伝五郎丸・神奈川県松輪江奈港
東京湾・剣崎沖で冬の“マダイ五目”に挑戦!

2月7日、神奈川県・松輪江奈港『伝五郎丸』のHPをチェックしていると6日の釣果に気になる写真が載っていた。“本命”のマダイにハナダイ、アジ、イナダは“定番ゲスト”だが、同じ写真に高級魚・アマダイが2尾も交じっていたのだ。早速、鈴木長喜船長に聞いてみると、“マダイ五目仕掛け”での釣果との事。しかも、もう1人は同じ仕掛けで30cm級のハナダイ11尾&マダイ1尾を釣ったと言う。狙うはマダイ、ハナダイ、アマダイの“3種のタイ”だ。
17トンの大型船に6人での“大名釣り”
9日午前5時、三崎口駅方面へ車を走らせていると、右手に煌々と輝く満月。この日は大潮、何やらいい釣りができそうな予感。午前6時、松輪江奈港入口にある『伝五郎丸』船宿で受け付けを済ませ、『エナ・ヴィレッジ』奥の船着き場付近へ車を停めた。木曜日という事もあり、車の数も週末と比べると少なめだ。港内沖の停泊場から桟橋の一番先へ移動する『第八伝五郎丸』を見つけ、船に乗り込むと船長が出迎えてくれた。この日の釣り人は私を含め6人。17トンの大型船である。何とも贅沢な“大名釣り”だ。
長ハリスではなく、3.5m3本バリで勝負!
剣崎沖のマダイ釣りと言えば、3号8~10mの長ハリスが一般的。しかし、今回の狙いは“3種のタイ”。船長に“3種のタイ”を狙える仕掛けを聞いてみた。仕掛けはハリス2.5号、全長3.5m、枝スは2.5号20cm、枝間は1mの3本バリ。サルカンや蛍光玉等は一切使わない。ハリは船長に見せるともう少し小さい方が良いとの事だったが、手持ちが無かったため持参したグレバリ10号を使った。竿は2.4m、オモリ負荷50号前後、道糸はPE4号。その下に40~50cmの片天ビンにコマセカゴはサニービシ80号、クッションゴムはφ2mm1mの道具立て。私の釣り座は右舷胴の間(中央)。
※特別な結び方ではないが、船長がいつも使うと言う枝スの結び方を教えて貰ったので是非動画をご覧頂きたい。
釣り場は航程10分剣崎沖の漁礁周り
午前7時、定刻に河岸払い。港入口で各船一旦集合、一斉にポイントへ向けて走り出した。釣り場までは約10分。天気予報では西の風が朝の内は少し吹くとの事だったが、海上では北東の風が2~3m吹いている程度。上空は雲ひとつない青空が広がっていた。船長から合図。「どうぞー。水深74m」。全員の仕掛けが投入された。「このあたりのポイントには自然の根の他にもいくつかの人工魚礁が入れられています。そのため、様々な魚種が居着いて魚影も濃いですよ」。(船長)その言葉を物語るように魚群探知機が海底付近に大きな丸い反応を映し出していた。
仕掛け分+2mのタナで待つのが基本
“マダイ五目”釣りで一番注意したいのが、コマセの出る量だ。剣崎周辺では1~3月までは沖アミコマセは禁止されているためアミコマセを使用する。アミコマセは沖アミコマセよりも細かいため、下を開けておくとすぐに空になってしまう。ビシの下は完全に閉めておく。上も半分程度開ければ十分だ。付け餌は、沖アミ2尾の抱きアワセ。船長にタナを聞くと、底から仕掛け+2mが基本との事。着底後に2m巻き上げ、1m毎にコマセを振りながら巻き取る。それを3回繰り返し、底から5.5mで置き竿にしてアタリを待った。
船中第1号はフッコ
午前7時30分、1流し目に左舷胴の間で竿が曲がった。ググン、グン。3段引きのような引きも見せるが、少し様子がおかしい。そして、海面下には黒っぽい魚体が見え、思わず釣り人が叫んだ。「タイだ!」。しかし、その期待とは裏腹に海面に浮いたのはフッコ。思わぬゲストの登場に釣り人も苦笑い。そして、次の流しでは右舷ミヨシ(船首)でヒット。ゆっくりと慎重に上げてくるが、さほど重量感は無い様子。海面には25cm級の美しいハナダイが上がった。私にとっては“本命”なのだが、右舷ミヨシの釣り人はマダイ狙いなだけに肩を落とした。「実は2週間前にこの船で2kgを頭にマダイ9尾上げたんですよ。これじゃ終われないですね」と肩を落とすに十分納得の台詞。
ついに私の竿に“本命”登場!?
