24℃ぐらいに上がって期待持てそうですよ」(船長)。ヒラメは変温動物なので潮温が低下すると動きも鈍くなり運動量も落ちる、そのかわり脂が乗る。夏は運動量が豊富になるので痩せて筋肉質に変わるのだが、今年は餌のイワシが多いので、動いた分だけ餌を捕食して丸々太っているそうだ。確かに海面ではあちらこちらでイワシのナブラが確認できた。

エサのイワシは3尾ずつイケスから取ろう
この口にエサのマイワシを喰わせる
いつも適確なアドバイスをする伊藤船長

2㎏級の良型ヒラメがヒット!

「ハイ、どうぞ。水深50m。これから根に差し掛かってきますから、オモリトントンの状態をキープして下さい。底を引きずると根掛かりますから気をつけて下さい」と船長。1流し、2流し目は誰にもアタリがなかったが、3流し目、右舷大ドモ(船尾)でヒット!しかし、竿がバットから曲がり船下まで一気に潜りこまれた。そして左舷側で大ジャンプ!80cmはあろうかというシイラ。「シイラを釣る時はドラグを締めてやってよ。全員オマツリしちゃうから」と船長。次の投入でも右舷大ドモで再びヒット。「またシイラですね」と言いながら上げて来たが、嬉しいゲストの丸々太ったイナダだった。午前6時、再び右舷大ドモで竿が曲がった。今度は“本命”のようだ。緩急のある鋭い引き込みを見せながら釣れて来たのは2kg級の良型ヒラメ。これを機に少しずつヒラメの喰い気が出て、潮回し(船を流し直す)する度に竿が曲がっていく。

船長あちこちでシイラが上がる
丸々太ったイナダ
船中第1号!堂々2kg級の本命

3人に連続ヒット!!

午前7時、「ウネリが治まって来たからハリスと捨て糸は同じくらいがいいでしょう」と船長からアドバイス。そして10分後、怒涛の3連続ヒット!!最初にヒットしたのは左舷ミヨシ(船首)から2番目。その3秒後左隣、そしてまた左隣と3人の竿が連続で曲がった。ヒラメ釣りで横並び同時ヒットを見たことがなかったので「本当に全員ヒラメなのか…」と、カメラを回しつつ海面を見守った。1kg級のヒラメが3尾海面に浮いた。「夏のヒラメ釣りではよくありますよ。夏のヒラメはこれがあるから楽しいんですよ」と船長。
これで11人中オデコは私を含めて4人となった。女将さんがヒラメ料理を紹介してくれる段取りなので、何がなんでも1尾は釣り上げたいと手持ち竿で挑む。すると、ガッガッガッ。アタリだ!あまりに突然のアタリにどうしようとアタフタ、竿先を送るのが遅れた。慌てて竿先を送り込んだが、時既に遅し…イワシだけ綺麗に喰われてしまった。

良型のホウボウも数尾交じった
夏ビラメとは言えいい型だね~
良型ヒラメ連発!

11人全員が“本命”ゲット!

気を取り直して次の投入。海面では大きなシイラがイワシを狙ってウロウロしている。シイラを交わして投入しようとした瞬間!自分が投入した仕掛けを追いかけて猛スピードでシイラが潜って行った。そして、仕掛けの落下が止まった。案の定、シイラが喰ってしまった。ここでシイラを交わすために小移動。すると、今度は左舷胴の間から大ドモの私まで3人に同時にアタリが来た。今度こそ仕留めようと竿先を送り、リールから糸を送り込む。すると、竿先をギュンと持っていかれて乗った! 胴の間の釣り人は乗らなかったが、右隣に2kg級の良型が上がった。そして午前9時15分、「これで全員が型を見ましたね。おめでとうございます」と船長から嬉しいアナウンス。左舷胴の間の常連さん「ここでは来る度にヒラメを釣らせてもらっています。昨年も10回以上乗りましたが、オデコは1度もないんですよ」。この日も1尾釣り上げて恵比寿顔。

私の竿にきた2.5kg級の肉厚ビラメ
顔はクールでも中身はホット!
着底してすぐに来ました!

最後の流しに当日最大2.9kgが浮上!

午前10時過ぎ、再び右舷胴の間で3人同時ヒット!今度はヒラメにホウボウとゲスト交じり。午前11時半、「最後の流しになります。諦めずに頑張って下さい」。船長のアナウンスに応えたのは左舷胴の間の常連さん。竿が弧を描き、明らかにグッドサイズ。船中注目の的である。そして期待通りこげ茶の魚体が海中に見えた。一発で船長がランディング。「何事も最後まで諦めないといいことありますね」と有終の美を飾った常連さん。大板(オオイタ)とまではいかなかったが、見事2.9kgの良型。竿頭は“本命”4尾とイナダを釣り上げた茂原市の大塚清貴さん。3尾が船中3人、オデコなしで沖上りの正午を迎えた。

ラストヒットは鋭い引きを見せる
当日最大の2.9kg
最後にみんなでハイチーズ

夏の大板(オオイタ)はこれからが本番!

取材後の10日、船長から連絡が入った。「7kgの大板が上がりましたよ!」。HPの写真で4.1kgと7kgの大板2枚を確認。夏の大板はこれからが本番。宿に帰るとクーラーのよく効いた涼しい部屋で女将さんが手作り魚御膳を用意して待っていてくれる。この御膳を楽しみに来る釣り人も少なくない。一度食べたら病みつきになること間違いなし、ぜひお試しを。

7kgの大板!
今日の御膳はデザートのスイカ付き
女将さんの料理は絶品♪

<船長一押し!LTヒラメ>

仕掛け図
浅場でのヒラメ釣りも大の得意とする船長が、より一層ダイレクトなアタリを楽しんでもらいたいと言うことで考案された釣り物が“LTヒラメ”。竿が短く柔らかい分だけやり取りがシビアだがゲーム性が非常に高い。ライトの竿ならではゴツゴツという“本アタリ”前の繊細なアタリも分かりやすく楽しみは倍増。仕掛けは図の通り、使用するオモリも40号とかなり軽め。気になった人はTELで確認してみよう。

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
千葉県飯岡港『第一進丸』
〒289-2706 千葉県旭市下永井689
TEL:0479-57-6668
詳細情報(釣りビジョン)
第一進丸ホームページ
出船データ
ヒラメ船=11500円(予約乗合)
※活イワシ・氷・昼食付き
午前4時半集合、正午沖上がり
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