釣りビジョン

東京の秘境・秋川、香り高い“江戸前アユ”を釣る!

2022年06月26日公開

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秋川は、東京の大河・多摩川最大の支流。山梨県境近くの三頭沢を源とし、東京・多摩地区西部を流れる川だ。五日市の市街地辺りには比較的広い河原も多い。檜原村役場付近で支流の北秋川と合流するが、この合流点より上流は南秋川とも呼ばれている。この流域には、東京とは思えない魅力的な大自然が広がっている。東京湾から多摩川を遡上してきた天然アユを「江戸前アユ」と呼ぶそうだ。今回はこの「粋な江戸前アユ」に会いに、秋川へと向かった。

【この記事を書いたライター】SHOHEY

初の秋川チャレンジ!地元名手の案内で上流ポイントへ

出掛けたのは、解禁から1週間後。解禁日に釣行した友人が「ここのアユは美味い」と言うので、これは是非「食べてみたい!」と、初釣行となる秋川に向かったのだ。初めての川なのでポイントなどは全く分からず、今回は地元の名手である先輩の案内でポイントへ入ることになった。ワクワクしながら早起きをして、まずは駐車場で待ち合わせ。先輩は私たちのオトリと日釣り券を用意して、颯爽と軽トラックで登場した。

ポイントを見ながらいろいろとアドバイスを受ける。この日は前日の雨もあり、少し増水もしていてササ濁りだった。それでも透明度の高い本当に綺麗な川だ。先輩は「晴れて条件が良ければ、もっともっと透明度は高くなる」と言う。是非晴れた秋川にも来てみたいものだ。雨上がりで蒸し蒸しする中、着替えを済ませて、いざ川へ!川幅はそれほどないが、河原に降りて近くで見ると、思ったより増水しており、流れも強かった。「ん~、どこをやろうか?」。先輩と河原を見て歩いた。すると「ここいるね!あっ!ここにも」と先輩は言う。釣りのうまい先輩は、アユを見つける目も凄い。いろいろ見て回ったが、結局、先輩おすすめのポイントへ入ることにした。

サイズは小振りだったが、今シーズン一番のスイカの香り

流心の強い流れは私の技量では難しい。そこで選んでくれたポイントは「本当にこんな所で釣れるのか?」と思うほど岸からすぐのヘチ。しかし、仕掛けを張りながら川を見ていると、確かに時折キラキラと水垢をはんでいるアユの姿が見える。オトリアユに鼻カンを通し、足元から優しく放つ。私の目の前には大きな石があった。すると先輩は「その石の奥でアユを止めてごらん」と、アドバイスをくれる。すると、オトリが何か変な動きをする…。1度手元にオトリを戻そうと思って引き抜くとハリに何か掛かっている。「アユか?ゴミか?」。極小のアユだと気づいた時には既に時遅し。アユはポロリと落ちて川へと戻っていった。

ちょっと残念な結果だったが、浅場でアユが釣れることは分かった。すると先輩は「頑張れよっ!」と言い残し、「今日は農作業があるから」と、また颯爽と軽トラックで去っていった。秋川はアユも粋だが、人間も粋だな~。

さあ!気を取り直して、オトリアユを再び大石の奥へ。暫くするとコツン!と小さなアタリ。アユだと信じて慎重に引き抜く。すると、小さいがアユ。今シーズン釣ったアユの中で、一番スイカの香りがするアユだった。「なんてよい香りなんだ」。アユを触った手は、いつまでもスイカの香りがしている。よい香りのアユをオトリにして川へ放つ。すると、自らまたその大きな石の奥へ。先輩に言われた通り竿を寝かしアユを止める。するとまたまたコツン!さっきよりちょっとだけサイズアップしたアユが掛かった。タモにアユが飛んできた時には、もう既にスイカの香りがフワリとする。これは癖になる香りである。この香りをもっと感じたい!だから…もっと釣りたいと思った。

その後もコツン!コツン!サイズは小さいが午前中に16匹のアユを釣ることが出来た。どうやら今日は“泳がせ釣り”では掛からない、“止めの釣り”が肝のようだ。このちょっとした釣り方の違いによって、一日を終える時には釣果の差が出るのだろうと思う。ああでもない、こうでもないと考えながらのアユ釣りは繊細で実に楽しい。

 

午後の秋川は、打って変わって力強いアタリ!

何とか雨を耐えている空の元、午後の釣りへ。午後になってだいぶ水位は下がって来たが、まだまだ流心の流れは強かった。「今日はヘチの浅場!」と決めて、午前中やった同じ筋の少し上流を狙ってみることにした。午前中と同じようにキラキラとアユは見えるのだが、どうも反応が乏しい。そのまま1時間経過。友人たちも掛からない。

すると突然、午前中とは明らかに違う強いアタリが。コツーーーン!!ギランギラン。「お!大きいのか?」と思ったが、タモに飛んできたアユは、午前中のサイズとあまり変わらなかった。しかし、明らかに力強いアタリをしてくる。同時に、私の向かいで釣っていた友人も大きく竿を曲げた。友人は荒い流心で釣っていたので、掛かったアユよい引きをしている。そのアユは、この日一番のサイズだった。午後の釣りは1度釣れれば2、3匹連続して釣れ、また沈黙の時間という繰り返しだった。午後は、数は出なかったもののアタリが強く、とても楽しい釣りとなった

釣れない時間こそ丁寧な釣りが必要

この日は、先輩や友人にさまざまなことを教えてもらいながらの釣りになり、とても勉強になる一日になった。上手な人の言った通りにすると釣れる。摩訶不思議だった。川の状況を見て判断し、釣り方を変えていく。これが今日一番大事なことだった。釣れない時間こそ丁寧な釣りが必要だ。先輩たちに囲まれて釣りが出来る環境は本当に幸せだなと思う。今シーズンもまだまだ私の修行の旅は続く。

今回は小型のアユが多かったが、秋川にはアユがたくさんいる。これからがますます楽しみな秋川。この粋な「江戸前アユ」の香りと味を求めて、私はまた、必ず秋川を訪れることだろう。

施設等情報

秋川漁業協同組合
〒190-0164東京都あきる野市五日市1252(仮事務所) 秋川漁業協同組合ホームページ

施設等関連情報

遊漁券:年券8,000円、日釣り券2,000円(現場4,000円) 
※漁期:6月4日~12月31日
車:圏央道あきる野ICから15分、中央道・日の出ICから15分
     
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この記事を書いたライター

SHOHEY
鮎にゾッコン!ずっと川に浸かっていたいと思う日々を過ごす。3~4月は渓流釣り、5~10月の休みは全てを鮎釣りに捧げ、全国各地を「鮎な夏!」で駆け巡る。主催するアウトドアの団体にて、キャンプや釣り初心者のためのイベントなども開催。
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