置き竿にしたままカメラを回していた私、ふと自分の竿に目をやると…クンクン、クン。竿が大きくお辞儀をしているではないか。慌てて竿を持ち、合わせを入れて巻き始めた。しかし、最初の5mは元気だった突っ込みも残り20mでは全く無くなってしまった。「何だろう。マダイじゃない事は確かだけど」と心の中で思いながらハリスを手繰ると…ポカ~ン。淡いピンク色の愛くるしい顔の魚が目の前に浮上。狙った3種のうちの1種である高級魚・アマダイだった。これを皮切りに船中でアタリが出始め、左舷ミヨシでは、良型ウマヅラの2尾掛け、右舷大ドモ(船尾)の常連・大木洋二さんは600gのマダイを釣り上げた。ハリスを聞くと、「3号9mですね。横でアマダイみたいな高級魚が上がると、思わず浮気をしてハリスを短くしようかと考えた矢先のヒット、そのままにしていて良かったです」と船中第1号のマダイを釣り上げ、満面の笑み。
潮が流れず、底物の喰いだけ活発!?
午前9時半、私の置き竿が再び震えた。先ほどと同じアタリだったため、またアマダイかな?と期待を込めて慎重に巻き上げると、期待通り再びアマダイが浮上した。そして、その次の投入では鬼カサゴ、トゴットメバル、その次にはウマヅラと何故か私の置き竿にアタリが集中した。自分の釣りに夢中になっていると、「左舷であたったよ」と船長。慌てて左舷の大ドモに駆けつけるとやり取りの真っ最中。ビシをバケツに入れ、長ハリスを手繰り寄せると、タモ入れに来た船長が叫んだ。「マダイだ!」。ゆっくりと首を振りながらあがってきたのは目の上にブルーのアイラインが入った美しい500g級のマダイ。その後、同じ人が35cm級のハナダイも追釣。ここから少しずつアタリも増え始めた。
大物ヒット!正体はいかに!?
午前11時半、コマセを振って10秒後に竿先がクンと入った。普段なら合わせを入れるところだが、今までコマセを振ってすぐにアタリが出た事が無かったため、合わせ損ねてしまった。そして、「今度は合わせる」と意気込んで再投入。すると、絵に描いたように同じアタリが来た。すかさず合わせると、ギュギュン、ギューン。思わず竿を送り込みドラグを調整した。そして、慎重にやりとり。これがもしマダイだったら2kg級は間違いない。しかし、海面を割ったのは80cm超えのホシザメだった。その直後、今度は大木さんの竿が大きく曲がった。しかもホシザメよりも更に強い引き込み。幾度となく竿がのされる。「半年前に釣った8kgのマダイもこんな引きだったよ。“本命”だといいね」と大木さん。そして、慎重にハリスが手繰られる。「ワラサだ!デカイよ」と船長も興奮気味だ。無事に取り込まれたのは4kgの太ったワラサだった。
正午の干潮後、潮が変わりアタリ連発!
気がつけば沖上がりの14時まであと2時間を切っていた。この日の干潮は正午。潮が流れ始めるとすれば、そのタイミングだと船長と話をしていた矢先でのヒット。東京湾口に位置する剣崎沖。東京湾を出入りする潮の流れや向きで魚の喰いが大きく変わるのを実感した瞬間だった。そして、そこからは今までヒットしなかった30cm級のマアジが喰い始め、私の竿にもダブルヒット。船中全員がアジを2尾以上追釣し、更には両舷大ドモでマダイの500~700g級が上がった。最後には、私の竿に37cmの良型アマダイが来て納竿時間を迎えた。
高級魚交じりの“マダイ五目”は3月まで
この日の竿頭は右舷大ドモの大木さんでマダイ3尾、ワラサ1尾、アジ3尾。私の釣果は、残念ながら狙い通りの“3種のタイ”をゲットとまではいかなかったものの、アマダイ30~37cm3尾、アジ2尾、鬼カサゴ1尾、メバル1尾、ウマヅラ1尾と五目釣りとしては大満足の釣果だった。現在好調の“マダイ五目”は3月まで出船。そこからは“五目”では無くマダイ船として乗っ込みダイを狙う。“3種のタイ”狙いの“五目”釣り。是非自作の仕掛けで挑んでみては如何だろうか。自作の仕掛けで仕留めた獲物の味はまた格別である。
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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神奈川県松輪江奈港『伝五郎丸』 〒238-0104 神奈川県三浦市南下浦町松輪307 TEL 046-886-1534 詳細情報(釣りビジョン) 伝五郎丸ホームページ |
出船データ |
マダイ五目船=9,500円(コマセ・餌付) |