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新潟県・村上市の三面川、伝統の“鮭文化”と天然アユ!

2022年07月23日公開

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新潟県村上市を流れる三面川。サケの遡上で知られており、独自の“鮭文化”は今も連綿と続いている。アユの数釣り河川としても知られ、日本海から遡上する天然アユは海産らしい力強い引きをする。全国的に雨模様の中、雨雲から逃げて、逃げて、たどり着いた先に、三面川の力強いアユが待っていてくれた。

【この記事を書いたライター】SHOHEY

雨雲から逃げたその先に「これぞアユ釣り!」の夏空が…

「梅雨の戻り」だろうか、このところ全国的にぐずついた天気が続いていた。7月の3連休の天気はあちらこちらでゲリラ豪雨が発生。天気を読むのが非常に難しい状態にあった。穴が開くほど天気図を睨み、記憶するほど雨雲レーダーを見て行き先が決まったのは出発1時間前。決めた行き先は新潟・三面川!果たして、天気を当てることが出来たのだろうか。“三面アユ”とは出会えるのだろうか。

6時間のドライブが始まった。道中前半の4時間はずっと雨中の運転となった。新潟県に入っても雨は止むことはなかった。予報が変わったのではないかと不安になり、天気図チェックと仮眠をとるためにパーキングで一休み。天気図は変化なし。自分の決定を信じて1時間程仮眠をとった。目が覚めると雨はだいぶ小降りになっていた。はやる心を抑えて再び出発。「あと100km…、あと50km…、あと20km…」。ワクワクが止まらない。天気は現地に向かうにつれてよくなって来た。やっと長いドライブが終わり、遂に三面川に到着!朝の内はまだ小雨がパラついていたが、川を見て一安心。濁りなし、増水なし。これでアユ釣りが出来るぞ!早速着替えを済ませ、川沿いにあるオトリ店で日釣り券とオトリを購入。

するとここでオトリ店からビックリ情報。来シーズンから女性は遊漁料無料とのこと。「釣り放題だ!」。アユ釣り女子は三面川要チェック。

明るく元気なオトリ店店主の「がんばってね~」の声に送り出され、向かったのは、オトリ店から上流の比較的空いていた支流・高根川との合流点。早速仕掛けを張り、オトリにハナカンを通して送り出す。立ち上がって空を見上げれば、三面川の広い広い空。強い日差し、どこまでも青く晴れ渡る夏空になっていた。

2段引きの強いアタリ!

胸のスッとする夏空のもと釣り開始。まずは数年前に訪れた時に、よい思いをした左岸のヘチからやってみる。水中にはキラリキラリと光るアユも確認出来る。オトリを送り出すと、すぐに反応があるものの中々ハリ掛かりしない。ヘチギリギリを攻めるとヨシがあり、気をつけないと根掛かりしてしまう。充分に気をつけていたつもりだったが、ハリが水中にあるヨシに掛かってしまう。何度か根掛かりを繰り返したので、オトリも少しずつ弱ってしまう。するとさっきまであった反応もすっかりなくなってしまった。

場所を替えるか、オトリを替えるか、迷ったがアユは見えているので、オトリを替えることにした。サラのオトリは元気に泳ぎ出してくれた。オトリを誘導して再びヘチへ。するとガッツン、ガッツーン!と2段引きの強いアタリ。「そうそう、これこれ、これなのよ!」。これが“三面アユ”のたまらない引きである。この引きを味わうために、6時間掛けてここまで来たのだ。慎重に引き抜きをして、嬉しい1匹目の“三面アユ”との対面。追星クッキリのシュッとした天然の海産らしい美しいアユだった。

 

オトリの元気さが釣果を左右する

この1匹で分かったことがある。どこの河川でもオトリの元気さというものは重要だが、特にこの三面川では、オトリの元気さは「最重要事項」ということ。少しでも弱ってしまうと全く相手にされなくなってしまう。そこで、根掛かりのリスクの高い左岸へチはやめ、右岸側へ振り返り、チャラ瀬の肩をやってみることにした。私の下流に入っている人は、1匹釣ってからは入れ掛かりモードに突入。見ているだけでも楽しくなってしまう。

私も釣ったばかりの天然アユを送り出す。するとグングン!グングン!と泳いでいく。いかにも掛かりそうな泳ぎをしてくれるのだ。決してアユを引っ張らず、丁寧に。弱らす行為はご法度だ。今か今かと胸が高鳴る。すると石のヨレに入った瞬間、またしてもガッツン、ガッツーン!と強烈な2段引きのアタリ。竿が大きくしなる。この引きは何度味わっても飽きない。中毒になりそうだ。

1匹目よりも少しサイズアップ。これまた美しいアユだった。この後も、オトリを通す筋を変えるなど、広く探っていくと、追いの強いアユがいる所では一発で掛かってくれる。もちろんオトリアユの元気さありきである。少しでもオトリが弱れば迷わず“オトリの選手交代”が釣果を伸ばす肝となった。入れ掛かりタイムもあり、20匹のアユを釣りあげたところで、昼休憩をとることにした。

午後は高活性!チャラ瀬で入れ掛かり!

早く川に戻りたくて、早々に休憩を切り上げて向かったのは、午前中に入ったポイントの少し下流の流れのある場所。私の休憩中に休めたオトリ達は元気一杯。午前中は釣れたアユを見るとハリの掛かりどころがあまりよくなかったので、ハリスの長さを調整して、足元からアユを送り出す。なんとも理想的な泳ぎをしてくれる。開始3分。午後1匹目が早速掛かった。流れがある場所なので今日一番の強烈な引き。ここから3連チャン。オトリが元気なうちはひと流し1匹というペースで掛かる。しかし、水中バレも多く、バレると今までの入れ掛かりが嘘のように、ピッタッと止まってしまう。オトリを替えて、どうにかアユを入れ掛かりモードへと持ち込む。この繰り返し。三面川は“丁寧な釣り”を練習するのに最適な川なのだ。これが本来の“循環の釣り”なのであろう。集中して釣りをしていたら、時間はアッという間に過ぎて、夕方になってしまった。楽しい時間は過ぎるのが本当に早い。

午後は午前中よりもアユの活性が上がり、夕方になるにつれて、あちらこちらで入れ掛かりが見られ、三面川の夏空には多くのアユが舞った。私は疲れも忘れて日が暮れるまで竿を出し、大満足のなか納竿した。

釣りの後の楽しい時間

オトリ屋さんに戻ると、気さくな店主は「たくさん釣れた?」と声をかけてくれた。天気や釣果も大事だが、何より私にとっては、このように地元の方々が気さくに声をかけてくれて、色々と話ができることがとても大切で、嬉しい時間なのだ。いつまでも立っていたい川がある。また会いたい人達がいる。距離や時間を超え、また戻ってきたい場所がそこにはあった。

施設等情報

三面川鮭産漁業協同組合
〒958-0862 新潟県村上市若葉町15-1 三面川鮭産漁業協同組合ホームページ

施設等関連情報

車:日本海東北自動車道・村上山辺里ICから7号線方面へ約5分
遊漁料:年券1万1000円、日釣り券2,200円

「平田オトリ店」:村上市山居町1-5-34
営業時間:平日7:00~9:00(休日6:00~)高根川合流点下流川沿いに立地
     
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この記事を書いたライター

SHOHEY
鮎にゾッコン!ずっと川に浸かっていたいと思う日々を過ごす。3~4月は渓流釣り、5~10月の休みは全てを鮎釣りに捧げ、全国各地を「鮎な夏!」で駆け巡る。主催するアウトドアの団体にて、キャンプや釣り初心者のためのイベントなども開催。
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