オフショアマガジン
2011.9.1号

豆や・東京都江戸川鹿骨
釣ってよし、食べてよし。東京湾のLTタチウオ

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8月中旬、東京湾のタチウオが夏本来の浅場で釣れ始めた。多少のムラはあるが、トップで40尾を超える釣果も珍しくはない。狙う水深は20~40mとライトタックルにも丁度良い。大半の船が餌釣りで狙うが、このタチウオ、アタリがあっても簡単にはハリに掛かってはくれない。そこには、釣り人を熱くさせる駆け引きがある。8月16日、東京・江戸川区の鹿骨(ししぼね)にある『豆や』の乗合船に乗った。

[動画]神出鬼没! 東京湾のLTタチウオ
『豆や』

“釣ってよし”のタチウオ

片テンビンの餌釣りの場合、よほど活性が高い時でなければ“向こう合わせ”は期待出来ない(稀に置き竿で掛かる事もある)。とにかく喰いダナを探り、誘いをかけてアタリを出し、ガッチリとフッキングするにはそれなりの駆け引きが必要になる。「アタリがあっても乗らない」とヒートアップする様はカワハギ釣りにも似た世界観がある。また、東京湾の釣り船は、餌・ルアーの両方で狙うが、『豆や』では餌釣りを基本に、希望があればルアーもOK。フレキシブルに対応してくれる。(※餌釣りの場合、オモリは道糸の号数によって使い分ける。PE1号=50号、2号=60号、3号=80号)

仕掛け図
※9月1日現在、水深が深くなっているため使用オモリが重くなっています。船宿に確認してください。
餌はサバの切り身

新中川を下り東京湾へ

6時半過ぎ、細川秀幸船長の操船で船着き場がある新中川を下る。この日は私とカメラマンを含めて10人が乗船。大型快速船の左右に5人ずつ、広々とした間隔で釣り座を構えた。天候は晴れ。夏らしい雲が沸き立つ空を見上げながら東京湾を走り、8時前には観音崎沖のタチウオ船団に合流した。

観音崎沖のタチウオ船団
大型快速船で釣り座は広々
細川秀之船長

いきなりの好スタート

観音崎沖には既に30隻近い釣り船がタチウオを狙って船団を作っていた。改めてタチウオ釣りの人気の高さに驚かされる。「水深は40m、タナは下から15m位まで探ってみて下さい」。船長からアナウンスがあり、我々の船もさっそく仲間入りした。40号のオモリを付けたテンビン1本バリ仕掛け(道糸=PE2号)に餌のサバの切り身をチョン掛けにして沈めた。魚の群れが固まっているせいか、船同士の間隔が狭く、船団は密集している。周りの船では、あちらこちらでタチウオが取り込まれ、食いはいいようだ。凡そ40mで着底。潮の流れは結構速い。少し速めのスピードでリールを巻いていると7~8m程巻いた所で竿先にアタリが出た。所謂ジギングのスローリトリーブの要領である。しかし、ハリには乗らなかった。「これがタチウオのアタリか」。実は私にとってこれが初めてのタチウオ釣り。「アタリの数の半分も獲れれば上出来ですよ」と細川船長。船内では90cm級を中心にポツポツとタチウオが上がって来る。かじられたサバ餌を付け替えて再投入。今度は着底後3m底を切り、ゆっくりと誘いながらタナを探った。すると底から10m程の所でモゾモゾとしたアタリ。少しテンションをかけながら竿先を持ち上げるとグンッ!と竿先が曲がった。軽くあわせるとグングンと竿が絞り込まれた。軟らかいライトタックルロッドが若干心配になる程の抵抗を見せて上がって来たのは1m級の“指4本”サイズ。足元のバケツで泳ぐ魚体に夏の日差しがギラギラと反射し、実に美しい。その後も暫くアタリは続いたが、私には「アタリがあっても乗らない」状況が続き、悔しさばかりが募って行く。これだけ熱くなれるのだから、タチウオ釣りが人気になるのも良く分かる。

朝一の一流し目は絶好調!

『豆や』の“釣りキチ三平”登場!

私は右舷胴の間(中央)に入ったのだが、そのミヨシ(船首)の釣り人が凄まじい勢いでタチウオを釣りまくっていた。浜田寛之さん、21歳。アタリがあっても空振りに苦しむ我々“その他大勢”を尻目に投入毎にタチウオを釣り上げている。気が付けば、大船団はバラバラになっていた。それはタチウオの群れがバラけたという事でもあり、朝の様な高活性の状態は期待出来ず、船長は魚探反応を探して頻繁に船を走らせる。そんな状況でさえ、流し替える度に数を伸ばしていた。浜田さんは「夏のタチウオはあまり誘いを止めずに動かしていた方がアタリは出やすいです。冬とは全く違うイメージですね」と言う通り、彼の誘いには止めて見せる間が3秒位しかない。そしてハリ掛かりさせるテクニックも色々あるのだとか。仕掛けもワイヤーを使った自作のものを使用しており「タコベイトは外した方がいいですよ」と教えてくれた。私がやっと1本のタチウオを釣った流しに3本立て続けに釣り上げた事もあり、腕の違いに完全脱帽だ。

『豆や』の“釣りキチ三平”こと浜田さん

竿頭は26本

上乗りさんも順調
結局、この日のトップは26本で浜田さん。2番手は左舷ミヨシ(船首)で13本。私は5本で、秘かな目標の10本の半分に終わった。船宿に戻ってから大親方に話を聞くと「彼は小学生の頃から通って来ているウチの“釣りキチ三平だよ!」との事。な~る程と納得すると同時に、偶然にも乗り合わせられた幸運に感謝した。一頃に比べると少し数は落ちているが、この日の状況で26本は大したものである。

“食べてよし”のタチウオ

何と言っても塩焼きが簡単で美味しい。タチウオほど、素人が簡単に調理できる魚はいないだろう。ウロコを引く必要はなく、頭を落とし内蔵を取り出してしまえば、適当な長さに切って塩焼きにするだけ。タチウオの塩焼きが嫌いという人と出会った事はない。誰が食べても美味しいという事だ。調理法は他にも沢山あるが、私は3枚におろしてバーナーで炙り、寿司にするのがお気に入り。もちろん刺し身で食べても美味しい。
食べても最高のタチウオ。日並みのいい日にのんびりと出掛けてみては如何だろう。

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
東京都江戸川区鹿骨『豆や』
〒133-0073 東京都江戸川区鹿骨6-1-1
TEL:03‐3679‐2065 (定休日:毎週火曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
豆やホームページ
出船データ
6時40分出船 30分前集合
\9,500(税・餌込み) 女性・中学生以下\7,500
※料金等は取材当時のものとなります。出船時間や料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては釣り船までお問い合わせください。
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